「写真の芥川賞」ともよばれる、写真界の登龍門「木村伊兵衛賞」(朝日新聞社主催)のことしの受賞者に、岡田敦さんと志賀理江子さんが決まりました。
このうち岡田さんは札幌出身で、東京在住です。
12日の北海道新聞から。
富士フォトサロン新人賞を受けた「Platibe」(写真集は、窓社)は、2003年に、札幌の富士フォトサロンでも展示されました。
そのときにうけた衝撃はいまもはっきり記憶しています。
現代日本に漂う閉塞感とこれほどまでにシンクロした写真があるのか-と、驚きを隠せませんでした。
それなのに、ジャーナリズムでも、凝った芸術写真でもない。ただ、都市の情景を切り取っているのに、それが見る人を戦慄させる手腕の確かさと、ひりひりした精神の発露に、目を見張る思いでした。
後出しじゃんけんのような物言いになって恐縮ですが、いずれもっと大きな賞をもらう逸材であることは、そのときから予感していました。
後にご恵送いただいた写真集の見返しに
「僕の魂は北海道にある」
という意味のことを書かれていました。
岡田さんの写真は、いわゆる北海道的なものとはあまり関係がありません。むしろ、都市的です。
しかし、道内出身者から初の木村伊兵衛賞作家が出たことは、とても喜ばしいことだと思います。
岡田さん、おめでとうございます。
□岡田さんのサイト http://www2.odn.ne.jp/~cec48450/
■2003年の写真展
このうち岡田さんは札幌出身で、東京在住です。
12日の北海道新聞から。
岡田さんの受賞作は、リストカットをした若い女性らを撮った写真集「I am」(赤々舎)。現代の若者の姿を真正面からとらえた点が評価された。
岡田さんは、1998年に札幌北陵高校を卒業。大阪芸術大在学中の2002年には富士フォトサロン新人賞を受賞した。05年、東京工芸大大学院修士課程を修了。「受賞はうれしいが、リストカットした若者の写真集が必要とされる社会であることには複雑な心境」といい、「生きることのすばらしさ、切なさを撮りたい」と語る。
富士フォトサロン新人賞を受けた「Platibe」(写真集は、窓社)は、2003年に、札幌の富士フォトサロンでも展示されました。
そのときにうけた衝撃はいまもはっきり記憶しています。
現代日本に漂う閉塞感とこれほどまでにシンクロした写真があるのか-と、驚きを隠せませんでした。
それなのに、ジャーナリズムでも、凝った芸術写真でもない。ただ、都市の情景を切り取っているのに、それが見る人を戦慄させる手腕の確かさと、ひりひりした精神の発露に、目を見張る思いでした。
後出しじゃんけんのような物言いになって恐縮ですが、いずれもっと大きな賞をもらう逸材であることは、そのときから予感していました。
後にご恵送いただいた写真集の見返しに
「僕の魂は北海道にある」
という意味のことを書かれていました。
岡田さんの写真は、いわゆる北海道的なものとはあまり関係がありません。むしろ、都市的です。
しかし、道内出身者から初の木村伊兵衛賞作家が出たことは、とても喜ばしいことだと思います。
岡田さん、おめでとうございます。
□岡田さんのサイト http://www2.odn.ne.jp/~cec48450/
■2003年の写真展
やはりこうして認められる写真には、一本筋の通った熱さと、そしてそれを冷静に語れる力があるように思います。
もうお一方の、ロンドンの古い集合住宅の写真もよかったです。今年の木村賞は冷静な視点がキーワードのような気がします。
道内出身者が初めてかどうか、あらためて問われると、「たぶん」としか言いようがないのですが…。
歴代受賞者のリストを見ていると、やはりここ10年ほどは、それ以前に比べて、話題優先というか、賞の選考がやや迷走している印象は否めません。
今回は、写真の賞に戻った感があります。
岡田さんの受賞についてはほとんどsueさんと同じ感想です。
フジフォトで戦慄し、そのあとは、恐ろしくて直視できない-まったくその通りだと思います。
現代社会と若者の抱える病理が写真という手段でこれほどまでに表現できるのか-。岡田さんの仕事は、そこがすごいです。
対して、じぶんは、被写体の抱えている闇に、そこまで寄り添えているか、いいかえると、表現している人のところまで近づけているか、といわれると、まだまだだなあと反省します。