難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

人工内耳入門講座でわかった自分の聞こえ。

2009年10月26日 12時59分46秒 | 人工内耳
昨日は難聴者協会の人工内耳入門講座だった。
参加者、スタッフ、メーカー担当者等で80人ほどになり、会場は満席になった。

一般新聞2紙に掲載されたこともあり、参加者の三分の二は非会員だった。秋田県、群馬県からも参加されたということでまだまだ難聴や人工内耳について知らない人が多い。
みな講師の話に食い入るように聞いていた。

医師は、ips細胞による有毛細胞の再生は構造上難しく各臓器の中でも最後になるのではないか、人工内耳をこれからも発達していくので、人工内耳をして後で再生医療を適応することも考えられるなどの考えを話した。

人工内耳によって合併症となった顔面麻痺と聴覚は基本的に関係がないとか、人工内耳は片方で効果があり、両方装用することは保険の適用がされないこともあり、否定的な考えだった。

講演は、磁気ループを通してよく聞こえるが、休憩時間はよく聞こえなかった。それはやはり、周囲がうるさかったからだが、補聴器と人工内耳の限界だろうか。

難聴者の集まりは、休憩時はみんながお互いに筆談にしないと話が出来ないようにするか、指向性マイクを相手に持ってもらって話をするか。


ラビット 記

人工内耳と補聴器のバランスと聞こえ(4)

2009年10月24日 22時50分10秒 | 人工内耳
人工内耳をして何をしたいのか、何を実現したいのか、自分の目標を持つことがポジティブ・シンキングだ。

聞こえることが目標ではなく、その先に自分の実現したい夢や目標を持つこと、持ち続けることが大事だ。
その夢を自分に、家族に、同僚に、仲間に話すことで理解してもらえるし、協力や支援が得られる。もちろん。医師や言語聴覚士にも話しておく。

実際の聞こえはすぐに聞こえるようになるわけではない。
これは、新しい聴覚を身につけるので、聞こえの一進一退は当然、少しずつ聞こえるようになると考えるとよい。

今日聞いた話では、浄瑠璃や能楽を隣のおじいさん、おばあさんは聞いて楽しんでいるが、自分は何を言っているのかチンプンカンプンだったと。やはり、聞いた言葉を知らなければ聞こえる人もわからないのだ。
外国語の習得みたいだが、人工内耳の聴覚訓練は単語や文法覚えたり発音の練習をする必要はないので、ある意味自分の努力で頑張れる。

医療の場で、医師や言語聴覚士の他に、こうした装用者のモチベーションを維持したり、高めてくれる支援者が欲しいものだ。


ラビット 記

※11月から「難聴者の生活goo」
http://blog.goo.ne.jp/hearingrabbit
に移行します。

国会図書館のデジタルアーカイブ化と聴覚障害者

2009年10月24日 18時10分51秒 | バリアフリー
国会図書館は、資料の保存のためにデジタルデータ化して保存するデジタルアーカイブ事業を進めている。
当初の予算が120億円超もあり、出版事業者や著作権者団体と競技して進めているそうだ。

しかし、書籍や新聞等の紙媒体の資料のデジタルアーカイブ化が優先で、音楽や映像資料は全く手つかずとのことだ。

映像資料にどのような資料があるのかわからないがDVDやビデオ、放送番組などもあるなら、字幕を付けて聴覚障害者にも貸し出しが受けられるようにして欲しい。

国会図書館も改正著作権法の対象になり、第37条2項の字幕や手話付きの映像著作物の貸し出し事業者になることが出来る。

障害者団体の意見を聞いて、視覚障害者の点字化、音声化や学習障害者のDAISY化と合わせて、字幕化もバランスよく進めて、誰もが貸し出しを受けられるようにして欲しいものだ。


ラビット 記

※11月より「難聴者の生活goo」
http://blog.goo.ne.jp/hearingrabbit
に移行することにした。

人工内耳と補聴器のバランスと聞こえ(3)

2009年10月24日 13時49分48秒 | 人工内耳
人工内耳を装用すると新しい聴覚に脳が順応しようとして、シナプスを発達させる。
音声言語の言葉を記憶している大人の場合、人工内耳の聞こえはそれまで持っている言葉の記憶と新しい聴覚は一致しないのでノイズとなる。

補聴器と人工内耳に入る言葉や音は信号としては同じだが脳に届けられる信号が異なる。
補聴器側は補聴器と内耳の二重のフィルターを通して脳に届く。
人工内耳側は内耳を通さず人工内耳のフィルターで届く。
だから同じ「今日は晴れたね」と聞いても、違って聞こえる。
補聴器側は「昭和枯れたね」と聞こえたかも知れない。
人工内耳は「チッチギジジッチヂ」と聞こえるかも知れない。

今日は晴れたねと聞こえるためには、既知の言葉を繰り返し聞く必要がある。
「むかしむかしあるところにおじいさんとおばあさんがすんでいました」と誰もが知っている昔話を聞くと、その音オンが向かし聞こえたオンとして記憶されやすい。
本の音読は成人の人工内耳リハビリテーションに効果があるとドナソーキンさんも強調されていた。


人工内耳を装用している時、ポジティブ・シンキングをすることが重要だ。


(続く)
ラビット 記

人工内耳と補聴器のバランスと聞こえ(2)

2009年10月24日 06時45分27秒 | 人工内耳
2007年11月14日が手術日。最初の音入れは12月3日。アメリカではスイッチオンというそうだ。

ピーピー、チチッ、ジジーというのが最初に聞こえた音だ。巷間言われるような人の声には聞こえなかった。でも確かに人の声の強弱に合わせて音は聞こえた。

それから2年。
補聴器から聞こえてくる声を人工内耳の音が邪魔する用な時がほぼ1年続く。この時の言語聴覚士STは人工内耳と補聴器の併用は余り意識していないようだった。

2008年7月、カナダの国際難聴者会議でドナー・ソーキンさんの大人の人工内耳のリハビリテーションについて、講演を聞き感銘を受ける。
帰国後、転院し、新しい言語聴覚士にフリーダムに「スマートサウンド2」をインストールしてもらう。

1年を経過した2008年1月位から人工内耳と補聴器の聞こえが合わさるようになってきた。言葉が立体的に聞こえるようになった。

その後、春くらいから人工内耳と補聴器のバランスが崩れてよく聞き取れない状態が今日まで続く。
バランスが取れないのは聞き取りが難しいのは聞こえの環境が大きい他に、人工内耳と補聴器の電池の減り具合の違いによる影響かと考えていた。

しかし、右耳の聴力の低下にあるかもしれない。今年の夏以降職場でも聞こえていないと思われていたことが最近わかった。
現在、ステロイド剤5mgを毎朝飲用して回復を試みているが2週間ではまだ未回復。

このこともあり、人工内耳だけの言葉の聞き取り検査の結果は人工内耳と補聴器の併用の場合と同等かそれ以上だった。確実に1年前より向上している。


(続く)
ラビット 記
夜の繁華街に突然現れた長い車。ハマー140インチリムジンだ。緑ナンバーだから業務用か。

人工内耳と補聴器のバランスと聞こえ(1)

2009年10月23日 23時09分47秒 | 人工内耳
あと2ヶ月弱で人工内耳の手術をして2年になる。
人工内耳の聞こえはどうかと聞かれたら、「発達途上」というのがいいかも知れない。

聴覚機能という点では確かに向上している。左耳は100dBオーバーだったが、補聴器は生来使っていなかった。2週間補聴器を使ったが右耳ほど聞こえず、右耳の補聴器の限界を感じていたので、両耳補聴器という選択肢はなかった。

人工内耳が良いと思ったのは、高い音も聞こえるということだ。感音性難聴で高音域が聞こえず、目の前で言われたことがチンプンカンプンだったのだ。

人工内耳をした理由
(1)低音域が聞こえる補聴器と人工内耳の高い音の組み合わせはきっと良く聞こえると思われた。
(2)それに補聴器で聞いている右耳は必ず聴力が低下することは間違いなく、その補償のためもあった。
(3)補聴器で聞きながら仕事をし、人工内耳が聞こえるようになるという聞こえの連続性も考えられた。

人工内耳に期待したこと
(1)補聴器だけよりもよく聞こえること
(2)初めての人の声がわかること
(3)心理的にポジティブになること、

(続く)
ラビット 記

人工内耳で同僚との会話が出来た。

2009年10月23日 17時48分28秒 | 人工内耳
昨日、営業担当者が納品するのを手伝った。納品先まで車内でどうするか、ちょっと思案投げ首だった。今まで上司と乗る車内では会話が出来なかったからだ。

車に乗る前に、人工内耳は感度を、補聴器はボリウムを調整して、人工内耳と補聴器のバランスをとった。室内でバランスをとっても環境の違う走行している自動車内で異なるが、乗ったらあまり調整が出来ない。

乗り始めたら、自分の方から発声して、聞こえを確認する。走行ルートなどについて会話を始めた。女性ドライバーは前後の判断が出来ない人が多いと言う。
先月定年を迎えたばかりの30年以上の経験を持つ営業担当者で、営業の秘訣など話してくれる。
いろいろ家族や営業先の話を聴いたりして、会話が出来た。面白い。車の中で同僚と話が出来たのは初めてだ。

そうかあ、会話が出来ると言うことはいろいろなことを考える元になるんだ。
顧客先の女性には、何歳でもきれいだね、かわいいねと言うのが秘訣と言う。


ラビット 記
通勤路のハナミズキの木。赤い実がなっている。

聞こえと心身のバランス 難聴の場合

2009年10月23日 08時58分15秒 | エンパワメント
昨日、股関節がねじれたようになって歩けなくなった。
原因を考えてみると、月曜から新調した靴に履き替えたがやや大きいだったので靴が緩く、身体が揺れないよう脚部、大腿、臀部と筋肉を使って支えていたので股関節まで痛めたのではないか。

難聴者の聞こえも心身の微妙なバランスの上に成り立っているような気がする。
聴覚機能の障害でも精神状態、心理状態も相互に作用している。視覚や肩の張りなど身体の各部分とのバランスが取れている。

聴覚障害を見る時に、ICF国際生活機能分類の個人因子、環境因子を個々に検討することが重要だと思う。


帰路靴の中敷きを買ったが柔らかいのだったので逆効果だ。


ラビット 記
通勤路のハナミズキが赤い実をつけている。

検診センターの人間ドックの難聴者対応

2009年10月19日 18時46分41秒 | 生活
091017-123823.jpg午後から人間ドックの検診に行った。

事前に難聴のことを伝えてあり、不自由かけないと言っていたが結果は×だった。

事前に追加検査の種類をどうするかはカルテに細かなメモが貼ってあったが、声で呼び出ししたりする。呼ばれれば声で話しかけられる。
やはり、難聴者自身が耳マークカードを持参して、カルテに挟んでもらったり、首から聞こえませんとでも書いておかないとダメか。何かしてくれると安心して何もしなかったのが甘かった。自分で用意していくべきだったと反省。

胃部エックス線検査では、人工内耳と補聴器をしたままだったので、昨年よりは音声の指図が聞こえたが、2回ほど検査技師の手で体位を変えた。
超音波検査では、呼吸のタイミングが音声だった。「息を大きく吸ってー」、「ゆっくり吐いてー」、「楽にしてー」、「もう一回」とか言葉は限られる。何か工夫の余地はある。


ラビット 記
今年の夏に蝉の声が聞こえた木。




要約筆記事業が市町村の義務的事業になった意味。

2009年10月19日 12時57分17秒 | 要約筆記事業
091017-140534.jpgこれは国と地方公共団体は人権を守る責務があり、人権を守る事業を公費で行わなければならない。
つまり要約筆記者派遣事業が人権を守るための事業ということだ。

派遣されるのは、要約筆記「者」としての派遣事業であり、要約筆記奉仕員ではない。


必須事業がどのように行われるべきか、障害者自立支援法が障害者 が地域で人権を保障された生活を送るための事業のあり方、給付の方法を示した法律である。

なぜ地域か。これは、社会福祉基礎構造改革で打ち出された社会福祉法でも「地域福祉」がそれまでの高齢者、女性、児童、障害者と縦割りのサービスではなく、地域で統合されて提供されるべきという考えがある。

私たち難聴者、中途失聴者が地域を意識することが少ないのは、コミュニケーションの障害のために地域との交わりが阻害されていること、地域との関わりを避けて来たことが要因だ。
難聴という障害は自分でも周囲にも重い障害と見られずに、自覚的に社会と関係を持つことが難しい。さらに、難聴者自助組織に加わるにも、地域的に集まったりすることが出来ない地理的な問題、体力的な問題、家庭環境等の問題があると難しい。

要約筆記事業(要約筆記者は検)が地域生活支援事業で実施されるという意味は、大きく分けて二つある。
一つは、これまで難聴者自助組織に結集していない難聴者、中途失聴者を支援するためである。
膨大な難聴者を支援するには地域社会の社会資源が難聴問題を理解し、多面的に関わる必要があるからだ。

もう一つは、難聴者であっても社会との関係性は地域から始まるということだ。これは、人のライフステージを見ても地域が基盤である。就労・就学しているかに関わらずどういう生活を送るかはどこに住むかから始まる。

防犯・防災は言うに及ばず、各種手続きも選挙も地域で行われる。
高齢者施設に入所していようと、域外の学校に通っていようと各種の行政サービスは住居のある市町村で提供される。

地域の中で、難聴問題が理解され、住民としての生活、自立した市民としての活動が保障されるには、地域で要約筆記者派遣事業が確立されなければ成らない。

問題は、この権利擁護の事業である要約筆記者を養成する仕組みが出来ていないことと約半数の市町村で要約筆記者を派遣※する事業が始まっていないことである。

※専門性のある要約筆記者の養成事業は都道府県事業


ラビット 記




病院の呼び出しシステム 難聴者の場合

2009年10月19日 12時03分24秒 | 生活
091019-095733文字の掲示.jpg091019-104404診察呼び出し.jpg難聴者は、病院の呼び出しが聞こえないので診察にせよ、会計にせよ、いつ呼ばれるかと気苦労が絶えない。

今日受診した病院は大きな病院で単科ごとに各診察室が4、5室もあるが、どの診察室に呼ばれるのか時間もわかって便利だ。

昨日のテレビで、高知県の野市の病院の接遇が劇的に改善された様子が放映されていたが、耳の遠いお年寄りに筆談やわかりやすく話すなどの対応も取り入れて欲しいと思ってみていた。


聴力検査の結果は、変わらなかった。またステロイドの飲用を続けてみることに。
医師にはモニターを見ながら話をするのだけはやめてもらいたい。患者は難聴者なのだから。
医師の「接遇」の研修が必要だな。鬼の研修を受けてもらおう。


ラビット 記




聴力検査中!人工内耳と補聴器併用

2009年10月19日 12時03分15秒 | PHSから
091019-074546路面電車.jpg091019-095035スイッチ.jpg2週間前に、補聴器側の聴力検査を受けたら、かなり低下しているというので、ステロイド剤の投薬を受けることになった。
最初の4日間は毎朝食後に5mg×4錠。次の4日間は2錠、最後の4日間は1錠。

今日は、その効果を見るための聴力検査だった。実感として向上していない感じだ。

これから診察。


ラビット 記
朝7時に出て満員電車に乗って8時半に到着。大混雑のターミナル駅を避けてこちらでは珍しい単線電車で。




テレビの字幕と要約筆記の違い

2009年10月18日 12時51分00秒 | バリアフリー
091017-130944.jpgテレビ放送の字幕は、聴覚障害者への情報保障という意味がある。
では、要約筆記も聴覚障害者への情報保障ではないか、どう違うのか。

テレビの字幕は、確かに情報保障である。しかし、この字幕は放送法に義務付けられたものではなく、障害者基本法でも、事業者の社会的連帯の理念に位置づけられているに過ぎない。NHKは、マイノリティに対するサービス、耳の不自由な人のための「優しい」 放送として実施している。

私たちが、要約筆記が権利擁護の事業と言う時、それは聴覚に障害を持つものが同じ権利を持つべきだ、保障されるべきだという考えから、制度として保障される事業という意味がある。

要約筆記事業は社会福祉法で意思を仲介する事業として第二種事業になっていたが、障害者自立支援法で市町村の必須事業として位置づけられた。

この事業をになう要約筆記者は、要約筆記奉仕員とは質的に異なる。養成のあり方、カリキュラムもそれにふさわしいものでなくてはならない。


ラビット 記




人工内耳の登場するサスペンスドラマ

2009年10月18日 09時54分01秒 | 生活
091016-084358.jpg人工内耳の登場するサスペンスドラマがあるのは初めて知った。


ろう者にとって人工内耳は自己否定のものと受け止められているようだが、社会との関係を築くための一つの方法。

社会との関係を築けるかどうかは、人工内耳をするかどうかではなく、社会の方の理解の問題。


ラビット 記
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画面を見るなら脇からにコールドケース5(13)ピアノ
人工内耳の番号から病院がわかり書類にあったアンディの父のサインは偽物と疑われた ... 人工内耳をつけた者は化け物と言っていたカルロスは病院の記録から人工内耳の ...
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