北広島の陶芸家のMさんとは、なぜか偶然ギャラリー回りの最中にお会いする確率が高いのだが、STVエントランスアートの美水(よしみず)さんについて
「いやー、美水さんはカラリストだということがわかったよ」
と感想をおっしゃっていたので
「えっ!? 美水さんの作品は白一色なのでは?」
と驚いた。
会場に足を運んでみて、彼女の変わらない部分と、大きく変わった部分とを、目にすることができた。
(なお、先述のMさんの作品について、「石の彫刻」と何度も書いている人がいる。思いこみというのは、おそろしいものだ)
美水さんは、みずから漉(す)いた紙をつかって平面作品やインスタレーションを制作している。
今回の個展では、会場の中央(階段下の広間になっているところ)の床上に展開した大型のインスタレーションは、たしかに白一色で、いろいろな紙の持つ触感(じっさいには、手は触れないけれど)と微妙な色の違いを味わうことができる。
しかし、壁に展示した額装の作品は、着彩されているものが多い。
その色は、描かれている、というものではなくて、しみこんでいるもの-という感じだ。
「ao」「murasaki」といった、色の名を冠した作品は、おなじ大きさの紙を何枚も重ねているだけのシンプルなもの。
それぞれの紙に色がしみこみ、積まれているさまは、地層の断面のようだ。
展示作のうち、もっとも地層に似ているのは、会場出入り口附近にあった「時層」だろう。
高さ2メートルはあろうかという、縦に細長い作品は、上の方が白、下の方に行くにしたがってピンクや朱色に染まり、美しく微妙なグラデーションを見せてくれる。まさに「時の層」というにふさわしいうつろいだ。
一方で、青や紫がうすく入っている「雪の果」4点が、窓際の壁に展示されているところは、まるで空を切り取ってきたみたいだ。
Mさんが「カラリスト」と評したのは、まったくその通りだと感じた。
一方「sakura」と題された2点は、小枝を漉きこんであるようだ。愛すべき小品。
それにしても、ことしの4月は、山岸さんと山口さんの2人展といい、ウリュウユウキさんの写真展といい、ふだんなら目にも留めないような、消えつつある残雪のもたらす季節感のようなものに、きわめて敏感に反応した作品展が続く。
偶然の一致だろうが、興味深い。
出品作は次のとおり。
「syu」「syu 2」
「雪の果 a」「雪の果 b」「雪の果 c」「雪の果 d」「雪の果 e」
「雪の果(インスタレーション)」
「untitled a」「untitled b」
「sakura」「sakura 2」
「murasaki」「murasaki 2」
「ao」
「midori」
「時層」
08年3月31日(月)-4月20日(日)9:00-18:00(土、日曜-16:00)、会期中無休
エントランスアートSTV北2条ビル(中央区北2西2 地図A)
「いやー、美水さんはカラリストだということがわかったよ」
と感想をおっしゃっていたので
「えっ!? 美水さんの作品は白一色なのでは?」
と驚いた。
会場に足を運んでみて、彼女の変わらない部分と、大きく変わった部分とを、目にすることができた。
(なお、先述のMさんの作品について、「石の彫刻」と何度も書いている人がいる。思いこみというのは、おそろしいものだ)
美水さんは、みずから漉(す)いた紙をつかって平面作品やインスタレーションを制作している。
今回の個展では、会場の中央(階段下の広間になっているところ)の床上に展開した大型のインスタレーションは、たしかに白一色で、いろいろな紙の持つ触感(じっさいには、手は触れないけれど)と微妙な色の違いを味わうことができる。
しかし、壁に展示した額装の作品は、着彩されているものが多い。
その色は、描かれている、というものではなくて、しみこんでいるもの-という感じだ。
「ao」「murasaki」といった、色の名を冠した作品は、おなじ大きさの紙を何枚も重ねているだけのシンプルなもの。
それぞれの紙に色がしみこみ、積まれているさまは、地層の断面のようだ。
展示作のうち、もっとも地層に似ているのは、会場出入り口附近にあった「時層」だろう。
高さ2メートルはあろうかという、縦に細長い作品は、上の方が白、下の方に行くにしたがってピンクや朱色に染まり、美しく微妙なグラデーションを見せてくれる。まさに「時の層」というにふさわしいうつろいだ。
一方で、青や紫がうすく入っている「雪の果」4点が、窓際の壁に展示されているところは、まるで空を切り取ってきたみたいだ。
Mさんが「カラリスト」と評したのは、まったくその通りだと感じた。
一方「sakura」と題された2点は、小枝を漉きこんであるようだ。愛すべき小品。
それにしても、ことしの4月は、山岸さんと山口さんの2人展といい、ウリュウユウキさんの写真展といい、ふだんなら目にも留めないような、消えつつある残雪のもたらす季節感のようなものに、きわめて敏感に反応した作品展が続く。
偶然の一致だろうが、興味深い。
出品作は次のとおり。
「syu」「syu 2」
「雪の果 a」「雪の果 b」「雪の果 c」「雪の果 d」「雪の果 e」
「雪の果(インスタレーション)」
「untitled a」「untitled b」
「sakura」「sakura 2」
「murasaki」「murasaki 2」
「ao」
「midori」
「時層」
08年3月31日(月)-4月20日(日)9:00-18:00(土、日曜-16:00)、会期中無休
エントランスアートSTV北2条ビル(中央区北2西2 地図A)