ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2016.5.24 がん患者も働ける社会に・・・

2016-05-24 21:59:52 | 日記
 掲載されてから少し時間が経っているが、おお!と思わず声を漏らした記事があったので、以下、転載させて頂く。

※   ※   ※(転載開始)

がん患者追跡調査  復職5年後も5割が勤務継続 大企業社員(毎日新聞2016年5月17日)

 がんと診断されて復職した大手企業会社員の約半数が5年後も継続して働いていることが東京女子医大の遠藤源樹助教の大規模調査でわかった。がん患者の長期の追跡実態調査は日本で初めてで、復職後の実態が判明した。
 中小企業ではがん患者本人や企業が仕事をあきらめる例が多いが、遠藤助教は「復職支援を充実させれば、がんを患ったベテランを切らずに戦力を維持できる。企業のためにもなることが示された」と話している。
 26日に福島市で開かれる日本産業衛生学会で発表する。遠藤助教は2000〜11年末までにがんと診断され、治療後に復職した会社員1010人を追跡調査した。長期の休業期間など復職支援が充実した大企業に属する人が対象。その結果、復職日から5年後に51.1%が仕事を継続していた。女性では60.4%に及んだ。がんで休業した重症者が対象で、内視鏡手術など短期の治療を受けた人は含まれない。実際の5年後勤務継続率はさらに高い可能性がある。
 勤務継続率はがんの種類で差が大きく、男性の肺がん(14.2%)▽男性の食道がん(28.7%)は低かったのに対し、前立腺など男性生殖器がん(73.3%)▽子宮など女性生殖器がん(67.8%)▽乳がん(63.4%)▽胃がん(女性63.1%、男性62.1%)は高かった。
 復職後の勤務年数の中央値を見ると、女性の乳がん、生殖器がん、男性の生殖器がん、男女の胃がんは10年を超えていた。
 ただ、調査対象は大企業が中心で、中小企業や派遣社員では身分保障期間が短く、離職も多いとみられる。厚生労働省研究班の04年のアンケート調査では勤労者の34%が依願退職か解雇されていた。遠藤助教は「がんだと復職が難しいというのは偏見で、十分な支援を行えば、長期に働ける。がんによる復職を法的に保障すべきだ」と話す。【斎藤義彦】

(転載終了)※    ※    ※

 がん患者の長期にわたる追跡実態調査は日本初だという。つまり、それほどかつてはそういう-がん治療後に復職して長期間働き続けるという-ケースが少なかったということであるとともに、今やがんに罹患し、治療をし、休職後も長期間働いておられる方がかなりの数いらっしゃるということなのだろう。特に復職後、5年を超えて働いている女性は6割を超えるという。しかもこと乳がんに限れば10年超えが中央値だ。初発から11年半弱の私は、今月の半ば、再発治療開始後に復職してまる8年を超えたのだが、まだまだ行ける。思わず、ガッツポーズである。

 この記事では、“大企業”という表現をしているし、中小企業や派遣については離職のケースも少なくないと書かれている。だから、実際には病気になったことや治療で休まなければならないことを理由に退職や解雇など離職を余儀なくされ、私の文章を目にして、お前はただ福利厚生に恵まれていただけだ、ラッキーなだけだ、と心穏やかでない方もおられるのかもしれない。

 けれど、現に復職してからも長期間働くことが出来るという実績がこれだけあるという事実を一人でも多くの方が知ることは、大きな意味を持つのではないか。そのことにより、様々な偏見-がんを患ってしまったら、もはや復職して長期に就業することは無理、というような-が少しずつでもなくなっていけば、と思う。

 この調査は、おそらく治療がエンドレスである再発患者に焦点を当てたものではないだろう。初発治療により休職して、その後働き続けているというサンプルの中にどのくらいの再発患者が含まれているのかはわからない。けれど見方を変えれば、初発治療を終え、再発することなく経過観察だけなら、復職できるだろうか・・・などと思うのは心配し過ぎだと言えるのではないだろうか。
 さらに、化学療法を中心とした再発治療でも、かつてに比べて入院ではなく通院が主流になっている。となれば企業は復職支援を充実させることで、大切な戦力であるベテラン人材を手放すことなく活用し続けることが出来る。そうなれば、企業にとってもがん患者にとってWin-Winになるわけだし、世の中はもう少し生き易くなるのではないかと思う。とともに、是非そうあってほしい、と切に願うのである。

 日本人の2人に1人が生涯でがんになる時代なのだから。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする