(承前)
ところで、そもそも天塩川とはどういう川で、その流域はどんな地域なのか。
前項の「■大友真志・佐藤拓実「天塩川」」を理解するためにも、筆者なりの印象をかんたんに書いておきたい。
国土交通省のウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/river/toukei_chousa/kasen/jiten/nihon_kawa/0110_teshio/0110_teshio_00.html )には
と書かれている(ルビは筆者がつけた)。
ちなみに、この「256キロ」というのは、日本の川のなかで、
信濃川 367キロ
利根川 322キロ
石狩川 268キロ
に次いで第4位である。
天塩川の流域が、上に挙げた三つの川の流域と、一番異なるのは、人口の違いだろう。
流域にある市は、名寄と士別の二つしかない。
下の略地図の範囲でも、稚内を含めて三つしかないのだ。
あとはすべて、人口1万人に満たない町村である。
札幌から列車や車で道北に向かうとしよう。
旭川までの間は、水田が広がり、ところどころに市街地があるし、特急列車もたくさん走っている。
しかし、旭川から北、稚内までの間は、特急は1日わずか3往復だ。
それでも、名寄までは快速列車や急行バスがそれなりの頻度で走っている。
名寄から北は、普通列車が1日3、4往復に激減してしまい、旅の計画をたてるのも一苦労だ。
水田の広がる旭川の平野を過ぎ、塩狩峠(それほど険しくない)を超えると、あたりは水田や畑が多くなる。
士別や名寄のあたりは、多くの支流が天塩川に流れ込むので、盆地が広く、豊かな穀倉地帯になっているのだ。
景観としては空知や旭川の平野部と似ている。
私見では、この眺めが変わる地点が、恩根内だ。
空知や旭川よりは北にあるぶん、名寄や美深は寒く、水田でも、冷害に強いもち米を主に作っている。
その北端が恩根内なのだ。
恩根内より北側は、谷幅が狭くなって農地が確保できない上に、稲作に適さない気候のために、酪農や林業が基幹産業になっていることが見てとれる。
なので、走っていても、恩根内を境にして景観がまったく違う。
それまで、そこそこ点在していた人家が急に減る。
2015年の国勢調査で美深町の人口は4659人。
だが、北どなりの音威子府村は832人、そのとなりの中川町は1763人だ。
人口密度はいずれも1平方キロあたり2人台で、これはロシアやカナダよりも低い。
(名寄よりも北の市町村で、1平方キロあたりの人口密度が二けたなのは、稚内市だけである)
ひとくちに北海道といっても、大都市もあれば、温暖な地域もある。
天塩川の流域、とくに下流域は、人影の少ない寒冷な大地なのだと思う。
ところで、そもそも天塩川とはどういう川で、その流域はどんな地域なのか。
前項の「■大友真志・佐藤拓実「天塩川」」を理解するためにも、筆者なりの印象をかんたんに書いておきたい。
国土交通省のウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/river/toukei_chousa/kasen/jiten/nihon_kawa/0110_teshio/0110_teshio_00.html )には
天塩川は、その源を北見山地の天塩岳に発し、士別市及び名寄市で剣淵川、名寄川等の支川を合流し、山間の平野を流下して音威子府の狭窄部を経て中川町に至り、さらに天塩平野に入って問寒別川等の支川を合わせて天塩町において日本海に注ぐ、流域面積5,590km2、流路延長256kmの一級河川です。
と書かれている(ルビは筆者がつけた)。
ちなみに、この「256キロ」というのは、日本の川のなかで、
信濃川 367キロ
利根川 322キロ
石狩川 268キロ
に次いで第4位である。
天塩川の流域が、上に挙げた三つの川の流域と、一番異なるのは、人口の違いだろう。
流域にある市は、名寄と士別の二つしかない。
下の略地図の範囲でも、稚内を含めて三つしかないのだ。
あとはすべて、人口1万人に満たない町村である。
札幌から列車や車で道北に向かうとしよう。
旭川までの間は、水田が広がり、ところどころに市街地があるし、特急列車もたくさん走っている。
しかし、旭川から北、稚内までの間は、特急は1日わずか3往復だ。
それでも、名寄までは快速列車や急行バスがそれなりの頻度で走っている。
名寄から北は、普通列車が1日3、4往復に激減してしまい、旅の計画をたてるのも一苦労だ。
水田の広がる旭川の平野を過ぎ、塩狩峠(それほど険しくない)を超えると、あたりは水田や畑が多くなる。
士別や名寄のあたりは、多くの支流が天塩川に流れ込むので、盆地が広く、豊かな穀倉地帯になっているのだ。
景観としては空知や旭川の平野部と似ている。
私見では、この眺めが変わる地点が、恩根内だ。
空知や旭川よりは北にあるぶん、名寄や美深は寒く、水田でも、冷害に強いもち米を主に作っている。
その北端が恩根内なのだ。
恩根内より北側は、谷幅が狭くなって農地が確保できない上に、稲作に適さない気候のために、酪農や林業が基幹産業になっていることが見てとれる。
なので、走っていても、恩根内を境にして景観がまったく違う。
それまで、そこそこ点在していた人家が急に減る。
2015年の国勢調査で美深町の人口は4659人。
だが、北どなりの音威子府村は832人、そのとなりの中川町は1763人だ。
人口密度はいずれも1平方キロあたり2人台で、これはロシアやカナダよりも低い。
(名寄よりも北の市町村で、1平方キロあたりの人口密度が二けたなのは、稚内市だけである)
ひとくちに北海道といっても、大都市もあれば、温暖な地域もある。
天塩川の流域、とくに下流域は、人影の少ない寒冷な大地なのだと思う。
(この項続く)
地図はもう少し大きな文字にすれば良かったと反省しています。
流域では、やはり名寄が3万人と、相対的に大きなマチですよね。
わたしは中川より先に行ったことがありません。
老後の楽しみにとっておいてます(笑)。
分かり易い地図と記事を拝見し、自分がどこを通っていたのか、良く理解できました。真冬に2回、特急で稚内にいきましたが、墨絵のような風景を見ながら札幌まで5時間半ほどかかりました。
確かに、稚内からの帰りに名寄から多くの人が乗車しました。隣に座った男性がカップ酒でお弁当を食べているのを横目に、ペットボトルに半分ほど残っていたジュースを、ちびり、ちびりとなめ疲れた記憶です。 その土地を知る興味深い記事をありがとうございました。