本郷新札幌彫刻美術館は、いろいろと新しい試みを手がけているが、こんどは、若手彫刻家5人の個展を展示室の一角で開くという。
先に紹介したコレクション展と同時開催である。
日程は次のとおり。
吉成翔子 11月17日(土)~12月16日(日)
向川未桜 12月18日(火)~1月20日(日)
引山絵里 1月22日(火)~2月17日(日)
池田祐太 2月19日(火)~3月17日(日)
板本伸雄 3月19日(火)~4月14日(日)
以下の略年譜、解説は、フライヤーから引用した。
吉成翔子さんは1986年、空知管内幌加内町生まれ。
2011年、道教大札幌校大学院を修了した。
[おもな発表]
2010年 個展(茶廊法邑/札幌)
あな展(北広島市芸術文化ホールギャラリー)
2011年 織姫たちのスイーツ・アート(JRタワープラニスホール/札幌)
2012年 政和アートFes 甦れ政和小学校(旧政和小学校/幌加内)
[受賞]
2008年 道展 新人賞
2010年 道展 佳作賞
一貫して鉄を素材とした造形に取り組んでいる。架空の建造物を表現した一連の作品では、錆の浮いた鉄の古びた表情、はしごや窓などのディテールにより、観る者を物語の世界へと招き入れてきた。最近では、棒状の鉄を用いてやわらかな曲線を描くシリーズを展開。 作品とその周辺の空気を軽やかに行き来させ、吹き抜ける風が草を揺らすさまを想起させるような、おおらかな空間を生みだしている。
向川未桜さんは1985年 愛媛県生まれ。
2011年 北海道教育大学函館校大学院教育学研究科修了。
[おもな発表]
2010年 Triads II(I ギャラリー彩/函館)
若手作家による青函交流美術展 ~アオダテハコモリ~( 金森イベントホール/函館、青森県立美術館)
2011年 具象彫刻30人展-北の作家たち-(本郷新記念札幌彫刻美術館)
[受賞]
2005年 AAC学生彫刻コンペ 優秀賞
2007年 全道展 佳作賞
2008年 全道展 北海道新聞社賞
人体彫刻に取り組む。 向川の人体には人の感情の動きや物理的な現象のイメージが託されており、大胆に引き伸ばし、ねじりを加えたポーズによってダイナミックに空間を巻き込んでいく造形に魅力がある。最近はテラコッタの作品も手がけており、野焼きされた土の素朴な質感や不均質な色彩が出土品のような雰囲気を醸し、作品に豊かな味わいをもたらしている。
引山絵里さんは1987年 札幌市生まれ。
2009年 北海道教育大学札幌校芸術文化課程美術コース卒業
[おもな発表]
2010年 道展新鋭展(札幌時計台ギャラリー)
2011年 具象彫刻30 人展-北の作家たち-(本郷新記念札幌彫刻美術館)
個展「きせつをまつ」(STV北2条ビルエントランスアート/札幌)
[受賞]
2008年 道展 新人賞
2009年 道展 佳作賞
石膏による女性像を手がけている。引山の関心は、人物そのものよりも、その人物が見つめているものの表現にある。多くの場合、人物は手足を省略され、体の輪郭はまわりに溶け込んでいくようであり、遠く静かなまなざしが強く印象づけられる。移ろいゆく世界を感受する器としての彼女たちの体は、空や雨や草木など、その目に映る対象に染められたかのように、淡く色づいている。
池田祐太さんは1984年 札幌市生まれ。
2011年 北海道教育大学旭川校大学院教育学研究科修了
[おもな発表]
2010年 全道展受賞者展(大同ギャラリー/札幌)
2011年 具象彫刻30人展-北の作家たち-(本郷新記念札幌彫刻美術館)
[受賞]
2010年 全道展 佳作賞
動物をモティーフとした木彫を手がけている。古来からの木彫の伝統を学び、犬、豚、山羊などの動物のすがたを写実に基づきながら量感たっぷりに表現してきた。しかし例えば《空虚》と名づけられた横たわる子豚の像のように、動物たちは愛らしいだけではなく、どこか悲哀やユーモアを滲ませた存在として表現され、そこに池田の批評的まなざしが感じられる。
板本伸雄さんは1985年 秋田県生まれ。
2007年 北海道教育大学札幌校芸術文化課程美術コース卒業
[おもな発表]
具象彫刻30人展-北の作家たち-(本郷新記念札幌彫刻美術館)
[受賞]
2007年 道展 新人賞
2011年 道展 佳作賞
写実を基盤とした人体彫刻を制作している。2007年の青年像《鼓動》で確かな造形力を示し、男性をモティーフに堅実な写実表現に取り組んできたが、2011年に発表した《1W》では、流行のサルエルパンツに身を包んだ若い女性をモデルに、その愛らしい仕草を躍動的にとらえた新たな造形的展開により、強い印象を残している。
女性2、男性3、あるいは、道展3、全道展2と、バランスにも注意が払われているなあ。
それはともかく、冬の時期は、道内の美術館は、所蔵品展を開くことが多い。
雪と寒さで、人出が鈍くなるため、大々的に企画をたてても観覧者増は望めない。そのためか、所蔵品展をひっそりと開催することが多いように思う。
そんな状況の打開を図るかのようなこの企画。筆者が札幌に住んでいたら、間違いなく5回とも通っていたであろう。
絵画に比べると彫刻は運搬費などがかかるため、貸しギャラリーで個展を定期的に開催する人も少ない。
団体公募展以外の場で、若手作家の作品にふれる、非常に貴重な機会であり、皆さんにもぜひ足を運んでもらいたいと思う。
2012年11月17日(土)~2013年4月14日(日)午前10時~午後5時(入館~4:30)、月曜休み(祝日の場合は翌火曜)、年末年始(12月29日~1月3日)休み
本郷新記念札幌彫刻美術館(札幌市中央区宮の森4の12)
ツイッターアカウント @sapporochobi
観覧料:一般300(250)円、65歳以上250(200)円、高大生 200(100)円、中学生以下無料
※( )内は、10人以上の団体料金および、※札幌芸術の森美術館、札幌宮の森美術館の展覧会チケット半券の提示割引。
・地下鉄東西線「西28丁目」からジェイアール北海道バス「循環20 山の手環状線(神宮前先回り)」に乗りつぎ「札幌彫刻美術館入り口」で降車、約610メートル、徒歩8分
・地下鉄東西線「円山公園」3番出口、「西28丁目」3番出口からいずれも約1.78キロ、徒歩23分
・札幌宮の森美術館から約680メートル、徒歩9分
先に紹介したコレクション展と同時開催である。
日程は次のとおり。
吉成翔子 11月17日(土)~12月16日(日)
向川未桜 12月18日(火)~1月20日(日)
引山絵里 1月22日(火)~2月17日(日)
池田祐太 2月19日(火)~3月17日(日)
板本伸雄 3月19日(火)~4月14日(日)
以下の略年譜、解説は、フライヤーから引用した。
吉成翔子さんは1986年、空知管内幌加内町生まれ。
2011年、道教大札幌校大学院を修了した。
[おもな発表]
2010年 個展(茶廊法邑/札幌)
あな展(北広島市芸術文化ホールギャラリー)
2011年 織姫たちのスイーツ・アート(JRタワープラニスホール/札幌)
2012年 政和アートFes 甦れ政和小学校(旧政和小学校/幌加内)
[受賞]
2008年 道展 新人賞
2010年 道展 佳作賞
一貫して鉄を素材とした造形に取り組んでいる。架空の建造物を表現した一連の作品では、錆の浮いた鉄の古びた表情、はしごや窓などのディテールにより、観る者を物語の世界へと招き入れてきた。最近では、棒状の鉄を用いてやわらかな曲線を描くシリーズを展開。 作品とその周辺の空気を軽やかに行き来させ、吹き抜ける風が草を揺らすさまを想起させるような、おおらかな空間を生みだしている。
向川未桜さんは1985年 愛媛県生まれ。
2011年 北海道教育大学函館校大学院教育学研究科修了。
[おもな発表]
2010年 Triads II(I ギャラリー彩/函館)
若手作家による青函交流美術展 ~アオダテハコモリ~( 金森イベントホール/函館、青森県立美術館)
2011年 具象彫刻30人展-北の作家たち-(本郷新記念札幌彫刻美術館)
[受賞]
2005年 AAC学生彫刻コンペ 優秀賞
2007年 全道展 佳作賞
2008年 全道展 北海道新聞社賞
人体彫刻に取り組む。 向川の人体には人の感情の動きや物理的な現象のイメージが託されており、大胆に引き伸ばし、ねじりを加えたポーズによってダイナミックに空間を巻き込んでいく造形に魅力がある。最近はテラコッタの作品も手がけており、野焼きされた土の素朴な質感や不均質な色彩が出土品のような雰囲気を醸し、作品に豊かな味わいをもたらしている。
引山絵里さんは1987年 札幌市生まれ。
2009年 北海道教育大学札幌校芸術文化課程美術コース卒業
[おもな発表]
2010年 道展新鋭展(札幌時計台ギャラリー)
2011年 具象彫刻30 人展-北の作家たち-(本郷新記念札幌彫刻美術館)
個展「きせつをまつ」(STV北2条ビルエントランスアート/札幌)
[受賞]
2008年 道展 新人賞
2009年 道展 佳作賞
石膏による女性像を手がけている。引山の関心は、人物そのものよりも、その人物が見つめているものの表現にある。多くの場合、人物は手足を省略され、体の輪郭はまわりに溶け込んでいくようであり、遠く静かなまなざしが強く印象づけられる。移ろいゆく世界を感受する器としての彼女たちの体は、空や雨や草木など、その目に映る対象に染められたかのように、淡く色づいている。
池田祐太さんは1984年 札幌市生まれ。
2011年 北海道教育大学旭川校大学院教育学研究科修了
[おもな発表]
2010年 全道展受賞者展(大同ギャラリー/札幌)
2011年 具象彫刻30人展-北の作家たち-(本郷新記念札幌彫刻美術館)
[受賞]
2010年 全道展 佳作賞
動物をモティーフとした木彫を手がけている。古来からの木彫の伝統を学び、犬、豚、山羊などの動物のすがたを写実に基づきながら量感たっぷりに表現してきた。しかし例えば《空虚》と名づけられた横たわる子豚の像のように、動物たちは愛らしいだけではなく、どこか悲哀やユーモアを滲ませた存在として表現され、そこに池田の批評的まなざしが感じられる。
板本伸雄さんは1985年 秋田県生まれ。
2007年 北海道教育大学札幌校芸術文化課程美術コース卒業
[おもな発表]
具象彫刻30人展-北の作家たち-(本郷新記念札幌彫刻美術館)
[受賞]
2007年 道展 新人賞
2011年 道展 佳作賞
写実を基盤とした人体彫刻を制作している。2007年の青年像《鼓動》で確かな造形力を示し、男性をモティーフに堅実な写実表現に取り組んできたが、2011年に発表した《1W》では、流行のサルエルパンツに身を包んだ若い女性をモデルに、その愛らしい仕草を躍動的にとらえた新たな造形的展開により、強い印象を残している。
女性2、男性3、あるいは、道展3、全道展2と、バランスにも注意が払われているなあ。
それはともかく、冬の時期は、道内の美術館は、所蔵品展を開くことが多い。
雪と寒さで、人出が鈍くなるため、大々的に企画をたてても観覧者増は望めない。そのためか、所蔵品展をひっそりと開催することが多いように思う。
そんな状況の打開を図るかのようなこの企画。筆者が札幌に住んでいたら、間違いなく5回とも通っていたであろう。
絵画に比べると彫刻は運搬費などがかかるため、貸しギャラリーで個展を定期的に開催する人も少ない。
団体公募展以外の場で、若手作家の作品にふれる、非常に貴重な機会であり、皆さんにもぜひ足を運んでもらいたいと思う。
2012年11月17日(土)~2013年4月14日(日)午前10時~午後5時(入館~4:30)、月曜休み(祝日の場合は翌火曜)、年末年始(12月29日~1月3日)休み
本郷新記念札幌彫刻美術館(札幌市中央区宮の森4の12)
ツイッターアカウント @sapporochobi
観覧料:一般300(250)円、65歳以上250(200)円、高大生 200(100)円、中学生以下無料
※( )内は、10人以上の団体料金および、※札幌芸術の森美術館、札幌宮の森美術館の展覧会チケット半券の提示割引。
・地下鉄東西線「西28丁目」からジェイアール北海道バス「循環20 山の手環状線(神宮前先回り)」に乗りつぎ「札幌彫刻美術館入り口」で降車、約610メートル、徒歩8分
・地下鉄東西線「円山公園」3番出口、「西28丁目」3番出口からいずれも約1.78キロ、徒歩23分
・札幌宮の森美術館から約680メートル、徒歩9分