文字通り“一粒で2度美味しい”グリコのような本だった。乃南アサさん(小説)・園田寿さん(法解説)共著の「犯意」(新潮文庫)を読んだ。
乃南さんの短編犯罪小説が12話。それに各々、弁護士の園田さんの法解説がセット。はじめに乃南さんが犯罪の当事者でなくても、違う形で事件や犯罪に関わる可能性として、裁判員制度のことを書いておられる。「起きてしまった事実と、それがどう裁かれるかについて、ある程度の知識を持ち、心の準備をしておくことが必要になってきたのです。」とあったが、それはそれはよく出来た1冊だった。
分からない言葉は『困った時にはここから読む!「用語索引&法律のツボ」』と簡単な解説集までついているご親切ぶり。あっという間に、次は、次は、と、どんどん引き込まれていった。
それにしてもどの短編もさすがに乃南さんのもの、と唸るほどの出来映え。どれもこれも面白く、電車内で読み始めたところ、食事の時間もページを繰るほどのめり込んで500ページ強を一気読みした(お行儀が悪くてすみません。)。
最初に乃南さんの小説と出会ったのはもう6年前の、初発の入院時。
ドレーンも抜けて抜糸も済み、退院までリハビリ以外にはすることがなく、退屈で退屈で・・・院内の図書室から本を借りて読みあさっていたときのこと。
「6月19日の花嫁」だった。私は6月17日生まれなので、なんとなく手に取った。ストーリーははっきり覚えていないけれど、とにかく面白かったことだけは覚えている。その後、女刑事・音道貴子シリーズ等など、文庫化されたものは殆ど読んできた。どれを読んでも外れがなくて、ことに登場人物の心理描写はいつも感情移入してしまうほど圧巻だ。
今回は虐待の話「泣いてばかりの未來」が特に印象に残った。なぜここまで書くのか、と胸が苦しくなり涙がにじむほど辛い話だったけれど、解説の北尾トロさんが書いておられる通り、筆者が「虐待事件を許しがたく思っている」という強い意志で書いているからこそ、読み通せたのだと思う。
その他、正当防衛が許される範囲を問うた「八の字眉」、病気治療か、殺人か、がテーマの「パパは死んでない」、安楽死の刑法学から見た「ご臨終です」、他人の「犠牲」が許される条件についての「逃げたい」などが興味深く心に残った。
普通の人がほんのちょっとのボタンの掛け間違いで後戻りできないほどの犯罪に転がり込んでいく恐ろしさ。偶然と勢いの重なりを実感し、背筋が冷たくなるとともに堪能した一冊だった。
昨夜は早く休み、今日は目覚めた後もベッドに張り付いて少し朝寝坊をした。なんとなく胸骨のあたりがずきずきするが、せっかくのいいお天気なので洗濯と掃除だけはさっさと済ませた。
朝、バックの中に入れておいたはずの手帳が見当たらない。もしかしたら、週末に職場に置いてきたのかもと思い、明日出勤して確認し、それでもなければ実家に電話しようと思っていたところ、実家から電話があり、置き忘れてきたことが判明した。週末にこちら方面に来る用事があるので、と言われたが、1週間手帳がないのは不便なので、出来れば送ってほしいとお願いすると「どうせ暇だし、お天気もいいので今日午後に出かけていく。」と言われてしまい、ひたすら人騒がせを反省。それにしても変な場所に落としてなくてよかった、としみじみ。なんと息子の学生証用の証明写真等が挟まっているのだ。
乃南さんの短編犯罪小説が12話。それに各々、弁護士の園田さんの法解説がセット。はじめに乃南さんが犯罪の当事者でなくても、違う形で事件や犯罪に関わる可能性として、裁判員制度のことを書いておられる。「起きてしまった事実と、それがどう裁かれるかについて、ある程度の知識を持ち、心の準備をしておくことが必要になってきたのです。」とあったが、それはそれはよく出来た1冊だった。
分からない言葉は『困った時にはここから読む!「用語索引&法律のツボ」』と簡単な解説集までついているご親切ぶり。あっという間に、次は、次は、と、どんどん引き込まれていった。
それにしてもどの短編もさすがに乃南さんのもの、と唸るほどの出来映え。どれもこれも面白く、電車内で読み始めたところ、食事の時間もページを繰るほどのめり込んで500ページ強を一気読みした(お行儀が悪くてすみません。)。
最初に乃南さんの小説と出会ったのはもう6年前の、初発の入院時。
ドレーンも抜けて抜糸も済み、退院までリハビリ以外にはすることがなく、退屈で退屈で・・・院内の図書室から本を借りて読みあさっていたときのこと。
「6月19日の花嫁」だった。私は6月17日生まれなので、なんとなく手に取った。ストーリーははっきり覚えていないけれど、とにかく面白かったことだけは覚えている。その後、女刑事・音道貴子シリーズ等など、文庫化されたものは殆ど読んできた。どれを読んでも外れがなくて、ことに登場人物の心理描写はいつも感情移入してしまうほど圧巻だ。
今回は虐待の話「泣いてばかりの未來」が特に印象に残った。なぜここまで書くのか、と胸が苦しくなり涙がにじむほど辛い話だったけれど、解説の北尾トロさんが書いておられる通り、筆者が「虐待事件を許しがたく思っている」という強い意志で書いているからこそ、読み通せたのだと思う。
その他、正当防衛が許される範囲を問うた「八の字眉」、病気治療か、殺人か、がテーマの「パパは死んでない」、安楽死の刑法学から見た「ご臨終です」、他人の「犠牲」が許される条件についての「逃げたい」などが興味深く心に残った。
普通の人がほんのちょっとのボタンの掛け間違いで後戻りできないほどの犯罪に転がり込んでいく恐ろしさ。偶然と勢いの重なりを実感し、背筋が冷たくなるとともに堪能した一冊だった。
昨夜は早く休み、今日は目覚めた後もベッドに張り付いて少し朝寝坊をした。なんとなく胸骨のあたりがずきずきするが、せっかくのいいお天気なので洗濯と掃除だけはさっさと済ませた。
朝、バックの中に入れておいたはずの手帳が見当たらない。もしかしたら、週末に職場に置いてきたのかもと思い、明日出勤して確認し、それでもなければ実家に電話しようと思っていたところ、実家から電話があり、置き忘れてきたことが判明した。週末にこちら方面に来る用事があるので、と言われたが、1週間手帳がないのは不便なので、出来れば送ってほしいとお願いすると「どうせ暇だし、お天気もいいので今日午後に出かけていく。」と言われてしまい、ひたすら人騒がせを反省。それにしても変な場所に落としてなくてよかった、としみじみ。なんと息子の学生証用の証明写真等が挟まっているのだ。