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■渡邉眞利個展 (8月7日まで)

2007年08月06日 23時43分56秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 国画会と全道展の会員で、千葉県船橋市に住んでいる画家の渡邉さんが、札幌で個展を開いています。
 案内状にはつぎのようにあります。

 1931年函館生れ。北海道学芸大卒。室蘭市文化センター大ホールどん帳制作。インド、トルコ、モロッコ、チュニジヤ、シリヤなど乾燥地帯の風物を取材制作して30年になる。


 「テーマは風、です」
と渡邉さん。
 なるほど、ことしの全道展出品作「風の峠」など、ほんらいは目に見えない風が、渦を巻いて画面に充溢しています。
 しかも、作品によってはピンクがかった真紅の風になっています。
 70代後半になっても、よくある「枯淡の境地」に安住するのではなく、マティスのようにむしろ色が鮮やかになっていく-そういう画家の強い思いがつたわってきます。
 あるいは、暗く重たい色調の絵の多い全道展にたいする、一種の意思表示なのかもしれません。

 ただ、大きな作品では風が強く吹いていますが、小品は、母子が馬車の荷車に乗っていたり、女性たちが綿花の摘み取りをしていたり、少年がバザールで店を出していたり、むしろ生活を感じさせるおだやかな絵が多いです。

 一方で「東アナトリヤ高原」「アナトリヤ高原の風」の水彩2点は、はるかな地に吹く風だけを具現化した、むしろ抽象画に近い、色の帯で構成された作品になっています。
 また、小品の「るり色の花」は、あざやかな瑠璃色を背景に、ネギボウズに似た青い花が揺れている1枚。
 筆者はこういう色にヨワイのです。ノヴァーリスの小説などが聯想され、思いはどこまでもとんでいきます…。


 渡邉さんが画家になろうと学校教師を辞めて上京したのがおよそ40年前。
 そのころはパリやロンドンで取材した絵を発表していたそうです。
 しかし、個展会場に
「ああ、わたしここに行ったことある」
と言われたり、じぶんのモティーフがすでにユトリロが描いた場所であることがわかったりして嫌気が差し、インドへ。さらにパキスタンなどにも旅し、中央アジアの乾燥地帯にすっかり魅了されたそうです。

 「むこうの人のひとみは澄んでいる。そして、悠々としているよね。走ってるのは、警官に追っかけられてる泥棒と、旅行の日本人ぐらいだよ」
 
 お元気そうにシルクロードへのあこがれを語る渡邉さんも
「もう札幌で個展を開くのが大儀で…」
とこぼします。
 そんなことおっしゃらずに、またひらいてほしいのですが。


07年8月2日(木)-7日(火)10:00-18:00
大同ギャラリー(中央区北3西3、大同生命ビル3階 地図A


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