ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2009.12.16 one of themとonly one

2009-12-16 20:26:07 | 日記
 かつて流行った歌ではないけれど、私たちは一人ひとりがかけがえのない”only one”だ。組織の中では歯車のひとつでしかないけれど、そうはいっても一人ひとりが、当然そこに至るまでの自分史と家族と、その他いろいろなものを背負っている。だから自分は、自分にとっても、家族にとっても”only one”であることは間違いない。

 組織に自分の代わりはいくらでもいる。若い頃にはなかなかこのことを認め難いものがあったが、年を重ねてきて、しかも病気で休んだりということを繰り返してくると、不思議なくらいごく自然に、悔しがることもなく、そうだよなあと思うようになっている。もちろん、代替者が自分と全く同じやり方でやるかどうかは別にして、ともあれ自分がいなくても組織は間違いなく回っていく。それが現実なのだけれど、ちょっと哀しい。
「私じゃなきゃダメ」な仕事なんてそうそうはないのだ。
一方で家族の一員としての役割を担うのは、他でもない自分にしか出来ないことだ。我が家でいえば息子にとっての母であり、夫にとっての妻である、という私の役割。もっとも主婦については、夫が家事一通りのことは何でも出来るので全くもって問題はないのだが。

 その、自分こそは“only one”だ、ということを相手に押し付けるかどうか、そこが問題だ。特にお互い気心が知れ信頼関係がある間柄ならまだしも、そうでない相手に対して、ということだ。今回の新型インフルエンザワクチン優先接種証明書の問題もしかり。証明書さえかざせば自分が一番先にやってもらえるのは当然だ、という態度で病院に行く人がいるという。確かに基礎疾患があり、対象者であることは間違いがないのだろうけれど、その中でも最優先なのか優先なのか、再度調整して順位付けする必要があるということをなかなか理解できず、キレる患者に、受付は調整するのが大変だという。まさしくモンスターペイシェントとでも呼ぶのだろう。

 普段の診察でもそうだ。受け持ち患者をたくさん抱えている多忙な主治医に、自分が“only one”だ、として全てを求めるのは、冷静に考えればとても酷だと気づくだろう。先生だって医師であると同時にいろいろ背負っている一人の人間なのだから。

 だからこそ、前にも書いたが、少しでも賢い患者にならなくてはと思う。きちんと勉強して、先生や看護師さんと臆することなく話が出来るようにならなくては、と思う。今、私は幸いなことに信頼できる主治医に出会い、納得して治療を受けることができている。判らなければ、納得できなければ、なるべくその場で質問する。気になっても不明なことは、調べてから次の診察のときにでも質問する。(今は毎週の通院だから、それがしやすい環境であるということは事実だが。確かに3ヶ月に一度の通院だったときは、なかなか質問しづらいこともあった。)
診察室の場でうっかり忘れてしまえば、点滴を受けている間に看護師さんを通じて聴いて頂いたり、お願いしたりすることもある。そして、その際にいやな顔をされたことは、全くない。質問するのは患者として当然のことだ。誰のものでもない、”自分の”体なのだから。

 ただ、納得して治療を始めたら、明らかに症状の悪化が見られるなどの事実がなければ、主治医を信じて自分が選択した治療を継続するのが普通だと思う。もちろん“only one”の大事な自分の体だから、もっと別に良い治療法があれば、といろいろ試してみたくなる気持ちも当然理解できる。だが、先日主治医に内緒で他の病院に行って別の治療を試み、主治医から「私はあなたの主治医ではないですからね。」という態度をとられた、と憤慨する患者の話を聞いたときには考えさせられた。
 この場合、嘆きたいのは主治医ではないだろうか。自分が知らない場所で勝手に他の治療をされ、結果として自分が行っている治療が効いているのか、他で行った治療が効いているのか分からない患者に対して、責任を持って「自分が主治医です。」とは言えないだろう。(少なくとも、もし私が医師であったら、決して言えないと思う。)
現在の治療では今の主治医が自分にとっての“only one(best one)”だと信頼せずして、主治医にだけ自分という患者を“only one”と扱ってくれ、というのはあまりに虫がいいのではないだろうか。朝からひっきりなしに何十人もの患者を診察する多忙な医師にとって、私たち患者一人ひとりは冷静に考えてみれば当然、“one of them”に過ぎないのだから。

 さて、新型インフルにかかった息子は処方されたタミフルがしっかり効いて、今朝は平熱に戻った。食欲も戻ってきた様子。さすがに今日明日は安静だけれど、金曜日からは登校できそうだ。あとはこちらがうつらないことを祈るのみだ。
 最初にエントリーしていた最寄の駅にあるクリニックから今しがた「お待たせしていましたが、ようやくワクチンが入ったので」と電話があった。週明け月曜日に接種が決まった。1月に入ってからの接種予定がまた20日早くなったので、ほっとした。

コメント
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