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2017年4月22日は雨(1) 木原直彦さんの講演会

2017年04月24日 10時21分00秒 | つれづれ日録
 朝から冷たい雨がふっていました。

 北海道立文学館で、本日から始まる特別展「北海道文学館創立50周年記念特別展 ふみくらの奥をのぞけば 文学館・珠玉の300選」のオープン記念講演会「北海道文学の跫音あしおととともに―文学館運動50年を語る」があるため、出かけてきました。講演は午前11時からなので、ゆっくりとした1日のスタートです。
 講師は、それこそ文学館運動に半世紀以上携わってきた、北海道文学館名誉館長・初代事務局長の木原直彦さんです。

 すこしややこしいですが、道立文学館は、札幌の中島公園にある道の施設です。
 それに対し「北海道文学館」は団体(財団法人)の名前です。1967年に旗揚げされて、ずっと文学館の設立運動をしたり、資料の収集をしたりしていました。道立文学館が95年に設置されてからは、同館を拠点とし、運営も行っているというわけです。

 木原直彦さんは1930年(昭和5年)室蘭生まれ。
 文学者としては珍しいタイプだと思いますが、自己の主張を述べたり創作にまい進したりという人ではなく、北海道と文学に関する資料をこつこつと集め、整理する、マメな方です。この堅実な取り組みが実を結んだのが、明治編、大正・戦前編、戦後編の3冊にわたる『北海道文学史』といえるでしょう。
 また、札幌市教委にスカウトされて、「さっぽろ文庫」全100冊の編集に携わりました。

 筆者は木原さんから仕事で、いろいろな逸話を聞いていますが、この日は知らなかった話が多く(単に聞いて、忘れてしまったのかもしれませんが)、興味深かったです。
 北海道文学館を財団法人化するとき「3千万円必要」と言われて、板垣さん(札幌市長)に相談しに行き、けっきょく道が1千万、「われわれが積み立てておいたお金」が500万、それに札幌市、道新グループ、道銀が出資したとか、文学展の移動展をやる前に鳥居省三さん(文芸評論家。「釧路文学」主宰で、原田康子を世に出した人)と酒を飲んだら道議に話をつけてくれたとか、文学展の作業スペースとして道銀が支店の会議室を長期にわたり貸してくれたとか、船山馨の1周忌記念展を東急で開いたとき「お登勢」(船山馨の代表作)の主演女優の音無美紀子さんが来ていたとか…(木原さんのとつとつとした語り口だとそうでもないけど、文字にするとけっこう生々しい部分もあるな~笑)。
 
 おもしろかったのは、当時の横路孝弘知事が文学館建設を2期目の公約に掲げてくれたのはいいが、なかなか適地がなく、江別市の道立図書館や札幌学院大のそばを提示され(札幌から遠すぎる…)、一時は道立近代美術館の向かいの土地(いまは駐車場)も候補になったという話。いくらなんでも、細長すぎる…。
(ついでだから書いておきますが、あそこは昔、道職員の官舎がありました)

 木原さんは
「今後、文学館がいっそう充実するとともに、新しい文学への起爆剤になってくれたらうれしい」
との言葉で、講演会をしめくくっていました。

 客席に道新関係者が2人いたので、アウエー感はそれほどでもなかったのですが、60歳以下はどうみてもひとけたしかいませんでした。
 まあ、文学に限らず、講演会って、ほんとに若い人は来ないですよね。


 このあと「ふみくらの奥をのぞけば」を見たけど、非常に充実した内容で、すごい展示量でした。
 あの決して広くはない特別展示室を見るのに、1時間以上かかりました。
 詳しくは別項で。




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