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新幹線のダイヤ、4日連続で乱れる…帰省ラッシュを直撃

2008-12-30 22:17:06 | 鉄道・公共交通/安全問題
新幹線のダイヤ、4日連続で乱れる…帰省ラッシュを直撃(読売新聞)

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 正月をふるさとで過ごす人たちの帰省ラッシュが30日、ピークを迎えた。

 29日にはシステムトラブルで東北、上越新幹線などのダイヤが大幅に乱れたが、この日は東海道新幹線で人身事故による遅れが発生。新幹線は、年末に4日連続でダイヤが乱れる事態になった。

 JRによると、この日は特に午後からの混雑が激しく、午後3時12分東京発新潟行きの上越新幹線「Maxとき329号」の自由席乗車率が180%となるなど、東京駅からの下りの新幹線の多くで乗車率100%を超えた。31日午前中まで込み合う見込みという。

 東海道新幹線の事故は30日午後3時55分頃、神奈川県小田原市のJR小田原駅構内で発生。ホームから線路内に入った女性が、東京発新大阪行き「のぞみ249号」にはねられ、全身を打って即死した。神奈川県警小田原署は自殺とみて調べている。

 この影響で、同線はおよそ1時間半にわたって全線で運転を見合わせ、上下約140本に最大1時間45分の遅れが出て、約17万人に影響が出た。東京駅では、帰省客らが事故の影響などを駅員に問い合わせる姿もあった。
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飛び込み自殺はJRの責任ではないものの、これで年末年始の帰省ラッシュ輸送期間中、4日連続でダイヤが乱れる異常事態となった。

最近、新幹線での飛び込み自殺が増えている。2003年夏、東海道新幹線で金網を乗り越えて男性が新幹線内に入り死亡した自殺をきっかけに、新幹線に飛び込む人が増えた。JR各社にとって頭が痛いと思うが、高さ2メートルのフェンスさえ乗り越えて線路内に進入する人がいる現状では、どうやっても自殺を完全に防ぐことは難しいと思う。やはり、年間3万人を超える人が自殺をしている日本社会を、早く再建して「住みやすい国」に戻すことが必要だろう。
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新幹線システム障害、運輸局がJR東日本に警告書(読売新聞)

 JR東日本の新幹線運行管理システムが29日、トラブルを起こし、帰省客ら約13万8000人に影響が出た問題で、国土交通省関東運輸局(横浜市中区)は30日、JR東日本に対し、早急な原因究明と再発防止を求める警告書を出した。

 警告書では、「年末で利用者が集中する時期に多大な影響を与えた」「前日(28日)の運行終了後の対応が不十分だったと考えられ、誠に遺憾」と指摘した。文書を受け取ったJR東日本の宮下直人安全対策部長は、「厳粛に受け止め、全力で再発防止に取り組みたい」とコメントした。

 同運輸局やJR東日本によると、障害が起きたのは、東北、上越、長野、山形、秋田の5新幹線の運行を一括管理する新幹線総合システム「COSMOS(コスモス)」。28日に長野、山形、秋田の3新幹線で大雪や車両トラブルがあり、コスモスのデータを変更した際、処理に不備があった可能性が高いという。

 JR東日本が警告書を受けるのは、4月に東京都国分寺市の変電所火災で中央線ダイヤが混乱し、約50万人に影響したトラブルを含め、今年5回目。
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JR東日本関係者を通じて私に伝わってきた情報によれば、どうやらJR東日本自身も相次ぐトラブルに危機感は持っており、社内に「非常事態宣言」なるものが出されているらしいと聞く。しかし、この関係者によれば「何が原因なのか、JR東日本上層部は全く状況を把握できていない」という。

JR東日本に欠けているのは「科学的思考法」と「運行現場の余裕」である。前者の科学的思考法とは、事故・トラブルを「施設・設備の不安全状態」と「人間の不安全行動」から解明しようとする姿勢であり、これらの不安全要素を取り除く活動が科学的解決法となるわけだが、JR東日本はこれが全くできていない。

トラブルの原因を究明してそれを取り除く日常的点検活動自体は行われているように見受けられるが、ひとつのトラブルの原因が究明されるよりも、行きすぎた省力化・合理化によって新たなトラブルの芽が現場に持ち込まれるほうがはるかに速いため、結果としてどんどんトラブルが増えていっている。

運行現場の余裕に関して言えば、新幹線で4日連続の乱れが続くことは確かに珍しいが、国鉄時代の1980年代には暴風雪や倒木、心ない乗客の車両への悪戯などが続き、1週間連続してダイヤが乱れたこともあった。ちょうど、この年末と同様、考えられる限りのありとあらゆるトラブルが一挙に襲いかかってきた、国鉄当局にはかなり気の毒なケースだった。そういう事例をデータベース化して、システムにそれを上回る処理能力を持たせておけばよいのだが、現状、JR東日本ではそのような余裕のある運行体制が取られていないのである。

危機管理というのは結構金がかかるものだが、JRでは利潤を極大化しようとするあまり、最低限のシステムで最大限の列車運行をコントロールしようという、アクロバット的なシステムになっているように思う。この点に大胆なメスを入れない限り、今後も同様のミスが続いていくことになるのではないだろうか。

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