保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

シリーズ・保津川を下ろう!年谷川河口周辺

2005-04-20 12:05:31 | シリーズ・保津川を下ろう!
源氏ホタルが多く生息する「蛍ヶ淵」を下りしばらくすると、
右岸側から小さな支流が流れ込むのが見えてきます。

この小さな川を「年谷川」といます。

両岸を田んぼに挟まれ、小さな段差から流れ落ち、
本流・保津川に注がれるその姿は、古き日本の小川を
思いおこさせ、ちょっと懐かしさ漂う風景なのです。

しかし、この年谷川河口周辺ほど、昔の状態を留めてなく
風景が激しく移り換わった場所も少なくありません。

その変化は特に河口反対側の左岸側に顕著にみられます。

古い文献によると、河口の少し上流に「地蔵渕」という
激流が混じり合い激しい渦を巻く渕があり、江戸末期の
天保5年までこの渕の上に地蔵堂があったとあります。

しかし、断崖絶壁にあったこの地蔵堂は、天保5年の
洪水の時、濁流が渕に流れ込み崩れ落ちてしまったそうです。
そのお堂の本尊である地蔵菩薩は養源寺というお寺に移された
そうですが、地蔵菩薩像の台座には、この渕の激流を表す
波しぶきの跡が今も刻まれています。

また、地蔵渕の少し上流の崖にあった墓地も
この流れによって崩れ落ち、今はなくなっています。
今でもその時崩れ落ちた墓石が川底に埋っているのです。


この年谷川河口付近も大きく様変わりしているようです。

安土時代に亀山(今は亀岡)を収めていた明智光秀が
亀山城の東端を示す為、年谷川の堤防(今の国道9号線~河口まで)
に黒松を植えました。その数は千本ともいわれ‘千本松’として
城下の庶民に親しまれたそうです。

さすがは当時の武将の中でも文化に精通した知将で知られた明智光秀。
やることが粋で雅び感漂う風流な演出をしていたものですね。

江戸時代の俳人軽森野楊(かるもりや・よう)は
この‘千本松’が丹波の深い霧み包まれて浮かぶ姿を見て
天の橋立に因み「野橋立」と命名してその風情を紹介したそうです。

この千本松も、昭和26年に亀岡を襲った大洪水により
流されてしまい、今はもうその風景を残していません。

河口付近も、今は落差が小さくのどかに流れ込んでますが、
昔は大変落差が大きかったらしく、地蔵堂など対岸から
見ると‘滝’に見えたという記述が残っています。


この様に一見、古き原風景を残している様に見える
年谷川河口付近ですが、激しい自然の力により大きく
その姿を変化させながら今日に至っています。

そう考えると私達が毎日見ている今のこの風景も、
けっして永遠のもではなく、いつかはその姿を
大きく変える時がやってくるのでしょう。

明智光秀も好んで眺めたであろうこの風景を、
今はっちんも毎日眺めながら、改めて自然の力の
偉大さとロマンを感じずにはいられないのです。

*写真は今の年谷川河口の風景です。


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3 コメント

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養源院って… (ココア)
2005-04-20 14:17:48
保津川も歴史の中をずっと流れているのですね。一寸法師の話にしてもそうですが、川下りする前に知っていたら、また違った楽しみ方ができたでしょう。

地蔵菩薩が養源院にあるとのことですが、血天井のところですか?昨年、時間がなくて行かれなかったのですが、どんなお寺なのでしょうか?ご存知でしたら教えてください。
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初めまして、突然申し訳ありません。 (週刊!ブログランキング管理人)
2005-04-20 20:51:29
初めまして、突然申し訳ありません。



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亀岡です。 (はっちん)
2005-04-21 16:39:24
ココアさんのお尋ねですが、養源寺とは亀岡の地元にあるお寺です。血天井の養源院とはなんと関係も無いと思います。

「保津川を下ろう!」シリーズは文献などを調べて書いているので、なかなか嵐山まで流れて行くスピードは遅いですが、次回あたりからいよいよ渓谷に入って行きますのでよろしくお願いします。そしてまた、保津川の船にお越しくださいね。
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