10月30日、札幌市中央区のホテルガーデンパレス札幌で行われた北海道文化賞・北海道文化奨励賞の授賞式におじゃましてきました。
行ってみたら、用意された坐席が最前列で、かなりビビリました(笑)。
(冒頭画像、辻井さんの部分が切れています。広角レンズの限界です。辻井さんは代理出席だったので、許してください)
本年度の受賞者は次のとおりです。
北海道文化賞
辻井京雲
鉾井直作
渡会純价
北海道文化奨励賞
澁谷俊彦
若宮明彦
NPO法人 樽前artyプラス
筆者は3年前、札幌芸術賞/札幌文化奨励賞の授賞式にも出席しているのですが、札幌市と北海道では式の雰囲気がぜんぜんちがうんですね。驚きました。
まず、会場正面に日の丸と北海道旗が掲げられています(札幌市は何もなし)。
式次第の最初は「国歌斉唱」です。
札幌市はこれもありません。
国の行事なら理解できますが、道の奨励賞に「君が代」が入ってくるのはふしぎな感じがします。
その次に、高橋はるみ知事が式辞を述べましたが、これが
「本道の芸術文化の多彩さと奥深さを実感しております。来年、北海道は命名150周年を迎えます。北海道の勝ちを国内外へと積極的に発信し」
的な、無難そのものの内容で、これまた3年前の上田市長が自分のことばで述べたあいさつとは異なるものでした。
道文化審議会の阿部博光会長から選考経過報告があった後、受賞者に表彰状が贈られました。
中野北溟さんの筆になる、かなり大きなものです。
道議会関係者の祝辞に続き、受賞者がひと言あいさつ。
辻井京雲さん(1944年生まれ。札幌)は、道教大名誉教授で、道内を代表する書家のひとり。毎日書道展(国内最大級の書展)の評議員、北海道書道展の理事長を務めています。
ロンドンを含め15回の個展を開いているほか、故郷の空知管内雨竜町の道の駅には展示コーナーがあります。
体調を崩しているとのことで、長男が代読しました。
「金子鷗亭の直門として薫陶を受け、現代の書と、書学の研究を進めてまいりました。一日も早く快癒します」云々。
鉾井直作さん(1935年生まれ。砂川)は洋画家。日洋会委員。
「海外に取材に行きますが、なんといっても北海道の大地の力強さ、おおらかさ、体が清く美しくなる空気が大好きです。私はまだ未熟、未完ですが、しかしその未完を楽しみながら創作を続けてまいりたい」
渡会純价さん(1936年生まれ。札幌)は、北海道の銅版画の草分けのひとり。全道展会員。日本版画協会北海道支部長。
音楽を思わせるリズミカルな画風です。
「北海道の版画界はまだ不遇でして、道内で正式に版画を教える教育機関もないのが残念。81歳になりましたが、従来通り制作活動を続けており、今年もまた新しい技法をつくりました。命が続く限り、励んでいきたい」
澁谷俊彦さん(1960年生まれ。札幌)は、北海道の自然を取り入れたインスタレーションで海外でも評価されている美術家。専門学校で美術教育にも長年尽くしています。
「自然から学ぶとは、自らを謙虚な姿勢に立ち直らせてくれる。美術家と美術教育の両立は易しくありませんが、その環境を整備してくれた安達学園の理解に深く感謝したい。今後もプランを確実に実現していくよう、励んでいく」
若宮明彦さん(1959年生まれ。札幌)は詩人。4冊の詩集を上梓するかたわら、北海道新聞「日曜文芸」欄の選者としても長年活動しています。また地質学の研究者として教育大で教壇に立っています。
「北海道の大地がここまで育ててくれたことに感謝しております。原子修先生には親身で厳しいご指導をいただき、阿部博光先生は同僚なのですが、フルートの音色を今も覚えております。教え子が教育界で活躍してくれることを希望しています」
樽前artyプラスは、苫小牧市樽前地区を拠点に芸術と地域社会を結ぶ活動に10年以上取り組んでいる団体。
代表の藤沢レオさんがあいさつしました。樽前artyの缶バッジを胸に付けています。
「こんなに若い団体を評価していただき感謝に堪えません。芸術を介した、もうひとつの(オルタナティブな)つながり方を今後も模索しておき、後世この受賞が『英断だった』といわれるよう、頑張っていきたい」
この後、札響(札幌交響楽団)のコンサートマスター田島さんがモーツァルトのバイオリンソナタを演奏しました。
受賞者の皆さん、おめでとうございます。
以下、蛇足。
それにしても、今回の受賞者5人1団体のうち、書道を含めた広義の美術関係で4人1団体というのは、いささか驚きです。美術関係者からの推薦が多いことの反映なのでしょうが。
過去の受賞者を見てみると、かつては多くいた北大の先生など学術関係者が近年めっきり減っていたり、美術やクラシック音楽にくらべると映画関係者やクラシック音楽以外のミュージシャンが極端に少なかったり、いろいろなことに気づきます。日本画家、漫画家が69回の歴史で皆無というのも、いかがなものでしょう。
ほかにも気になったことはありますが、とりあえずここで擱筆します。
行ってみたら、用意された坐席が最前列で、かなりビビリました(笑)。
(冒頭画像、辻井さんの部分が切れています。広角レンズの限界です。辻井さんは代理出席だったので、許してください)
本年度の受賞者は次のとおりです。
北海道文化賞
辻井京雲
鉾井直作
渡会純价
北海道文化奨励賞
澁谷俊彦
若宮明彦
NPO法人 樽前artyプラス
筆者は3年前、札幌芸術賞/札幌文化奨励賞の授賞式にも出席しているのですが、札幌市と北海道では式の雰囲気がぜんぜんちがうんですね。驚きました。
まず、会場正面に日の丸と北海道旗が掲げられています(札幌市は何もなし)。
式次第の最初は「国歌斉唱」です。
札幌市はこれもありません。
国の行事なら理解できますが、道の奨励賞に「君が代」が入ってくるのはふしぎな感じがします。
その次に、高橋はるみ知事が式辞を述べましたが、これが
「本道の芸術文化の多彩さと奥深さを実感しております。来年、北海道は命名150周年を迎えます。北海道の勝ちを国内外へと積極的に発信し」
的な、無難そのものの内容で、これまた3年前の上田市長が自分のことばで述べたあいさつとは異なるものでした。
道文化審議会の阿部博光会長から選考経過報告があった後、受賞者に表彰状が贈られました。
中野北溟さんの筆になる、かなり大きなものです。
道議会関係者の祝辞に続き、受賞者がひと言あいさつ。
辻井京雲さん(1944年生まれ。札幌)は、道教大名誉教授で、道内を代表する書家のひとり。毎日書道展(国内最大級の書展)の評議員、北海道書道展の理事長を務めています。
ロンドンを含め15回の個展を開いているほか、故郷の空知管内雨竜町の道の駅には展示コーナーがあります。
体調を崩しているとのことで、長男が代読しました。
「金子鷗亭の直門として薫陶を受け、現代の書と、書学の研究を進めてまいりました。一日も早く快癒します」云々。
鉾井直作さん(1935年生まれ。砂川)は洋画家。日洋会委員。
「海外に取材に行きますが、なんといっても北海道の大地の力強さ、おおらかさ、体が清く美しくなる空気が大好きです。私はまだ未熟、未完ですが、しかしその未完を楽しみながら創作を続けてまいりたい」
渡会純价さん(1936年生まれ。札幌)は、北海道の銅版画の草分けのひとり。全道展会員。日本版画協会北海道支部長。
音楽を思わせるリズミカルな画風です。
「北海道の版画界はまだ不遇でして、道内で正式に版画を教える教育機関もないのが残念。81歳になりましたが、従来通り制作活動を続けており、今年もまた新しい技法をつくりました。命が続く限り、励んでいきたい」
澁谷俊彦さん(1960年生まれ。札幌)は、北海道の自然を取り入れたインスタレーションで海外でも評価されている美術家。専門学校で美術教育にも長年尽くしています。
「自然から学ぶとは、自らを謙虚な姿勢に立ち直らせてくれる。美術家と美術教育の両立は易しくありませんが、その環境を整備してくれた安達学園の理解に深く感謝したい。今後もプランを確実に実現していくよう、励んでいく」
若宮明彦さん(1959年生まれ。札幌)は詩人。4冊の詩集を上梓するかたわら、北海道新聞「日曜文芸」欄の選者としても長年活動しています。また地質学の研究者として教育大で教壇に立っています。
「北海道の大地がここまで育ててくれたことに感謝しております。原子修先生には親身で厳しいご指導をいただき、阿部博光先生は同僚なのですが、フルートの音色を今も覚えております。教え子が教育界で活躍してくれることを希望しています」
樽前artyプラスは、苫小牧市樽前地区を拠点に芸術と地域社会を結ぶ活動に10年以上取り組んでいる団体。
代表の藤沢レオさんがあいさつしました。樽前artyの缶バッジを胸に付けています。
「こんなに若い団体を評価していただき感謝に堪えません。芸術を介した、もうひとつの(オルタナティブな)つながり方を今後も模索しておき、後世この受賞が『英断だった』といわれるよう、頑張っていきたい」
この後、札響(札幌交響楽団)のコンサートマスター田島さんがモーツァルトのバイオリンソナタを演奏しました。
受賞者の皆さん、おめでとうございます。
以下、蛇足。
それにしても、今回の受賞者5人1団体のうち、書道を含めた広義の美術関係で4人1団体というのは、いささか驚きです。美術関係者からの推薦が多いことの反映なのでしょうが。
過去の受賞者を見てみると、かつては多くいた北大の先生など学術関係者が近年めっきり減っていたり、美術やクラシック音楽にくらべると映画関係者やクラシック音楽以外のミュージシャンが極端に少なかったり、いろいろなことに気づきます。日本画家、漫画家が69回の歴史で皆無というのも、いかがなものでしょう。
ほかにも気になったことはありますが、とりあえずここで擱筆します。