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こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
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国は今こそ貨物列車迂回対策を!

WTO問題を通して見るグローバリズムの正体

2008-12-10 22:27:59 | その他(国内)
[緊迫WTO]届け農の声/食料確保貫き通せ 地域農業に大打撃 本気の交渉見せろ(日本農業新聞)

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 全国から東京に集まった農家やJA役職員ら3000人が9日、世界貿易機関(WTO)農業交渉対策緊急全国代表者集会の後、日比谷公園から霞が関、国会までのデモ行進を行った。予断を許さない大詰めの交渉に向け、日本農業を断固として守る決意とともに、交渉への不満・怒りを霞が関に響かせた。

 参加者は「農業の崩壊は日本の衰退」などと書いたプラカードや横断幕、のぼりや、「WTOに喝」「決裂決行」などのむしろ旗を掲げて行進した。宮城県の代表は「公正・公平な貿易ルールを!」と書いたゼッケンを着用、大分県は「食料農業を守ろう」などのたすきで統一。山形県はゼッケンに大きく「守れ」と書き込んだ。

 農水省前では「安易な合意はするな」「日本農業を守れ」とシュプレヒコールを響かせた。

 ■  ■

 JA富山県青協の森下和紀会長は、前日の東京・銀座で行われたJA全青協のトラクターデモにも参加。「食の確保をせずに、何が国益か。工業や金融より前に、食料を自給することが国益だ」と憤りを示した。

 宮城県JA仙台女性部の赤間益子部長は「自給率が40%しかない日本の農業は守らないといけない」。長野県安曇野市で米や麦など14ヘクタールを栽培する藤原與一さん(68)は「上限関税や重要品目の大幅削減などが通れば、農地の荒廃がさらに進み、美しい安曇野の風景も失われてしまう」。高知県JA高知春野の川島光明常務は「資材高騰などで農業は大変な時だ。若者が就農するためにも、上限関税などは認められない」と訴えた。

 ■  ■

 「重要品目8%を堅持できないなら交渉を打ち切ってほしい」と語ったJA新潟中央会の萬歳章会長は、稲作への打撃に強い懸念を示す。JA鳥取県中央会の坂根國之会長は「鳥取県は転作を100%達成してきたが、農家所得は全国でも下位。米の輸入が増えれば、地域農業は危機的状態に陥る」。北海道JA浜中町の石橋榮紀組合長は「JA管内は酪農で成り立っている。乳製品の関税が削減され輸入に押されたら共倒れになる恐れがある」と、それぞれ地域の不安を代弁した。

 その一方、千葉県袖ケ浦市で米とシイタケを作る石川和利さん(43)は「重要品目8%が受け入れられそうにないのは、日本が交渉に乗り遅れたからではないか。日本は交渉を蹴る理由も、対抗する力もなくしてしまった」と、日本政府の姿勢を切り捨てた。
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「食の確保をせずに、何が国益か。工業や金融より前に、食料を自給することが国益だ」という森下和紀会長の決意に、当ブログは全面的に賛同する。兵器があっても飯が食えなくては話にならないが、飯さえ食えれば兵器などなくても困らない。食べることこそ大義なのだ。

国内産業の保護のため、高関税をかけることができる重要品目「8%」のラインが守れないなら、日本はこの交渉を決裂させてかまわないし、それくらいの覚悟で臨むべきだ。

WTOが日本にどんな利益をもたらしたか考えてみるといい。利益など何もありはしない。日本はかつて、自動車産業を守るために牛肉・オレンジの全面自由化に踏み切った。いわば、大企業・財界の利益のために国民の「いのちの食」を売り渡したが、その結果もたらされたのは食料自給率の低下だった。

中国産輸入食品への不安が高まり、消費者の安全志向が高まると、食品業界はこぞって国産食品の確保を目指したが、食料自給率が40%しかないのに国産品の確保などできるわけがなく、その結果起こったのはラベルだけ国産に貼り替える「偽装」だった。

その上、「いのちの食」を外国に売り渡してまで守ったトヨタなどの自動車産業が、今、国民に対してどんな振る舞いをしているか見てみるがいい。1兆円の利益を減らしながらも、まだ5500億円を稼ぎ出しているトヨタは、ぎりぎりの給料で何とか暮らしていた3000人の期間工たちを雇い止めし、この寒空の中、路頭に迷わせようとしている。しかも、トヨタは今年、役員報酬を17%も増額しているのである。トヨタが今年、引き上げた役員報酬分39億円を元に戻すだけで、期間工の雇用は全員守られるばかりでなく、新たな雇用さえできるであろう。

もう一度、この際だからはっきり言おう。日本は「自由貿易」の名の下に牛肉・オレンジを自由化し「いのちの食」を切り捨てた。そして、それと引き換えに守ったのは、役員報酬を39億円も引き上げながら、3000人の期間工をゴミのように切り捨てる「ならず者企業」である。グローバリズムと呼ばれるものの正体が何であるか、これほどよくわかる実例もないではないか。

WTOは、このような「ならず者企業」たちのために存在する組織である。彼らが私たち庶民の利益を守ってくれるなどと考えてはならない。そうであるならば、日本は決裂も辞さない覚悟でこの交渉に臨み、「いのちの食」を生み育てる農業を守り抜くべきである。

それ以外に、私たちが生き残る道はない。

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