コロナ禍の今、飲食業だけでなく、ホテル、旅行、運輸業界は大変厳しいことになっている。そしてアパレル業界もしかり。
ずっとお気に入りだったブランドが終了になると知って哀しい・・・、と夏前にこのブログでも書いた。先月半ば、10数年御用達だった、某百貨店内にあるショップが閉鎖された。
平日の会議出張や、日曜日の瞑想ヨーガクラスも全てオンラインでの開催となり、都心に出向くことがすっかりなくなっていたけれど、さすがに最後と伺い、空いているであろう時間を見計らってご挨拶に出向いた。
仲良しのKさんとは残念ながらお目にかかれなかったけれど、その時、店長のHさんからエコバッグとマスクケースを頂いた。
このブランドの洋服の生地で本部のチーフが手作りしたとのこと。なるほど、どちらもワンピースやスカート等だった見覚えのあるもの。そこに添えられていたメッセージにうるっと来てしまった。
「お客様に喜んで頂けるものづくりをもっと、もっと、長く続けていきたかった。それが今の私たちの気持ちではございます。最後になりますが、お客様に感謝の気持ちをお伝えしたく今までのプリントや刺繍素材を使って、マルチケースを作ってみました。コロナ禍の今はマスクケースとして、またコロナが明ければ、パスポートケースやチケットケースとしてお使いいただければ幸いでございます。素人の手作り故に多少、雑な所もあろうかと思いますが、お許しくださいませ。 ○○本部一同」
店舗がクローズになった後も、ネットのサイトでは今月上旬まで買い求めることが出来た。なんとなく訪れては、ぽちっとして最後の最後までお世話になってしまった。コメントを見ても残念がっている方たちが多くいた。
先日届いた最後のメールには、「沢山のお客様からブランド、商品、ショップスタッフへのあたたかいお言葉や終了を惜しむお声を頂戴し、本当にありがたく感動いたしました。この場をお借りして御礼申し上げます。そして、その中でも多くよせられたご意見が、ぜひ何かしらの形で〇〇を継続、復活をさせてほしいというお声でした。長きに渡り皆様にご愛顧いただいたショップは、残念ながら8月ですべてのお店が閉店することとなりましたが、何とか違う形でいただいたお声にお応えすることができないか現在前向きに検討を進めております。皆様に、新たな企画などご案内できることが可能になりましたら改めてご案内させていただければと考えております。」とあった。
かれこれ15年ほどお付き合いさせて頂いたように思う。還暦にもなったことだし、卒業の頃合いだったのだろうな、と自分で自分を納得させている。
そんな中、近くにあるアウトレットモールの御用達ショップから、今月初めに突然ハガキが届いた。いつものセール案内かしらと見ると、今月末を待たずしてクローズとのこと。絶句した。
色々アドバイスを頂いてきた仲良しのHさんには「実はここ以外にもう一つお気に入りのブランドがあり、そこがクローズになるのだけれど、まさかこちらはそんなことはないですよね?」とお話ししたことを思い出した。「全くそんなことはありません。」とのことだった。それから僅か2か月くらいか。
ハガキが届く前の週にもふらっと訪れたのだけれど、その時は公休日のHさんとはお会い出来なかった。仕事から帰宅してハガキが届いたまさにその日からクローズセールスタートだった模様。彼女たちも本部から聞いたのは直前で、ハガキに何と書けば良いのか・・・、と辛かったという。
セール初日、それはとんでもない人出だったとのこと。セールが始まって翌々日の昼休みに覗いた時にも、普段見たことがないほどのお客さんの数。言葉は悪いけれど、皆、ハイエナの如く、爆買いをしていてレジ周りは殺気立っていた。ラックはかなりスカスカになっており、すっかり圧倒され、すごすごと帰ってきた。
以前このお店の店長だったMさんが異動された先のショップも7月末でクローズになり、それを機に退職されたという。Hさんは今のショップが一番通勤に便利だったが、月末からは片道1時間半はかかりそうな駅ビルのショップに異動が決まったのだそうだ。
「ひとまず行ってみて、あまりに辛かったら年も年だし、退職かな・・・と思っています。」とのこと。退職を余儀なくされるような遠い店舗への異動、年も年だ、なんて私から見ればまだまだ若いわけで、このまま仕事をしないで・・・というわけにはいくまい。
最初に書いた百貨店内のショップには、かつては店長のHさんを含め4人のスタッフが常駐していた。クローズが決まってからは3人になり、Hさんは別の百貨店内別ブランドの店長として引き続き勤務することになり、仲良しだったKさんは会社を退職し、同じ百貨店内の別の店舗で働くことが決まっている、と聞いた。
けれど、一番若手の、息子と同い年のTさんは、退職はするが次の職場はまだ決まっていないとのことだった。「就職が決まった時は、まさかこんなことになるなんて・・・何が起こるかわかりませんね。」と呟いた彼女に、かける言葉が見つからなかった。
こうして多くの人たちが思いもかけず異動を余儀なくされ、或いは職が失われていくのを目の当たりにして、やるせなく哀しい気持ちが溢れてくる。
コロナ禍、本当にいつまで続くことやら・・・。