6月26日未明、中国広東省にある玩具工場で、漢人労働省による
ウイグル人労働者への残虐な暴行襲撃事件が発生した。
この暴行はこの玩具工場を解雇された漢人労働者が腹いせに
「ウイグル人が漢人女性をレイプした」というデマをネットに
流したことが発端となった訳だが、当初、中国政府は
「この情報はデマである」と正式に発表したにもかかわらず
襲撃事件は起こってしまった。
深夜労働を終えたウイグル人労働者200人に、6000人の漢人労働者が
一斉に襲いかかったのだ。
逃げ惑うウイグル人を大勢で追いかけ囲み、鉄パイプや棍棒で殴り倒す漢人たち。
頭から血を流し倒れてぐったりしているウイグル人に、なおも執拗に殴り付ける漢人たち。
こんな凄惨な事態にもかかわらず、何故か?警察が出動したのは
ウイグル人たちが叩き倒された2~3時間後だった。
この模様はYouTubeで全世界に発信された。
↓
http://www.youtube.com/watch?v=YEko0KL2Jc4&feature=related
(観ると気分が悪くなるので、あまりオススメしませんが・・・)
後日、この事件をあやふやに処理しようとする政府当局に
7月5日、中国ウイグル自治区ウルムチで、ウイグル人大学生たち
1000人が抗議のデモを行った。
デモには徐々にウイグルの一般市民も参加し、その数は3000人規模へ。
もちろん、みんな非武装のデモ行動である。
そのデモに当局は特殊部隊である武装警察を出動させ、威嚇なしで
いきなり直接射撃したのだ!
156人が死亡1436人が拘束(新華社通信発表)とされているが、
情報筋では400人近くは殺され、負傷2000人にのぼるといわれる。
ウイグル人が自動車や商店を破壊する模様が中国メディアから世界に発信され、
中国当局は「これは世界ウイグル会議の扇動による暴動である」と発表し
鎮圧の大義名分を得ると、2万人の人民解放軍と武装警察を投入し鎮圧した。
ウイグル人たちは中国の「民族同化政策」が実施されても、まだ政府を
信じようとしていたが、これが現実である。
国家による過剰な実力行使であるにもかかわらず、どこの国からも何の声明も出されていないは何故なのか?
もちろん我が日本も例外ではない。
百歩譲って中国当局の見解が正しいものとしても、非武装のデモに
発砲し、150人以上の市民を撃ち殺したのは事実だ。
一人を殺害すると犯罪だが、大勢の人を抹殺すれば何の罪にも問われない
政治の世界の冷酷さをみる。
当局はいくら主張しようと、もともと歴史も文化も異なる独立民族であった
少数民族の国土を侵略し、民族同化の名のもとに、少数民族の青年男子を
中国各省の工場などの労働力として自治区から追い出し、漢民族の青年男子を
移植する政策を進める中国政府のやり方は容認し難い。
チベット自治区などは「後、二~三十年で‘純粋チベット人’は存在しなくなる」
といわれるほど「同化政策」が進んでいることは、世界中の識者が認めるところだ。
ヒットラーは乱暴な民族抹殺計画で頓挫したが、胡錦濤はしたたかに
同様の政策を進めているのかもしれないという想像すると背筋が寒くなる。
「海外メディアの取材を許可する」とする当局だが、流される映像は
「暴漢に襲われ負傷した漢人の病人」だけだ。
明らかに公平ではない中国の報道規制体質は何も変わっていない。
「連行された夫や息子を帰せ」と武装警官に抗議するウイグルの女性たち。
その連行先や、状態はまったく明らかにされていない。
その女性たちのデモに対し、武器を手に自警団を組織する漢人たち。
まさに事態は一触即発の緊張感が高まっている。
くしくも昨日はマイケルジャクソンの「追悼音楽葬」だった。
「肌の色、民族の違いを越えて、同じ人間という‘種’である」
という意識に目覚め、みんな‘兄弟姉妹’だから一緒に
「世界を治療しよう より良い場所にしよう
僕と君と そしてすべての人類のために」
という理想があまりも遠くに感じられる出来事なのだ。