昨夜は多忙のため聴き逃したベートーベンの「荘厳ミサ」全曲を今日はマチネで聴くことができた。オペラ好きせいもあってベートーベンの交響曲といえどもあまり惹かれることがないのだが、この曲のようにドラマのある合唱となると話は別。オーケストラや歌手、合唱団の力量はともかく、この作品のスケールの大きさ、ベートーベンの音楽人生における重要さからか、今回も圧倒された。できれば次回はコンサートホールではなく、自宅でひとりこの作品を楽しみたいと思う。
コンサートが終わってもまだ明るい5月の夕暮れ、たぶん今が一年の中でももっとも良い季節なのだろう。コンサートホールの出口からそう遠くない公園の片隅に大柄なつつじの薄桃色の花が満開だった。荘厳ミサという曲名に似つかわしい。
イランの核兵器開発をめぐる状況に変化の兆しが見える。硬軟取り混ぜるのがイランの外交手法だが、このところ、欧州との関係改善に向けて動き出したようだ。ギリシャ問題を主因として、欧州がその存亡の危機に直面しているさなか、むしろ穏健な対応をすることにより、長期的に欧州側から利益を引き出そうとしているように思える。さらに、このまま欧州がイラン原油の全面輸入禁止に突入、邦銀にあるイラン中銀の資産凍結判決などに見られる米国の金融制裁強化があればイランの石油収入も決定的に減少し、国内的な不安材料にもなりかねない。それを見越して、原油市場では価格が大きく低下している。原発停止で燃料輸入に走っている日本にとってもこの動き、吉とでるか注目したい。
今回のG8の結論は、財政危機に対しては緊縮政策だけでなく成長政策も追求しなければならないとの共通認識に達したということ。これが、ギリシャの再選挙を意識したものであることは論を俟たない。問題は認識は共有できるのだがどのようにして実現させるか、である。少なくとも日本では容易ではない。政権基盤が脆弱なのは日本だけではないから、実現に困難を伴うのも共通だろう。今週の市場がどのように反応するか、注目したい。