内科で受付を済ませると程なく「中待合へどうぞ」の番号が点滅し、廊下に入ると、これまた殆ど待たずに診察室から先生が私の名前を呼びつつお顔を出された。
「先週はどうでしたか」といういつものご質問に「昨日あたりから左胸の傷口あたりの痛みがある」ことをご報告。胸骨周辺にはずっと鈍痛はあるし、押せば傷口周辺も当然痛むのだが、何もしないでいても痛むのは久しぶりなので、その旨お話する。「昨年に比べてどうですか、寒くなったからかな」と先生にも触診して頂いた。
昨年に比べて、と言われたところで去年はタキソテールの副作用で傷口の痛みどころではなかった・・・とお答えする。まあ相対的に今は元気、なのでより気になるのかもしれないけれど。確かに寒いと古傷は痛む。ただ不思議なことに帝王切開と卵巣のう腫で2回入れたメスが今は同じ傷になっているが、そちらはほとんど痛むことはない。なのに、胸の傷はもう5年近く経っているのにずっと痛む。初発の後の経過観察でも、検診でも、触診されるたびにずっと痛みがあった。(これが良性と悪性の違いなのかなあ)と一人で納得している。胸の傷口は皮膚の上からさわってもでこぼこしており摘出した塊の部分が今も空洞なのでえぐれている感じだ。
さて、気になっていた腫瘍マーカー値は先月に続きまた上がっていた。ただ前回よりも上がり方は鈍っている。なんとか正常範囲内なので、「特に気にしない方がよい」と言って頂いた。気にせずに新年を迎えたいと思う。ホルモンの状況は前回の半年前に比べて「より一層閉経後」の状況だそうで、下垂体から出る女性ホルモンは血中には検出されないくらいの濃度、ということで先生には「ご卒業」と言われた。喜ぶべきや否や。病気そのものが卒業になればよかったのに、と思うけれど。
今日はポートへの針刺しに全く痛みがなく、嬉しかった。翼状針という翼を広げたようなかわいい針なのだが、なかなか太い針なので痛いときは痛い。その後点滴もスムーズに開始、順調に進み、いつになく早く終了した。
今日は点滴時間と電車の中等も含めて3冊読めた。
1冊は加藤重広さんの「その言い方が人を怒らせる-ことばの危機管理術」(ちくま新書)。最近の言葉の使い方で、なんとなくそうだなあ、と思っていたことをなるほどそうだなあ、と納得できるように実に明快に解説して頂き、とてもすっきりした。日本人の「文章を閉じたくない病」にはとても納得する。言わなければならないことははっきり言いつつ、人を怒らせずに気持ちよく話がしたいものだ。
2冊目、3冊目は岡井崇さんの「ノーフォールト」(上・下)(ハヤカワ文庫)。現在放映中のテレビドラマ「ギネ 産婦人科の女たち」の原作だ。テレビでは明日が最終回のようだ。原作とは登場人物の設定がだいぶ違うようだけれど、専門用語はある程度すっとばしつつ一気に読んだ。35年間の医師経験に裏打ちされた文章には迫力があった。私も丸高ぎりぎりの高齢出産で難産だったため、最終的に帝王切開に切り替えることになった経験がある。そのときは「2人分産んだ(苦しみだった)ね。」と看護師さんに言われたけれど、帝王切開にかかるいろいろなリスクを思えば、「無事に産ませてくださって本当にありがとうございます。そして無事に産まれてきてくれてありがとう。」と改めて思った。この下巻で今年読んだ本はちょうど300冊になった。
今日は明日の朝がまた都心での早朝会議だったため、先月と同じホテルに前泊した。
本当は一度帰宅してもろもろ家事をしてから、と思っていたけれど、夫と息子が新しく出来たレストランでの外食を望んでくれたおかげで、病院からホテルに直行し、さらに読書を楽しむことが出来た。
前に怖くて聞けないでいる、と書いたことがあるが、再発と再々発は同一疾病なのかそれとも別なのか、ということについて職場で担当に確認し、回答が来た。
以下の文章はそれぞれの担当さんが書いてくれたものだ。
(Q)病気休職事務処理要領に以下のとおり、同一疾病の記載がある。
⇒同一の疾病(病名は異なるが、病状及び病因等から同一の療養行為と認める場合を含む。以下、同じ。)
次の条件の場合、同一疾病とするのか否かについてお伺いしたい。
・ 「再発乳がん、骨転移、肺転移、リンパ節転移」の病名により病気休職を取得し職場復帰している職員がいる。 (私のことです。)
・復帰後1年以内に再発した場合、引き続き病気休職を発令されることになるが、がんの転移場所がたとえば脳や肝臓と別部所での再発の場合、病名は広義ではがんであるが、狭義では「脳腫瘍、肝臓がん」など別病名となる。(「脳腫瘍、肝臓がん」は、正しくは「再発乳がん脳転移、肝転移」という病名になるだろう。)
・また再発の部所により、症状や療養行為が異なるのだが、再発がんを、前回病気休職を取得した疾病「再発乳がん等」と同一疾病とするのか否か、お伺いしたい。
(A)・がんが転移したことが認められる場合には、同一の病因による疾病とみなす(通算対象)
・ただし、がんが転移したものではなく、新たに発生したと認められる場合は、「同一の病因」と見なさず通算もしない。
・要領にある「療養行為」は、病気を原因として休んでいる事実を示しており、具体的な 治療方法が異なるかどうかということではない(同一疾病でも治療方法が異なることはあり得る)。
答えとしては「同一疾病かどうか」は、がんについては「転移したものと認められるかどうか」がポイントになるようで 、転移ではなく新たに発生したと認められる場合、別疾病と判断されるようです。 転移ではなく新たに発生した、とどういうふうに認められるのかについては言及はありませんでした。
とのこと。
要は、今後、乳がんが別部位に再発したとしてもそれが乳がんの転移であるなら、あくまでも同じ、同一疾病だ、ということだ。別の病気と認めてもらうためには新しいがんを患うこと、多重がんにならないといけない、ということか。しかし、本当のところ病理検査をしなければ確定はできまい。こう考えればとにかく前回の病気休職から1年が経過すると、再び病気休暇を取得することができるようになるため、来年の5月までは今の状況でつないでいくしかない、ということだろう。心のどこかで、(もし来年の5月までに再々発したら、治療のため即病気休職になる。そうなると、残りの休職期間は限られてくる。いよいよ辞め時なのかもしれない)、とぼんやり思っている。もちろん、そんなことは実際にそうなってから考えればよいことだろうし、取り越し苦労なら良いのだが。
「先週はどうでしたか」といういつものご質問に「昨日あたりから左胸の傷口あたりの痛みがある」ことをご報告。胸骨周辺にはずっと鈍痛はあるし、押せば傷口周辺も当然痛むのだが、何もしないでいても痛むのは久しぶりなので、その旨お話する。「昨年に比べてどうですか、寒くなったからかな」と先生にも触診して頂いた。
昨年に比べて、と言われたところで去年はタキソテールの副作用で傷口の痛みどころではなかった・・・とお答えする。まあ相対的に今は元気、なのでより気になるのかもしれないけれど。確かに寒いと古傷は痛む。ただ不思議なことに帝王切開と卵巣のう腫で2回入れたメスが今は同じ傷になっているが、そちらはほとんど痛むことはない。なのに、胸の傷はもう5年近く経っているのにずっと痛む。初発の後の経過観察でも、検診でも、触診されるたびにずっと痛みがあった。(これが良性と悪性の違いなのかなあ)と一人で納得している。胸の傷口は皮膚の上からさわってもでこぼこしており摘出した塊の部分が今も空洞なのでえぐれている感じだ。
さて、気になっていた腫瘍マーカー値は先月に続きまた上がっていた。ただ前回よりも上がり方は鈍っている。なんとか正常範囲内なので、「特に気にしない方がよい」と言って頂いた。気にせずに新年を迎えたいと思う。ホルモンの状況は前回の半年前に比べて「より一層閉経後」の状況だそうで、下垂体から出る女性ホルモンは血中には検出されないくらいの濃度、ということで先生には「ご卒業」と言われた。喜ぶべきや否や。病気そのものが卒業になればよかったのに、と思うけれど。
今日はポートへの針刺しに全く痛みがなく、嬉しかった。翼状針という翼を広げたようなかわいい針なのだが、なかなか太い針なので痛いときは痛い。その後点滴もスムーズに開始、順調に進み、いつになく早く終了した。
今日は点滴時間と電車の中等も含めて3冊読めた。
1冊は加藤重広さんの「その言い方が人を怒らせる-ことばの危機管理術」(ちくま新書)。最近の言葉の使い方で、なんとなくそうだなあ、と思っていたことをなるほどそうだなあ、と納得できるように実に明快に解説して頂き、とてもすっきりした。日本人の「文章を閉じたくない病」にはとても納得する。言わなければならないことははっきり言いつつ、人を怒らせずに気持ちよく話がしたいものだ。
2冊目、3冊目は岡井崇さんの「ノーフォールト」(上・下)(ハヤカワ文庫)。現在放映中のテレビドラマ「ギネ 産婦人科の女たち」の原作だ。テレビでは明日が最終回のようだ。原作とは登場人物の設定がだいぶ違うようだけれど、専門用語はある程度すっとばしつつ一気に読んだ。35年間の医師経験に裏打ちされた文章には迫力があった。私も丸高ぎりぎりの高齢出産で難産だったため、最終的に帝王切開に切り替えることになった経験がある。そのときは「2人分産んだ(苦しみだった)ね。」と看護師さんに言われたけれど、帝王切開にかかるいろいろなリスクを思えば、「無事に産ませてくださって本当にありがとうございます。そして無事に産まれてきてくれてありがとう。」と改めて思った。この下巻で今年読んだ本はちょうど300冊になった。
今日は明日の朝がまた都心での早朝会議だったため、先月と同じホテルに前泊した。
本当は一度帰宅してもろもろ家事をしてから、と思っていたけれど、夫と息子が新しく出来たレストランでの外食を望んでくれたおかげで、病院からホテルに直行し、さらに読書を楽しむことが出来た。
前に怖くて聞けないでいる、と書いたことがあるが、再発と再々発は同一疾病なのかそれとも別なのか、ということについて職場で担当に確認し、回答が来た。
以下の文章はそれぞれの担当さんが書いてくれたものだ。
(Q)病気休職事務処理要領に以下のとおり、同一疾病の記載がある。
⇒同一の疾病(病名は異なるが、病状及び病因等から同一の療養行為と認める場合を含む。以下、同じ。)
次の条件の場合、同一疾病とするのか否かについてお伺いしたい。
・ 「再発乳がん、骨転移、肺転移、リンパ節転移」の病名により病気休職を取得し職場復帰している職員がいる。 (私のことです。)
・復帰後1年以内に再発した場合、引き続き病気休職を発令されることになるが、がんの転移場所がたとえば脳や肝臓と別部所での再発の場合、病名は広義ではがんであるが、狭義では「脳腫瘍、肝臓がん」など別病名となる。(「脳腫瘍、肝臓がん」は、正しくは「再発乳がん脳転移、肝転移」という病名になるだろう。)
・また再発の部所により、症状や療養行為が異なるのだが、再発がんを、前回病気休職を取得した疾病「再発乳がん等」と同一疾病とするのか否か、お伺いしたい。
(A)・がんが転移したことが認められる場合には、同一の病因による疾病とみなす(通算対象)
・ただし、がんが転移したものではなく、新たに発生したと認められる場合は、「同一の病因」と見なさず通算もしない。
・要領にある「療養行為」は、病気を原因として休んでいる事実を示しており、具体的な 治療方法が異なるかどうかということではない(同一疾病でも治療方法が異なることはあり得る)。
答えとしては「同一疾病かどうか」は、がんについては「転移したものと認められるかどうか」がポイントになるようで 、転移ではなく新たに発生したと認められる場合、別疾病と判断されるようです。 転移ではなく新たに発生した、とどういうふうに認められるのかについては言及はありませんでした。
とのこと。
要は、今後、乳がんが別部位に再発したとしてもそれが乳がんの転移であるなら、あくまでも同じ、同一疾病だ、ということだ。別の病気と認めてもらうためには新しいがんを患うこと、多重がんにならないといけない、ということか。しかし、本当のところ病理検査をしなければ確定はできまい。こう考えればとにかく前回の病気休職から1年が経過すると、再び病気休暇を取得することができるようになるため、来年の5月までは今の状況でつないでいくしかない、ということだろう。心のどこかで、(もし来年の5月までに再々発したら、治療のため即病気休職になる。そうなると、残りの休職期間は限られてくる。いよいよ辞め時なのかもしれない)、とぼんやり思っている。もちろん、そんなことは実際にそうなってから考えればよいことだろうし、取り越し苦労なら良いのだが。