あおしろみどりくろ

楽園ニュージーランドで見た空の青、雪の白、森の緑、闇の黒の話である。

料理

2013-06-07 | 
最近は家の仕事が楽しい。
天気の良い日は庭の仕事が進むし、天気の悪い日は家の中での仕事をする。
先週はぐずついた天気が続いたので、料理に専念した。
好きな音楽をガンガンかけて料理するのは楽しいことなのだ。
秋が深まると根菜が美味しくなる。
庭でも大根、人参、そしてごぼうが採れたのでモツ煮をした。
アジア系の肉屋が近くにあるので、モツやすじ肉なども手に入る。
昔、クィーンズタウンの肉屋でモツを売っていないか聞いたら「おまえはそんな物を食うのか!」とびっくりされた。
アジア系の移民が増えると需要も増えるのだろう。
今では簡単に手に入れられるのがうれしい。
生のモツなので何回も茹でこぼし、臭みを取る。
にんにく、しょうが、ネギの葉っぱなどと一緒に味噌で炒め、根菜を入れ水を足し煮る。
シルバービートの茎なども一緒に煮てある程度煮えたら味を整える。
上にネギを刻んで乗せ七味唐辛子をパラリとかけて、いただきます。
モツ煮はやっぱり寒い時期が旨いなあ。

秋が深まるこの季節は梨が旬である。
旬のものは栄養価も高いし、果物が持っている『気』も高い。
そして嬉しいことに安い。
主夫の仕事としての保存食作りも進む。
いつもこの時期にやるのは洋ナシのコンポート。
洋ナシを剥いて種を取り、白ワイン、レモン汁、蜂蜜、砂糖、シナモン、のシロップで10分ほど煮る。
これを熱いうちに煮沸したビンに詰める。
こうすれば常温でも1年ぐらいは持つ。
それ自体でもすっきりとしたデザートにもなるし、アイスクリームの横に添えてもよい。
朝ごはんのシリアルと一緒に食べても良し。
我が家の定番保存食である。
近所の八百屋で山のように買っても2ドル。
自分で野菜や果物を作っている身なので思うのだが、この値段だったら作る人はイヤになってしまうだろうな。
しかし消費者としては安いのはありがたい。
そこで、うーむと唸ってしまうのだ。
洋ナシの木をニワトリコーナーに植えてあるので再来年ぐらいには収穫できるかな。
以前、リンゴのコンポートも作ったが、味は可も無く不可もなく。格別「うんめぇぇ」というものでもなかった。
コンポートは洋ナシに限る。
梨と言えば日本の梨、豊水も最近はよく見るようになった。
我が家の食べ方は、皮を剥き塩で揉む。
塩はもちろんブレナムの天然塩である。
それを洗って一口大に切って食べる。
娘が大好きなので、今の時期は毎日和梨を食べる。
こんなのも庭に木があったらいいなあ。
おっと、こうなればいいなあと思うと実現してしまうぞ。





秋が深まり冬が近づくこの次期、先週はクライストチャーチでもあられが降った。
去年もこの時期に作ったのが新巻鮭。
これは寒い時でないと駄目だ。
原材料は鮭と塩。
塩はもちろん海の天然塩。
一度この塩の旨さを味わうと、科学的に精製された塩を使えなくなる。
そもそも塩というのは一番基本的で一番大切な調味料である。
そこには母なる海のミネラルがたっぷり含まれる。
そして科学的には究明されていない塩の『気』だってあるような気がする。気のせいは『気』のせいなのだ。
塩というのは古来、調味料だけではなくお清めとか厄払いとかにも使われる。
嫌な客が帰った後に塩をまくというし、お相撲さんだって塩をまく。
殺菌効果もあるので、保存食には事欠かない。
たかが塩。されど塩なのだ。
安いからといって精製塩を使うか、ケチケチしないで本物を使うか。僕は後者である。
百均が普及して生活のレベルが下がったと聞くがおおいに頷ける。
いかにお金を使うかというのは、その人の人間性に顕れると思う。
自分も若い頃にはいろいろな所でお金をケチったが、今は何となく違う。
使う所には喜んで使う。これが浪費とは違う。
お金を使うということはなくなってしまうのではなく、ありがたく払わせてもらうことなのだ。
友達の所から送られてくる味噌、塩、塩麹。
本物を味わう喜びは自分と家族への投資である。
そんな海の塩で干した新巻鮭。
これを炭火で焼いて、炊き立てのご飯と一緒に・・・。
なんという贅沢。
なんというご馳走。
鮭は新鮮なものを刺身で食うのも旨いが、こうやってじっくり時間をかけて熟成させるとたんぱく質が分解されアミノ酸となる。
まあ、味が深くなるわけだ。
素材の旨みを最大に活かした日本食の真髄ここにあり。





お菓子も作る。
最近のヒットはプリン。
これはなんといっても卵が命である。
シンプルなだけに素材の旨さが要求される。
我が家では毎日5個の卵が生まれる。
家族3人で毎日5個は食べきれない。なんとまあ贅沢な。
ことあるごとに友達の家に持っていったりするが、それでも余る。
「そんなにあるなら売れば?」という声がどこからろもなく聞こえてくるが、僕はこれを売る気はさらさらない。
卵の大量消費にはお菓子作りが良い。
女房殿はシュークリームを上手に作る。絶品であるが、僕は作るのを見ていて無理だと思った。
自分が無理と思えば無理だ。なので自分ができることをやる。
この時期かぼちゃが収穫できるので、小さいかぼちゃをクリーム状に煮て裏ごしし自家製かぼちゃプリンもできる。
娘はかぼちゃの食感が好きではないが、かぼちゃプリンなら食べる。
今回はシンプルなプリンを作り、娘と一緒にプリンアラモードを作った。
プリン?あら、どーも、ではないぞよ。
「プリンアラモードとはプリンの周りに飾り付けをすることだ。これは美的センスがいる。」
僕は娘に偉そうに言う。親父はいつも偉そうだ。
「お父さん、美的センスがあるの?」
「ない」
自分を知ることも大切だ。
娘に生クリームを泡立てさせる。最近はそんなこともできるようになった。嬉しい限りである。
トッピング用にチョコレートのふりかけみたいなものも用意して、生クリームをしぼるのはどんな形がいいのだとか、ワイワイとやるのも又楽し。
本来ならイチゴとかブルーベリーとかを乗せたいのだが、今は秋。というわけで季節のフルーツを用意した。
そうやってできたプリンアラモード。
感想はと言うと、甘さ控えめにプリンを作ったのでアイスクリームと一緒に食べるとプリンの微妙な甘さが感じられなくなった。
でも楽しく美味しくいただければ、それでいいのだ。





天気の良い日は屋外料理。
今回は塩麹豚肉の燻製。
豚のばら肉を塩麹に漬けて薄く切って焼くと旨い、というアイデアを味噌メーカーからいただき、さらにそれを燻製にしてみた。
ついでにこの夏に取れたニンニクもやってみた。
チップはマヌカ。この香りがまた良い。
犬のココがクンクンとにおいを嗅いでいる。
犬の嗅覚は人間の6千倍だというから、こんな匂いはたまらないだろうな。
あれ?だけど臭い匂いも6千倍なのかな。まあいいや。
結果、火の通り加減が分からなかったので長くやりすぎた。
その分きっちりと燻製され、酒のつまみにいいのができた。
この火加減というのも今後の課題となるだろうな。
こうなると、熱を通さない煙だけで燻す冷燻という装置も欲しくなる。
これなどは自作で出来そうなのだが、なにぶん目の前には温室計画が控えているので、又暇を見つけてやることにしよう。
こうやってやりたい事リストがどんどん増えていく。





ここ数日の料理についてダラダラと書いてしまった。
食について僕はかなり真剣である。
かと言って、オーガニックの物しか食べないのか?と問われれば、そうでもない。
たま~にはインスタントラーメンだって食べるしジャンクフードだって食べることもある。
それでも普段の食生活では、かなり健康的で本物志向で美味しい物を食べている。
だがこういった本物志向も一歩間違うと宗教のようになってしまう。
『こうでなければいけない』という思い込みほど危ないものはない。
僕は自分のやりたいようにやっているだけであり、人に押し付ける気はさらさらない。
よく「~~をしたほうがいいよ」とか「何々をすれば?」という人がいるが僕は言わない。
「さあ、あなたも今すぐにニワトリを飼い始めなさい」などとは言わないのでご安心を。
何をどうするかなどと言うのは、それこそ本人の判断と行動。
料理とか食に限らずどんなことでも、やる人は黙っていてもやるし、やらない人は周りが何を言おうがやらない。
行動というのは、その人の心の奥から湧き出るものが原動力なのだ。
人に言われたから始めた行動で失敗すれば「あの人が言ったから」などと言い訳をするだろう。
人に言われたことがきっかけで、自分の判断で始める。
そこには言い訳はなく、失敗さえも自分の経験となる。
どんな場合でも、君の立場で言えば君は正しい、わけである。
でも本物の旨さというのは共感できるものであり、時には感動をも産むものである。
それが分かる人、食べ物を通して幸せの波長が合う友人へ、これからも卵や野菜を持っていくだろう。
健全で美味しい食べ物を供給するという人間にとって大切な仕事。
それが自分がやることだから。


コメント (3)
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