今日は内科受付の後、ほどなくして中待合への番号が点滅し、診察室に入った。昨日、無事新型インフルエンザの予防接種を終了した旨ご報告。それから金曜日の婦人科検診についてご相談。昨年度は受診していないので、2年ぶりであること、「しこりは感じないがエコーでは両側に影が認められるため、針生検をするところだが、週1回通っているかかりつけの病院に相談するように」と言われた旨をお話しする。
先生は「まずはこちらで乳腺エコーをして存在確認をしましょう。」ということで、来週点滴の後に予約を入れてくださった。それでもどうしても聞きたかったのは、(私のような再発転移のケースで)さらに針生検や手術が必要なのか、ということだった。正直、もう完治しないことは判っているのにそれでもまた、針を刺すだの手術だのと言われたら・・・と、金曜日以来ずっと気になっていた。
先生のお答えはとても明快で安心した。「まずは存在確認ができてからの話だが、実際にある、となったときには左は再発・転移の可能性が高い。右は転移かもしれないし、新しいものかもしれない。前回の検診後2年の間にできていたものかもしれない。その場合には左はそのまま何もしないで良いが、右についてはがんの性質について調べるために針を刺す、ということもあるかもしれない。ただ、現在あなたはホルモン治療、ハーセプチン、抗がん剤とフルコースの治療をしている。全ての治療が効くタイプのがんだから。もし今治療しているがんがホルモン剤も効かない、ハーセプチンも使えないという性質のものであれば、右に新しくできたがんの性質を調べれば選択肢が増える、という可能性もあるが、あなたの場合はそうではないので、仮に右に新しくできたものの性質がわかったところで治療方針が大きく変わるわけではない。ホルモン治療の薬を変えてみるとか抗がん剤を変えてみる、ということはあるかもしれないが、ホルモン治療、ハーセプチン、抗がん剤という3大柱以外の選択肢が増えるわけではない。だからその必要はない。」と。本当に安心した。先生でよかった、と思った。とにかく来週のエコーを受け、年明けに読影後、ということになった。
処置室へ移動し、薬が届くのを待って点滴開始。今日はハーセプチン、ゾメタのフルコースの日。生理食塩水を含め4本の点滴だ。
おかげで今日も2冊の本を読んだ。
1冊目は中島義道さんの「醜い日本の私」(新潮文庫)。日本と欧米の客室乗務員の違いから始まった第3章の「奴隷的サービス」、車内アナウンス等を例にとった第4章の「言葉を信じない文化」が特に興味深かった。また大学内に飛び交う怪文書、については実際さもありなん、と思うところがあった。解説の椎名誠さんではないけれど、この本を読んだことで、この国をもう少し冷静に見つめるための訓練ができるかもしれない。
2冊目は桐野夏生さん編「我等、同じ船に乗り 心に残る物語 日本文学秀作選」(文春文庫)。島尾敏雄・ミホ夫妻、松本清張、太宰治、坂口安吾、谷崎潤一郎などという、そうそうたるメンバーの作品集。なかでも林芙美子の「骨」、菊池寛の「忠直卿行状記」、澁澤龍彦の「ねむり姫」は面白かった。久しぶりに今を生きる作家から離れたが、菊池寛の文章の格調の高さ、リズムには改めて圧倒された。
日ごろから考えていることを少し書いておきたい。
「ワーク・ライフ・バランス」=数年前からこの言葉がずいぶん市民権を得てきたような気がする。病気になってから、というわけではないけれど、私は勤め始めてからずっといつもこのことを意識し続けてきた。いくら忙しくても、忙しいときほど深呼吸をして、自分の生活を大切にしよう、と。
プライベートがきちんとしていないと決していい仕事は出来ない、とつくづく思う。もちろん若い時期、仕事を覚えなければいけない時期、しゃかりきになって働かなければいけない時期はあるけれど、今や「24時間働けますか」という時代ではないだろう。いかに勤務時間内に密度濃く仕事をするか、とりあえず最初から残業モードで日中はのんびり、夕方からだんだん元気になってくる、というのはどう考えてもおかしなことだ。
実際のところ、子育て中は何があろうとも保育園のお迎え時間という印籠があったから、どんな状況でも涙を呑んで頭を下げて職場をあとにした。どうしても間に合わなければ土日出勤、もしくは平日帰宅後、食事の支度と息子の世話をして、夫が帰ってきたらバトンタッチして、再び職場に出直す、などという「帰ってきたぞ、ウルトラマン」式の技も駆使してきた。
けれど持ち時間が限られていると、仕事の優先順位、段取り、根回しは当然真剣に考えるし、今やれることはすぐやるし、明日以降でもいいことも(明日子どもが熱を出すかもしれないから)できれば片付けておくなどなど、時間制限なく仕事をしているよりもずっと効率は良かったはずだと思う。
それと同じで、今は仕事と治療の両立というワーク・ライフ・バランスが私のモットーになった。週1度の通院は多分これから生きていく限り絶対欠かせないので、それ以外の4日間でいかに効率的に関連部署に迷惑をかけずに5日分の仕事を片付けるか。日々それを考えつつ過ごしているので、おかげさまで毎日が充実している。
それでも仕事がなくて暇・・・よりも、少し忙しいくらい仕事があった方が精神衛生上絶対に良い。こういう状況で仕事を続けていくことについて、家族に皺が寄っている、といえばそうかもしれないけれど、今は基本的に超過勤務をせずウイークデーは朝の洗濯、お弁当作りから夕飯のしたく等家事もこなしている。そして、土日は夫が主体的に家事を担当してくれてもいる。とにかく去年の今頃を思えば、こんなに普通に毎日働けるようになったことが本当にありがたい。今年の勤労感謝の日はたまたま出勤だったが、自分がまた働けるようになったことに感謝、の日だった。今の状態がどうか1日も長く続いてくれますように・・・。
帰りには看護師さんたち手作りの可愛いクリスマスカードを頂いた。去年に続いて2回目だ。去年のものもとってある。お忙しい中、時間を作って手作りされるのだろう。本当に頭が下がる。「ステキな笑顔を見せてください、応援しています。」の言葉に今年1年の感謝と来年また治療をがんばらなくては、という思いを強くした。
会計の後、処方して頂いた1か月分のアロマシンを薬局で受け取り、帰宅の途に着いた。
今日は冬至。ゆず湯に入って暖まろう。
先生は「まずはこちらで乳腺エコーをして存在確認をしましょう。」ということで、来週点滴の後に予約を入れてくださった。それでもどうしても聞きたかったのは、(私のような再発転移のケースで)さらに針生検や手術が必要なのか、ということだった。正直、もう完治しないことは判っているのにそれでもまた、針を刺すだの手術だのと言われたら・・・と、金曜日以来ずっと気になっていた。
先生のお答えはとても明快で安心した。「まずは存在確認ができてからの話だが、実際にある、となったときには左は再発・転移の可能性が高い。右は転移かもしれないし、新しいものかもしれない。前回の検診後2年の間にできていたものかもしれない。その場合には左はそのまま何もしないで良いが、右についてはがんの性質について調べるために針を刺す、ということもあるかもしれない。ただ、現在あなたはホルモン治療、ハーセプチン、抗がん剤とフルコースの治療をしている。全ての治療が効くタイプのがんだから。もし今治療しているがんがホルモン剤も効かない、ハーセプチンも使えないという性質のものであれば、右に新しくできたがんの性質を調べれば選択肢が増える、という可能性もあるが、あなたの場合はそうではないので、仮に右に新しくできたものの性質がわかったところで治療方針が大きく変わるわけではない。ホルモン治療の薬を変えてみるとか抗がん剤を変えてみる、ということはあるかもしれないが、ホルモン治療、ハーセプチン、抗がん剤という3大柱以外の選択肢が増えるわけではない。だからその必要はない。」と。本当に安心した。先生でよかった、と思った。とにかく来週のエコーを受け、年明けに読影後、ということになった。
処置室へ移動し、薬が届くのを待って点滴開始。今日はハーセプチン、ゾメタのフルコースの日。生理食塩水を含め4本の点滴だ。
おかげで今日も2冊の本を読んだ。
1冊目は中島義道さんの「醜い日本の私」(新潮文庫)。日本と欧米の客室乗務員の違いから始まった第3章の「奴隷的サービス」、車内アナウンス等を例にとった第4章の「言葉を信じない文化」が特に興味深かった。また大学内に飛び交う怪文書、については実際さもありなん、と思うところがあった。解説の椎名誠さんではないけれど、この本を読んだことで、この国をもう少し冷静に見つめるための訓練ができるかもしれない。
2冊目は桐野夏生さん編「我等、同じ船に乗り 心に残る物語 日本文学秀作選」(文春文庫)。島尾敏雄・ミホ夫妻、松本清張、太宰治、坂口安吾、谷崎潤一郎などという、そうそうたるメンバーの作品集。なかでも林芙美子の「骨」、菊池寛の「忠直卿行状記」、澁澤龍彦の「ねむり姫」は面白かった。久しぶりに今を生きる作家から離れたが、菊池寛の文章の格調の高さ、リズムには改めて圧倒された。
日ごろから考えていることを少し書いておきたい。
「ワーク・ライフ・バランス」=数年前からこの言葉がずいぶん市民権を得てきたような気がする。病気になってから、というわけではないけれど、私は勤め始めてからずっといつもこのことを意識し続けてきた。いくら忙しくても、忙しいときほど深呼吸をして、自分の生活を大切にしよう、と。
プライベートがきちんとしていないと決していい仕事は出来ない、とつくづく思う。もちろん若い時期、仕事を覚えなければいけない時期、しゃかりきになって働かなければいけない時期はあるけれど、今や「24時間働けますか」という時代ではないだろう。いかに勤務時間内に密度濃く仕事をするか、とりあえず最初から残業モードで日中はのんびり、夕方からだんだん元気になってくる、というのはどう考えてもおかしなことだ。
実際のところ、子育て中は何があろうとも保育園のお迎え時間という印籠があったから、どんな状況でも涙を呑んで頭を下げて職場をあとにした。どうしても間に合わなければ土日出勤、もしくは平日帰宅後、食事の支度と息子の世話をして、夫が帰ってきたらバトンタッチして、再び職場に出直す、などという「帰ってきたぞ、ウルトラマン」式の技も駆使してきた。
けれど持ち時間が限られていると、仕事の優先順位、段取り、根回しは当然真剣に考えるし、今やれることはすぐやるし、明日以降でもいいことも(明日子どもが熱を出すかもしれないから)できれば片付けておくなどなど、時間制限なく仕事をしているよりもずっと効率は良かったはずだと思う。
それと同じで、今は仕事と治療の両立というワーク・ライフ・バランスが私のモットーになった。週1度の通院は多分これから生きていく限り絶対欠かせないので、それ以外の4日間でいかに効率的に関連部署に迷惑をかけずに5日分の仕事を片付けるか。日々それを考えつつ過ごしているので、おかげさまで毎日が充実している。
それでも仕事がなくて暇・・・よりも、少し忙しいくらい仕事があった方が精神衛生上絶対に良い。こういう状況で仕事を続けていくことについて、家族に皺が寄っている、といえばそうかもしれないけれど、今は基本的に超過勤務をせずウイークデーは朝の洗濯、お弁当作りから夕飯のしたく等家事もこなしている。そして、土日は夫が主体的に家事を担当してくれてもいる。とにかく去年の今頃を思えば、こんなに普通に毎日働けるようになったことが本当にありがたい。今年の勤労感謝の日はたまたま出勤だったが、自分がまた働けるようになったことに感謝、の日だった。今の状態がどうか1日も長く続いてくれますように・・・。
帰りには看護師さんたち手作りの可愛いクリスマスカードを頂いた。去年に続いて2回目だ。去年のものもとってある。お忙しい中、時間を作って手作りされるのだろう。本当に頭が下がる。「ステキな笑顔を見せてください、応援しています。」の言葉に今年1年の感謝と来年また治療をがんばらなくては、という思いを強くした。
会計の後、処方して頂いた1か月分のアロマシンを薬局で受け取り、帰宅の途に着いた。
今日は冬至。ゆず湯に入って暖まろう。