難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

難聴者の相談と要約筆記者

2011年03月04日 22時34分04秒 | 難聴一般
もう10年も以前に、要約筆記者(身分は奉仕員)が多くの難聴者が相談を求めているから相談に応じることも要約筆記の活動だとか、ほんの2年前にも周囲に難聴者の相談に応じられる人がいないので代わりに広範囲に相談に応じているということを聞いた。

難聴者に接した要約筆記者(身分は奉仕員)が悩みごとに応じようとする気持ちは理解したいが、応じてはいけない。

難聴者の悩みごとは聴覚補償、コミュニケーション保障の方法から心理的精神的な問題まで幅広い。人間関係にまつわる就労問題も少なくない。

奉仕員では、社会福祉や権利擁護の理念を学んでおらず、様々な社会資源とそのネットワーク、障害者制度についても学んでいない。中途半端な情報や接し方は当事者の自主的な判断を損ないかねない。

要約筆記者養成カリキュラムでは社会福祉の基礎や憲法から権利擁護の理念、ソーシャルワークとしての対人援助論、社会福祉事業に携わる倫理等を学ぶ。
しかし、学んだからと言って難聴者の「相談支援」が出来る訳ではなく、あくまでも要約筆記の現場にその理解を持って臨むということだ。

要約筆記者は相談支援が出来る社会資源と連携を取る必要性を理解している。
主体性の尊重、主観を挟まずに傾聴し、自己決定を促すという対応は専門性が求められることも理解している。しかし相談支援は出来ない。
要約筆記者は然るべき社会資源に「つなぐ」のだ。

障害者自立支援法は相談支援事業を市町村の必須事業として位置づけている。
相談支援が障害者の人権を守るために必要であり、相談支援事業に関わる人の資格は社会福祉士などが推奨されている。


ラビット 記