北海道美術ネット別館

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初冬に本を買い求める

2019年12月08日 10時18分01秒 | つれづれ日録
 ことし9月末に敢行した旅の日記も佳境を迎え、「あいちトリエンナーレ2019」でも話題の作品「旅館アポリア」(ホー・ツーニェン作)について書かなくてはならない時期がようやくやってきた。
 しかし、地元の図書館には、参考になりそうな本が全くない。

 そこで突発的に、オホーツク地方では最も大きいといわれる書店に行くことにした。
 自動車で1時間余り。峠を三つ越えていく。

 たしかにオホーツク地方では最大なのかもしれない。
 かつて紀伊國屋書店札幌本店やジュンク堂札幌店などによく足を運んでいた筆者は、事前に期待しすぎたことに、店に着いた直後に気づかされた。
 人文書などは、棚をつくることのできる店員がいないのだろう。柳田国男の評伝が美術のコーナーに面陳してある。取次から配本されたものをそのまま置いているのだろう。
 硬派の文庫も少ない。平凡社ライブラリーもちくま学芸文庫も、100点あるだろうか。講談社文芸文庫は、数えたら21冊しか並んでいなかった。
 岩波文庫と岩波新書がまずまずたくさん置いてあるのが救いである。

 とはいえ、あらためて大都市と地方の「文化格差」ということに思いをいたさずにはおれない。
(書いているうちに、ずいぶん上から目線な文章だなと自分でも思えてきたが、どうしようもない)

 落胆ばかりもしていられない。
 こんな品ぞろえだが、講談社現代新書の『京都学派』(菅原潤)があったのは僥倖だった。この本はなかなかおもしろく、その晩のうちに読み切ってしまった。
 ほかに購入したのは次の通り。
清水正之『日本思想全史』(ちくま新書)
山本浩貴『現代美術史 欧米、日本、トランスナショナル』(中公新書)
大塚英志『手塚治虫と戦時下メディア理論』(星海社新書)
慎改康之『ミシェル・フーコー ー自己から抜け出すための哲学』(岩波新書)
安丸良夫『現代日本思想論 歴史意識とイデオロギー』(岩波現代文庫)
田川とまた『ひとりぼっちで恋をしてみた』1,2(講談社ヤングマガジンコミックス)

 美術手帖を買うのを忘れていた。

 ペーパーバックばかりなのは、書店の品ぞろえゆえ、仕方ない。



 後日、中湧別の図書館に行ったら、除籍本を「ご自由にお持ちください」とあったので、宮本百合子『播州平野・風知草』と、新潮社の日本文学全集の林芙美子集、伊藤整集を入手した。

 なんか、一切のあれこれをやめて、本だけ読んで過ごしたい。そんな気分になっている。


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2 コメント

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Unknown (SH)
2019-12-08 10:32:11
ヤナイさん、こんにちは。
私、極めて軟派な本しか読まないのですが、本屋さん問題は辛いですね…
もうネット書店に移行しろということなのかもしれませんが、札幌ではできる限り書店に行きたいと思っています。
先日、豊洲の紀伊国屋さんが閉店するというのを見て、かなりの絶望感を感じましたが。
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SHさん、こんにちは (ねむいヤナイ@北海道美術ネット別館)
2019-12-08 17:24:40
まあ
「マチの本屋さんがなくなると寂しいですねえ」
とか言ってる連中が amazon とか使ってないベな、というのもあるのですが、それ以上に、実物を見ないで本を買うというのも、靴の次ぐらいに信じられないんですよね。大好きな小説家の新作とかならともかく、勉強のための本で、自分に合うレベルかどうかもわからないのに、ぜんぜん見ないで通販で買うというのは無謀だと思います(いや、まあ、だいたいわかるんだけどさ)。

にしても、1時間以上走ってこれかよ、という慨嘆は正直ありました。
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