竹本英樹さんは、8ミリフィルムでスチル写真を撮るなど、映像にはこだわりのある写真家。海外や札幌のコンテストで上位に入ったり、写真誌「三角」を発刊するなど、粘り強く活動を続けている。
今回のテーマは
ということらしい。
筆者が、自分なりに解釈し直すと、こういうことだろうか。
つまり、人は日々いろいろな映像を見ている。
そして、それらは、脳のハードディスクにたまっていっている。
しかし、人はそれらをいちいち意識なんてしない。
それら、意識の上にのぼらないまま、脳のハードディスクに沈んでいる映像の断片を、どっさりとプリントし、あらためて並べ直したらどうなるか。
…といったところじゃないかと思う。
だから、これらの映像は、「写真よさようなら」の頃の森山大道を思わせるものがある。
いっさいの映像が等価であることの宣言。
映像を作り込む主体としての作者の死…。
日常、人が目の前を流れていく映像をいちいちあらためて意識しないように、竹本さんも次々とシャッターを押していった。その結果がランダムに提示されているのが、今回の写真展じゃないのかと思う。
大道さんと似たような方法論だからといって作品が無意味だとか、そんなことを言ってるわけじゃない。
やり方は似ていても、目にうつる映像や、ハードディスクに蓄積されていく意識は、人それぞれだろうから、今回の写真展は、あくまで竹本さんの意識の断片の集積なのである。
そして、粒子感のある不鮮明な映像の断片が、クリアな映像の一般的な写真よりも、その人の意識とか記憶に近い感じがする。これは竹本さんならではの感受性であるし、見る側としても共感を覚えるのだ。
展示方法は、カラーコピーした写真を会場の壁にびっしり間隔をあけずに貼っている。
公園、交叉点、空などの、やや不明瞭なイメージがランダムに壁を埋めつくしている。
ただし2階には、別の作品が展示されていた。
縦位置は縦位置、横位置は横位置でまとめている。
会場中央の、女性の靴だけが、横位置36枚のコピーに分割して大きなイメージを出力している。
ギャラリーの中森さんと、筆者で
「ソニー・クラークの『COOL STRUTTIN'』を思い出すね」
と笑った。
(註:ジャズのアルバムジャケットのデザインとしては、非常に名高いものです)
わたしたちは日々、旅をしている。
その中で、おびただしい映像を網膜にうつしながら、その大半は忘却のふちへと押しやられていく。
多くはそのまま過ぎ去ってしまうが、ある時、ふいに、遠い映像が脳裡に浮かび上がってきて、わたしたちを戸惑わせる。
その種の映像を、あえて白日の下にさらしてある会場で、わたしたちは、戸惑いとなつかしさが合わさったような感情を抱くのだ。
2011年8月18日(木)~9月8日(木)11:00am~7:00pm、月曜休み
temporary space(札幌市北区北16西5 地図H)
□竹本英樹さんのサイト http://www.hidekitakemoto.com
□http://dearfilms.seesaa.net/
【告知】写真展「三角展」(2011年4月)
■さっぽろフォトステージPart1 (2009年)
■光を編む この言葉に触発された13名の作家達が織りなす世界(2008年)
■VERSUS in LAYER-SCAPE -写真をみるということについて- (2008年)
■竹本英樹 PHOTOGRAPH SHOW "OUTTAKES"(2007年)
■竹本英樹写真展「銀遊詩人」 (2007年)
今回のテーマは
年齢を重ねるごとに膨大に蓄積されていく人間の意識。
この展示は自分の意識を構成する素粒子を写真化し、
それを見る事で人に意識されなくなった意識を再構築する実験。
ということらしい。
筆者が、自分なりに解釈し直すと、こういうことだろうか。
つまり、人は日々いろいろな映像を見ている。
そして、それらは、脳のハードディスクにたまっていっている。
しかし、人はそれらをいちいち意識なんてしない。
それら、意識の上にのぼらないまま、脳のハードディスクに沈んでいる映像の断片を、どっさりとプリントし、あらためて並べ直したらどうなるか。
…といったところじゃないかと思う。
だから、これらの映像は、「写真よさようなら」の頃の森山大道を思わせるものがある。
いっさいの映像が等価であることの宣言。
映像を作り込む主体としての作者の死…。
日常、人が目の前を流れていく映像をいちいちあらためて意識しないように、竹本さんも次々とシャッターを押していった。その結果がランダムに提示されているのが、今回の写真展じゃないのかと思う。
大道さんと似たような方法論だからといって作品が無意味だとか、そんなことを言ってるわけじゃない。
やり方は似ていても、目にうつる映像や、ハードディスクに蓄積されていく意識は、人それぞれだろうから、今回の写真展は、あくまで竹本さんの意識の断片の集積なのである。
そして、粒子感のある不鮮明な映像の断片が、クリアな映像の一般的な写真よりも、その人の意識とか記憶に近い感じがする。これは竹本さんならではの感受性であるし、見る側としても共感を覚えるのだ。
展示方法は、カラーコピーした写真を会場の壁にびっしり間隔をあけずに貼っている。
公園、交叉点、空などの、やや不明瞭なイメージがランダムに壁を埋めつくしている。
ただし2階には、別の作品が展示されていた。
縦位置は縦位置、横位置は横位置でまとめている。
会場中央の、女性の靴だけが、横位置36枚のコピーに分割して大きなイメージを出力している。
ギャラリーの中森さんと、筆者で
「ソニー・クラークの『COOL STRUTTIN'』を思い出すね」
と笑った。
(註:ジャズのアルバムジャケットのデザインとしては、非常に名高いものです)
わたしたちは日々、旅をしている。
その中で、おびただしい映像を網膜にうつしながら、その大半は忘却のふちへと押しやられていく。
多くはそのまま過ぎ去ってしまうが、ある時、ふいに、遠い映像が脳裡に浮かび上がってきて、わたしたちを戸惑わせる。
その種の映像を、あえて白日の下にさらしてある会場で、わたしたちは、戸惑いとなつかしさが合わさったような感情を抱くのだ。
2011年8月18日(木)~9月8日(木)11:00am~7:00pm、月曜休み
temporary space(札幌市北区北16西5 地図H)
□竹本英樹さんのサイト http://www.hidekitakemoto.com
□http://dearfilms.seesaa.net/
【告知】写真展「三角展」(2011年4月)
■さっぽろフォトステージPart1 (2009年)
■光を編む この言葉に触発された13名の作家達が織りなす世界(2008年)
■VERSUS in LAYER-SCAPE -写真をみるということについて- (2008年)
■竹本英樹 PHOTOGRAPH SHOW "OUTTAKES"(2007年)
■竹本英樹写真展「銀遊詩人」 (2007年)