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JR宝塚線事故、社長起訴の可否を12月下旬にも判断

2008-12-13 21:03:47 | 鉄道・公共交通/安全問題
JR宝塚線事故、社長起訴の可否を12月下旬にも判断(朝日新聞)

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 107人が死亡、562人が負傷した05年4月のJR宝塚線(福知山線)脱線事故で、神戸地検は、業務上過失致死傷容疑で書類送検されたJR西日本の山崎正夫社長(65)を含む歴代幹部9人の刑事処分について、一部を起訴する方向で大阪高検と詰めの協議に入った。山崎社長の関与もさらに検討した上で、今月下旬にも起訴の可否を最終判断するとみられる。

 兵庫県警は9月、山崎社長や梅原利之・JR四国相談役(69)ら5人が96年12月に現場カーブを半径600メートルから304メートルの急カーブに付け替えた際に自動列車停止装置(ATS)の設置を怠り、事故を発生させたとして書類送検。ほかの4人については、事故までに新型ATSを設置しなかったり、運転士への懲罰的な「日勤教育」や余裕のないダイヤ編成を続けたりして事故を招いたとして書類送検した。

 山崎社長はカーブ付け替え時、鉄道の安全対策を統括する常務取締役鉄道本部長だった。地検の調べに対し、「高見隆二郎運転士(容疑者死亡で書類送検)が時速70キロの制限速度をはるかに超える116キロでカーブに進入するとは思わなかった」と説明し、業務上過失致死傷容疑の構成要件である事故の「予見可能性」を否定したという。

 これに対して地検は、危険性の増す急カーブへの付け替えだったにもかかわらず、ATSが設置されなかったことを重視。十分な安全対策を講じなければ大事故が起きうると予測できたのに、ATS整備を判断できる立場にあった山崎社長らが設置を見送った可能性もあるとみている。

 地検はこれまで、書類送検された9人と井手正敬元会長ら同社関係者から延べ365回にわたり事情聴取した。
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JR西日本に対する神戸地検の捜査がいよいよ大詰めの段階を迎えたようだ。起訴の可否に関する判断は年内にも行われるらしい。遺族の心情を思えば、1人でも多くの関係者に刑事責任を問うことができるような判断をしてほしい。

尼崎事故の原因は、JR西日本に科学的思考法が欠けていたこと、そしてこのことと表裏一体にあるものとして非科学的な精神主義にあると当ブログは考える。曲線半径が小さくなれば、遠心力もそれに比例して増すことは、中学・高校の理科の教科書にも書いてあるような物理学の基本中の基本だが、JR西日本にはその程度の理解すらもなかったのではないかと思えるほどだ。もしその点の理解があるなら、並行する阪急との厳しいスピード・サービス競争が展開されることが確実な福知山線に、運転上のネックとなるような急カーブを作るなどあり得ないからだ。

あらゆる事故(自然災害除く)は、不安全な施設・設備の状態と、人間の不安全行動が重なったときに発生するということは、労働安全の世界では常識である。そして、1つの事故の陰には29のヒヤリ・ハットと300の事故に至らない危険があるといわれている(ハインリッヒの法則)。この労働安全の常識に従うなら、急カーブという不安全な施設をみずから建設した会社の責任が問われるべきであることはいうまでもない。

山崎社長自身も、鉄道本部長から社長に昇任した技術屋である。現場を知らないまま机上で印鑑を押しているだけの事務屋とは違うのだ。遺族の無念に応えるためにも、地検は最後まで奮闘し、再発防止につながる真の立件を目指してほしい。

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