札幌を拠点に、オーストリアなど各地で個展をひらく抽象画家の日野間さん(1962-)。
先日個展をひらいていたカワシマトモエさんに負けず劣らず日野間さんも、筆者にとっては「おひさしぶり感」のつよい画家です。
公募展に所属せず、現代的な絵画を制作しているという点でも、なんとなく立ち位置が似ていなくもありません(もちろん画風も年齢もだいぶ異なりますが)。
筆者は2004年のSTV北2条ビルのエントランスアートのさいは、札幌にいなかったため拝見しておらず、その前年の、豊平区美園のレストランでの個展にも行けませんでした。したがって、個展を見るのはじつに1999年の大同ギャラリー以来、ということになりそうです。
ただ、2003年の「Pacific Art Rim Now 2003 プロローグ展」では見ています。
これは、日野間さんがさぼっていたのではなく、サイトのプロフィルのコーナーをのぞいてみればわかるように、東欧・中欧を中心に、国外での発表がけっこう多いようなのです。
抽象画は、たとえばフリージャズやへヴィメタルなどと同様、一定の様式を踏まえればあまり出自とかナショナリティを問われないという面もあるのかもしれません。
ただし、今回筆者が見たかぎりでは、むしろ一見インターナショナルな日野間さんの絵画に、どうしようもなく日本的な感性が嗅ぎ取られてしまう瞬間がありました。
それがもっとも顕著だったのが、4枚組みの「breath-Jan.Feb.05」です。とくだん法則性もなく、いつのまにか白から緑へ、緑から青へ、さらにベージュへと、靄のようにうつろっていく画面は、ウエットな空気感にとんでいます。
画材はすべてアクリルですが、紙、カンバス、板と、さまざまな支持体での制作を試みているのも、興味深いです。
日曜には知己のヴァイオリニストによるコンサートが会場でもよおされ、約30人が集まったそうです。日野間さんの絵を見てインスパイアされ、ヴァイオリニストがあらたに作った曲も何曲か披露されたとききました。
出品作は次のとおり。
「breath-Apr.I」02年
「Works」07年
画面の左から右に絵の具が垂れ落ちているところを見ると、展示の段になって90度かたむけたようです。
「SORA Mar.」06年
「breath-Jan.Feb.05」
「liquid」07年
「SORA Apr.」06年
「breath-winter(1)」03年
「breath-winter」03年
最後に、DMに載っていた批評文を転載しておきます。
07年7月26日(木)-8月7日(火)10:30-17:30(最終日-16:00)、水曜休み
ギャラリー紀(中央区南5西24 地図D)
□サイト
□2005年、ルーマニアでの展覧会のようす
■Pacific Art Rim Now 2003 プロローグ展
先日個展をひらいていたカワシマトモエさんに負けず劣らず日野間さんも、筆者にとっては「おひさしぶり感」のつよい画家です。
公募展に所属せず、現代的な絵画を制作しているという点でも、なんとなく立ち位置が似ていなくもありません(もちろん画風も年齢もだいぶ異なりますが)。
筆者は2004年のSTV北2条ビルのエントランスアートのさいは、札幌にいなかったため拝見しておらず、その前年の、豊平区美園のレストランでの個展にも行けませんでした。したがって、個展を見るのはじつに1999年の大同ギャラリー以来、ということになりそうです。
ただ、2003年の「Pacific Art Rim Now 2003 プロローグ展」では見ています。
これは、日野間さんがさぼっていたのではなく、サイトのプロフィルのコーナーをのぞいてみればわかるように、東欧・中欧を中心に、国外での発表がけっこう多いようなのです。
抽象画は、たとえばフリージャズやへヴィメタルなどと同様、一定の様式を踏まえればあまり出自とかナショナリティを問われないという面もあるのかもしれません。
ただし、今回筆者が見たかぎりでは、むしろ一見インターナショナルな日野間さんの絵画に、どうしようもなく日本的な感性が嗅ぎ取られてしまう瞬間がありました。
それがもっとも顕著だったのが、4枚組みの「breath-Jan.Feb.05」です。とくだん法則性もなく、いつのまにか白から緑へ、緑から青へ、さらにベージュへと、靄のようにうつろっていく画面は、ウエットな空気感にとんでいます。
画材はすべてアクリルですが、紙、カンバス、板と、さまざまな支持体での制作を試みているのも、興味深いです。
日曜には知己のヴァイオリニストによるコンサートが会場でもよおされ、約30人が集まったそうです。日野間さんの絵を見てインスパイアされ、ヴァイオリニストがあらたに作った曲も何曲か披露されたとききました。
出品作は次のとおり。
「breath-Apr.I」02年
「Works」07年
画面の左から右に絵の具が垂れ落ちているところを見ると、展示の段になって90度かたむけたようです。
「SORA Mar.」06年
「breath-Jan.Feb.05」
「liquid」07年
「SORA Apr.」06年
「breath-winter(1)」03年
「breath-winter」03年
最後に、DMに載っていた批評文を転載しておきます。
日野間尋子は、最終的に抽象的絵画に集中することになった。この作家は、作品の中で再三再四にわたり日本の伝統芸術を引き合いに出す。最初は、繊細なアクリルの色彩を麻布にもたらすため、さまざまな筆を使っていたが、現在は、主に色彩スプレーを画面上に使用するにいたっている。
絵画のはじまりの一点を形成するのは彼女にとって一本の線であり、狙いをさだめ、それを的確に置く。その後、線から線へと続けていき、線だけで、表面は最終的に満たされていく。つまり線が、ある程度まで一つ一つの絵画の基盤、核心を形成する。この線に平面、空間が加わることで、彼女の制作は三和音の完結へもたらされていく。
光と空間と深さの結びつきは、最終的にある雰囲気を生み出し、その作用は、観覧者が見落としようのないものだ。そこで観覧者は、この作家が絵画で何を表現へもたらそうとしているのか予感することになる。
日野間尋子にとって、芸術はいわば何か‘宗教的なもの’であり、すべての絵画は彼女にとって一種の祈りに似たもの、空気と光についての個人的な表現なのである。
-ギャラリーベーナー/ドイツ 2006年11月-(翻訳:堀田真紀子)
07年7月26日(木)-8月7日(火)10:30-17:30(最終日-16:00)、水曜休み
ギャラリー紀(中央区南5西24 地図D)
□サイト
□2005年、ルーマニアでの展覧会のようす
■Pacific Art Rim Now 2003 プロローグ展
足を運んでくださってありがとうございました。
お会いできなくて残念でした。
http://hinoma.blog.drecom.jp/archive/160
そういえば、リアル日野間さんにはずいぶん長いことお会いしてないような…。
トラックバックありがとうございました。
設定の関係で、気づくのがとても遅くなって失礼しました。
ずいぶんタイムラグがありますが、こちらからもトラックバックさせていただきました。
これからもブログ読ませていただきますね。
よろしくお願いいたします。
お手間をとらせてしまい、すいませんでした。
あらさんのお名前はずいぶんあちこちでお見かけします。
今後ともよろしくお願いいたします。