ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2013.11.18 悩みや不安に大小なし

2013-11-18 19:59:20 | 日記
 昨日のアロマテラピー講習会のこと。皆さんが乳がん体験者ではあったが、再発治療中は私一人だった。
 術後治療が一通り終わり、今は無治療の方、経過観察中の方、それぞれの方が今後のこと今のこと、いろいろな不安や悩みを持っておられた。
 早期発見で低リスクと言われながら、術後3年経たずして再発・多発転移した私は、再発する迄の経過観察期間(ノルバデックス内服期間)よりも、再発治療期間の方が既に倍近く長くなってしまった。だから「再発するかもしれない」という術後あまり時間が経っていない方たちが抱く不安について、自分がどうだったのか、という記憶が大分薄れてきてしまっているのは確かだ。
 再発治療が始まってからは、ある意味肝が据わったというか、開き直って受け入れるしかなかったから、「もしや再発するのではないか、再発したらどうしよう」と悩むことから解放された。けれど、それと同時に「もう完治することはありません」と告知されたわけでもあり、それ迄の完治を目指した治療から、出来るだけ長くQOLを維持しつつ生き長らえるための延命治療に変更し、その都度その都度、自らに必要な決断をしてきた。

 私の再発治療のことを少しお話すると、「私の悩みなど大したことなくて・・・こんなことで(いろいろ悩んで)なんだか申し訳ない。」などとおっしゃる方がいたが、とんでもない、と否定した。悩みには大小はないし、不安には軽重もない、と思う。
 もちろんエンドレスの再発治療を続けながら、こと“乳がん”という病に限って言えば、昨日のメンバーの中で一番“死”に近そうなのは私だ。それでもフルタイムで働き続けながら、こうした講習会に参加したり、やりたいことを決してあきらめない姿を見て頂き、少しでも不安や悩みが小さくなるのだとしたら、とても嬉しい。

 経過観察中の別の病気の治療で長く悩んでおられる方もいた。私の場合、再発治療を6年近く続ける中で、治療変更等様々なことを決めなければならないタイミングが何度もあった。
 これまで私が経験してきて言えることは、いくら悩んでいろいろな方に相談したにせよ結局のところ、最後は“自分で”決めなければならないということ。もちろん相談すること―言葉にすること―で自分の気持ちを整理することが出来るし、そうすることで気がつけば結論を出せてしまうこともあるから、相談することは十分意味のあることなのだが。
 また、無期限で悩み続けることは事実上出来ないから、どこかでエイヤと決めなければならないということ。ある選択をするということは、それ以外の選択肢を捨てることだけれど、それは病気に限ったことではない。進学でも就職でも、これまでの人生、いろいろな節目は全てそうだった筈だ。だから、一旦決めたのならもう迷わず、後戻りせず、これが“今の自分にとって”ベストなのだ、と自ら決めた道を信じていくことが大切ではないか、ということだ。
 そのためには、時間が許す限りうんと悩んで“自分が”納得することが重要だ、と思う。自分がどこかで納得し切れていなければ、後で(あの時、やっぱり・・・)と思ってしまう可能性が高い。治療を進めていく上で、後悔することを出来る限り最小限(しつこいけれど、物事には“絶対”はないから、0(ゼロ)というのはない。)に留めるに越したことはない。

 先月出席した患者会の全国大会で、会長さんがおっしゃっていたことは真理だと思う。すなわち、乳がん患者と真に名乗れるのはやはり、再発治療中の人たちなのではないか、と。
 初発の場合、一通りの術後治療が終われば、トリプルネガティブなら治療から解放されるし、ホルモン陽性なら数年間のホルモン剤内服、HER2強陽性ならハーセプチンの1年間投与になるだろう。もちろん、副作用の出方はその人その人で千差万別だろうが、エンドレスの抗がん剤等がメインとなる再発治療に比べれば、やはりマイルドだと思うし、何より期限付きである。
 だから、手術や術後治療を済ませたら、過度に再発に脅えて大切な時間を費やすのはあまりにもったいないと思う。大丈夫、大丈夫、と是非ゆったり構えて頂きたい。
 どんなに低リスクだ、早期だと言われても、哀しいかな再発するときには再発する。逆に進行している、と言われても再発することなく無事卒業される方も沢山いる。
 いつも書いているけれど、体はひとつだから3割再発して7割は無事、という確率論は意味をなさない。自分に起きてしまえば1だし、起こらなければ0(ゼロ)だ。だから治療を終えたら、自分の好きなように生き生きと前向きに過ごして頂きたい、と心から思う。
 もちろん再発治療中でも、自分の好きなことをしながら生き生きと前向きに過ごすことは十分可能だ。私は一日も長くこうした生活を送るために治療をしている、と言えるから。

 また、新しい1週間が始まった。今日も銀杏の黄金色が青空に映える小春日和の一日だった。
 今週も通院日が控えている。
 先日、今月予定されていたT-DM1(カドサイラ)の薬価収載見送りという記事を見つけた。年明けに臨床試験はあるようだが、待ち望んでいた来年1月からの投与は難しくなった。次回の薬価収載は来年3月、発売は4月以降だという。
 それまで今の治療で粘ることが出来るだろうか。悩みは尽きることがない。
コメント (4)
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