会期が終わってしまった…。すいません。
カワシマトモエさんに、ほんとうにひさしぶりにお会いした。
プロフィルによると、札幌で最後に作品を発表したのは2003年、中島公園そばの「アトリエZOO」で。ただし、筆者はこれを見たかどうか、おぼえにない。
その前だと、02年、アリアンス・フランセーズギャラリーと、道立文学館での「ビジュアル・ポエトリー展」までさかのぼる。しかし、そのときにお会いした記憶はないし、2000年暮れまで10年間つづいた3人展「クリスマス・テン」となると、さすがに昔すぎてほとんどおぼえていないのだ。
以前のカワシマさんは、「レインドロップ」シリーズなど、若い女性の心理を投影したような画面づくりで、繊細な筆使いがペティポンやオーウェンスといった海外の画家との同時代性を感じさせる、道内では珍しい作家だった。そこらへんが評価されて、2001年にはVOCA(ヴォーカ)展に推薦を受けて出品することになったのだと思われる。
「でも、前のかきかただと、じぶんをすり減らしながらかいているようなところがあって…」
とカワシマさん。
2003年、ドイツ語を学ぶためにドレスデンなどに留学。ドイツ滞在中は現代美術も見たが、宗教画に強くひかれたという。
ふとしたきっかけで果物を描いてみたら、どんどんたのしく描ける。何枚もたまって、ミヤシタでははじめてという個展にこぎつけた。
で、会場に入った瞬間
「ひえー、あのカワシマさんが、フツーの静物画をかいちゃうわけ?」
と、びっくりしたんだけど、よーく見ると、ふつうとちょっとちがう。
いわゆる静物画は、果実1個だけを画面いっぱいに描くことはない。
また、リンゴなどが載っているテーブルなども、まったく描かれていない。
「何個かで構成した絵もかいてみたんだけど、どうもうまくいかない。1個だけ、しかも丸い実でなくちゃいけないんです」
描法はいたってふつう。
ハイパーリアルではないが、省筆がきいていたり、タッチが粗かったりする絵でもない。
8-10センチ鰄4-5.6センチのごく小さな作品が壁にびっしり!
こちらはリンゴではなく、サクランボ、ビワ、パパイア。
なお、中ぐらいの大きさの作品では「洋梨」も5点(19-22鰄10.5-12.5センチ)。
やっぱり、ひとつのキャンバスにひとつずつです。
拡大してみると、こんな感じです(汚い手は筆者の手です)。
額縁は、段ボールを重ねたもの。
モデリングペーストでかたちを整えている。
安っぽいんだか、重厚なんだかわからないのが、段ボールという素材のおもしろさ。
そして、さらにびっくりなのが、大小40点あまりの作品が、3点ほどをのこして、すべて「売約済み」であることをしめす赤丸つきだったこと!
北海道はなかなか絵が売れないといわれる土地柄。こんなに景気のいい展覧会は、見たことがありません。
「わたしにもわからないんですよ」
とカワシマさん。
「ただ、或る人が言うには、すごくたのしんで描いてるのが、見てる人にもつたわってるんじゃないかって」
カワシマさんのあざやかな変身を、どのように評価していいのかはわからない。
今回は最大でS30号だったので、もっと大きい作品があってもおもしろいかもしれない。
07年7月18日(水)-8月5日(日)12:00-19:00(最終日-17:00) 月曜休み
ギャラリーミヤシタ(中央区南5西20 地図D)
□「美術散歩日和」の関連ページ
レインドロップの頃から、赤いピンだらけでした。
観に行った時に、丁度ご品の良い夫婦の方と楽しく
談笑されていました。
会話の中に
「映画の撮影に部屋を提供してたから、ロケ終了まで
ずっとヨソで生活してたんだ」
?、フィルムコミッションの方かな?
何の映画だろう?
帰り際、芳名録で名前を拝見すると、早川渉さん!!
来月札幌で公開されるホラー映画「壁男」の
監督さんです。
おおっ、券買ったんだよ「壁男」。
オール北海道ロケで、楽しみにしています。