イギリスで急拡大しているコロナ変異種。首相自ら国民に呼び掛けている通り感染力は極めて強力で、イギリスの一日の新規感染者数は3万6千8百人と過去最高を記録している。これを受けて既に40か国以上がイギリスからの入国制限を強化した。具体的には航空便の到着禁止やトラックでの貨物の運搬停止などの処置。
イギリスがEUから脱退すること(Brexit)の目的の一つは、自らの判断で国境の管理を強化して不法移民の流入を防ぐことだったが、コロナ変異種の拡大およびそれに対するEU 諸国からの反応は皮肉にも、そんな国境管理を不要なものにさえしている。各国が今や競って(コロナ変異種の)侵入を防ぐためにイギリスとの門戸を閉ざしているからだ。これほど効率的な国境管理は他にないだろう。なにしろ、イギリスは何もしなくても国境が完全に閉じられてしまったのだから。
意図しない形での国境封鎖はイギリスの市民生活に甚大な影響を与えはじめている。春先と同様、供給に不安を持つ消費者の買いだめにより、スーパーマーケットなどの小売り店からは生鮮食料品が姿を消している。早急に再開されなければ深刻な事態になるだろう。さすがにこの事態に直面してイギリスとフランスの間では、感染していないことの証明と引き換えにある程度の(トラック等による)生活必需品の物流をみとめることになったようだ。一方で、すでにトヨタは英仏の工場のクリスマス休暇の前倒しと言う形で工場閉鎖に踏み切っているし、産業界・経済界への影響は今後極めて大きくなるものと思われる。
イギリスは世界でいち早く産業革命を興し、かつ、七つの海を支配して世界中に植民地を獲得して日の沈むことの無い大英帝国を築き上げた。それは、今に至っても英連邦と言う形で残っているから、どこかに世界国家としての名残がある。そんなかつてのイギリスの非同盟政策が栄光ある孤立、と言う言葉につながったのだろう。この栄光ある孤立は世界情勢の変化とイギリス国力の低下によって19世紀末には維持することは出来なくなり、その終焉の象徴が、日英同盟だとも言われる。
BREXIT をにらんで日本はいち早くイギリスとの日英包括的経済連携協定(FTA)交渉を取りまとめた。そこには微かにかつての日英同盟の名残のようなものを見ることもできようが今回のコロナ変異種の発生によって、日本もイギリスからの入国を一時停止することを余儀なくされたし、イギリスへの渡航自粛を要請することになっている。イギリスへの道は暫くは遠いままのようだ。
ところで、数日前からの頭痛がおさまらない。耐えられないほどの痛みではないのだが、鈍い痛みが額に張り付いたようで離れない。そのせいか、あるいは逆なのかはわからないが首にも痛みが広がってきたようだ。例えていえば、二日酔いの時の痛みに似ている。もちろん、酒を飲んだ訳ではないのでそれがこの頭痛の理由ではない(二日酔いなら大体昼頃には痛みが治まるものだ)。丁度半年前、かなりひどい眩暈に襲われたことがあった。その時は数時間もしないうちに回復したので大したこともないと思いそのままにしておいたのだが。年末も近づいてきて(と言ってもコロナ禍で例年よりは予定が大幅に減ったし、周辺でも特になにか変わったことがあったわけではないが)少し疲れがたまってきたのかもしれない。長引くようだと医者に診てもらう方がいいかも・・・
11月14日から来年1月4日まで点灯される恒例のロンドン、リージェントストリートのクリスマスライトは都市封鎖の影響で今年はほとんど見物する人のない異例なものになっている。ライトの明るさはいつもの通りでも、閑散とした目抜き通りには寂しさだけが漂う。
(リージェントストリートのHPから)