あおしろみどりくろ

楽園ニュージーランドで見た空の青、雪の白、森の緑、闇の黒の話である。

8月27日 Lake Heron

2013-08-29 | 最新雪情報
この日のお仕事はヘリスキーの発着所へのドライブ。
こんな時、席にあまりがあれば僕も一緒に行けるのだが、今回は余裕が無かったのでそこで1日待機。
こういうシチュエーションでも、人の思いで楽しくもなるし辛くもなる。
こんな店も何も無い所でやることもなく、ただ待っているだけなんてつまらない仕事だ。
こんな綺麗な場所で、1日自由に過ごしてそれで給料をもらえるなんて、なんて素晴らしいんだろう。
両極端だがどちらも有りえる考え方だ。
そしてその状況に対する準備も大切。
お湯を沸かすコンロ、お茶セット、本、お昼ご飯、おやつなどを車に積んで現地に向かった。
今回のヘリパッドはレイク・へロン。
僕は以前何回か行ったことがあり、ここで鱒を2匹釣った。
もう10年前になるか、釣りを始めて2シーズンあちこちへ行ったが全く釣れず、ある湖で魚がウヨウヨ泳いでいるのが見えるにもかかわらず全く釣れなくて頭にきて釣りをやめてしまった。
2年間で釣った魚が2匹。
その思い出の場所である。
だだっ広い盆地の中をひた走ると湖が見えてきた。
景色は10年前と全く変わっていない。
こんなに美しい場所だったのか。
変わったのは自分の心である。

ヘリパッドと言っても広野の一軒家の庭なのだが、そこに着きお客さんは準備をする。
パイロットは牧場主、彼が近寄ってきて僕に聞いた。
「ボートは漕げるか?」
彼についていくと茂みの中にボートがおいてあり、それを動かして湖に浮かべてくれた。
ヒマだろうからこれで遊んでろ、という配慮である。
読書に昼寝という当初の予定から手漕ぎボートで湖探検という流れになった。
ヘリが飛び去り、広野に一人。
まずお茶をいれてほっと一息。
聞こえるのは風の音だけ。こういうのが好きなのだ。
だらだらと読みかけの本を読んでいるうちに昼になったのでご飯を食べ、いよいよボートで湖に漕ぎ出す。
来る時にお客さんと「こんな湖にボートなんか浮かべてのんびりしたらいいでしょうねえ」などと話をしていたのだが、その通りになった。
こうなればいいな、と思うことは実現する。
釣りが目的ではないので気ままにボートを進めボーっと雲を眺める。
幸せである。
幸せは常にそこにある。
それに気づくかどうかは自分次第なのだ。

ボートを岸に戻しお茶を淹れているとヘリが戻ってきた。
かなり予定より早いぞ。
この後は昼寝でもしようかと思っていたんだがなあ。
全員上手い人達だったので滑りも速く、早い時間に終わったとの事。
雪はパウダーではなく春の雪だったそうな。まあ、そうだわな。
それでも皆満足そうだ。
次にここに来るのはいつかな。
景色を心に刻みつけ湖を後にした。


だだっ広い荒野をひた走る。この広さは写真では伝わらない。


何も無い良さという感覚は、分かる人には分かるし分からない人には分からない。当たり前か。


牧場の庭がヘリパッド。


お客さんがヘリスキーから帰ってきて飲むビールを小川で冷やす。大切な仕事だ。


そして自分の時間。


いざ湖へ。


みんなはあの山の向こうで滑っているんだろうなあ。


『白鳥の湖』ならぬ『黒鳥の湖』なのである。


あー気持ちいい。


帰る途中で、「ハイ、チーズ」(死語)。
コメント (8)
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