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第26回道彩展(9月24日で終了)

2006年09月29日 04時57分49秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 3年ぶりに見ました。会員・会友を中心に、激しいタッチの具象画(静物、人物など)が多いのは、変わっていませんが、それ以外の傾向の作品も少しずつ出てきているようでした。「北海道水彩画会」を名乗るのですから、いろんな種類の絵があったほうが面白いと思います。
 たとえば、抽象では、長く栗山巽さん(江別)が宇宙的な広がりのある画面で、孤軍奮闘してきた感がありますが、今回は辺見富美子さん(同)が深みのある抽象作品を出していますし、青木美樹さん(小樽)は白い紙をぬらして貼り付けるという技法で「雪国」を表現しています。
 折登朱実さん(札幌)は、ここ数年、札幌・苗穂地区の風景をモティーフにした絵が多いように思います。ただ、茫漠として、霧の中に存在がかすんでいくような感じは変わりません。その画風は、今村紀子さん(同)にも共通します。題には「morning mist(チャオプライヤー河・タイ)とありますが、暗い地に白い色がただよっているように見えます。一方、中田やよひさん(同)は静物画で、やはりおぼつかない存在に迫っています。
 なお、中田さんの作品の題が目録では「テーブルの猫」となっていましたが、会場では「between」になっていました。実際の絵では猫はテーブルではなくいすにすわっているので、後者が正しいのでしょうか。
 道彩展に多い、激しいタッチの絵では、魚介類を描いてきた川本エミ子さん(石狩)「月海」が、抱き合おうとしている男女をモティーフにしているのが目を引きます。といっても、周囲にはイカや海が配されているのですが。なぜか、筆者は、クリムトを思い出しました。
 会員では、ほかに、オーソドックスな写実の小堀清純さん(札幌)、咲き乱れるバラをいっぱいに、黄緑の諧調ゆたかに描いた合田早苗江さん(同)、つつじのオレンジがまぶしい生越俊子さん(同)、明度の高い色で豊平峡ダムを描いた武田輝雄さん(同)など。また、谷口満次郎さん(同)「忍路(おしょろ)海岸」のさびしげなところや、中橋るみ子さん(同)「凍る海、夕景」の港の風景が、心にのこりました。

 会友では、大橋頼子さん(札幌)「樹彩」がとてもおもしろいです。リアルな小鳥の描写と、色面に分割した幹の描写の対比。さらに、あざやかな黄緑の発色など、個性的な1枚です。会員推挙。

 一般。
 横山順一郎さん(苫小牧)「漁船群」。カンバスに描いているようです。船をかたまりとしてとらえ、構図にめりはりができています。奨励賞。
 丹保恵利子さん(江別)「紅色のサンゴ草」。一面の赤がまばゆいです。
 松井志津子さん(渡島管内七飯町)「その先にあるものII」。なにが描かれているのがよくわからないのですが、切迫感のようなものがつたわってきます。
 木田喜重さん(札幌)「窓辺のテーブルと紫陽花」。ボナールをおもわせる、しゃれた作品。
 太田智子さん(同)「静物」。ものの本質に迫ろうとするタッチだと思います。札幌市長賞。
 大山栄子さん(北斗)。奨励賞。乱反射するレモンイエローがきれい。
 松原道興さん(札幌)「北商橋」。シルクスクリーンのような色彩表現です。
 風景画では、北大第二農場をモティーフとした柴垣誠さん(同)「悠遠」と、小樽運河をひじょうに丁寧かつ精緻に描いた久野省司さん(同)「運河の有る街」が目を引きました。道彩展の一般的な傾向とはことなる写実的な画風ですが、ここまでうまいと、こういう人もたいせつにしたいものだと思いました。

9月20日(水)-24日(日)10:00-18:00
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6 地図G) 


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