1939年(昭和14年)に旗揚げした公募展。当時は、シュルレアリスムなど画壇の最先端をゆく顔ぶれが加わっていました。北海道支部は毎年かならず、メンバーによる支部展を開いております。新道展の会員とかなり重なりますが、そうでない人もいます。
いわゆる写実的な絵は1点もありません。多様な傾向の作品がならんでいます。
青山清輝「オブジェ的発想による空間思考’06 51」「オブジェ的発想による空間思考’06 52」「オブジェ的発想による空間思考’06 53」
ちぎり絵の技法を生かした抽象画です。といっても、通常のちぎり絵のような、水彩調の作品ではありません。
細野弥恵「マヒア」
唯一の立体です。
柳川育子「光の中へ」「追想」
黄色がまばゆいです。
山形弘枝「彼方へ」
さまざまなモティーフを組み合わせています。
藤野千鶴子「宙-シンフォニーI」「宙-シンフォニーII」
宇宙的なエネルギーをはらんだ抽象画。以前にくらべ、濃い色でぬりつぶされた部分がほとんどなくなり、白い筆跡がびっしりと画面を覆うようになりました。それが画面に、「行為の集積」のような性格を与えてきているように思えます。
大林雅「依怙地」「彷徨う」
奇怪な宇宙生物のような、なぞのしわだらけの物体を描きつづけています。あるいは、人間の心の変形したものなのでしょうか。
鈴木秀明「フローラ」
花を口から吹きながら空を飛ぶ石像。終末的な感覚の強かったこれまでの鈴木さんの絵にくらべ、画風そのものは変わりませんが、やや肯定的というか、前向きの感じが出ているように思いました。
三浦恭三「循環№35」「循環№36」「循環№37」
曲線を生かした、青がさわやかな抽象画です。陸上トラックのような形が軽快です。
西田靖郎「挽歌」
格子模様の床には瓦礫のような岩が散乱し、後ろ向きの人物は錫杖(しゃくじょう)のようなものを手にしています。終末観、と一言ではわりきれない、ふしぎな感覚のただよう世界です。
金子賢義「終末の頌№5」「没落風景№2」
前者はしゃれこうべが地面におびただしく散乱している図柄。後者は、みすぼらしい民家が、川のある荒れ地にならんでいるというもの。金子さんの絵は、文明社会の迫り来る没落を予言しているかのようです。
宮沢克忠「思惑A」「思惑B」
1960年代のデザインのような、ちょっと古いおしゃれ感覚が、かえって新鮮です。
5月22日(月)-27日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3)