京都市中京区河原町通竹屋町東入末丸町284
上の住所は当館のものである。
他の市町村ならば、京都市中京区末丸町284、で済むだろう。
実際、京都だって、それで郵便はちゃんと届く。
河原町通竹屋町東入、とは、河原町通と竹屋町通の交差点を東に入ったところ、という意味だ。
京都では、実はこの部分が案外重要である。
何しろ、京都は町区割りが細かい。
交差点と交差点に挟まれた通りの両側で、一つの町内が構成される。
大体そんな感じだ。
京都の中心地は碁盤の目を作りだすように通りがあって、その通りが縦横それぞれ40前後はあるだろう。
その交差点を過ぎるたびに町が変わるのだから、町数がとてつもない数になる。
お江戸八百八町というが、きっとそれどころではない。
つまり、町名で場所を特定するのが難しい。
そこで、「東入」「西入」「上ル」「下ル」が登場するわけだ。
キーボード入力でローマ字変換のほうを覚えるのが楽なのと似た原理だ。
しかし、困ったことに、住所が長くなる。
他府県の人間から、住所が長すぎて書くのが大変だ、と、苦情が来る。
ここにマンション名とかが入ったら、一層大変だ。
全国共通の書式に住所を書く際、欄が足りないことが多々ある。
京都市上京区智恵光院通元誓願寺東入元妙蓮寺町
これは実在の住所だが、一体何事かと思う。
もはや漢詩か呪文の類かに見えてくる。
寺の名前が三つあるのも、中々壮観である。
これに番地とマンション名が入ったら、宛先印刷のソフトを使っても、レイアウトに苦労しそうだ。
しかし、こういう住所を見ていると、その地名の由来を知りたくなる。
元○○寺町などは、よくあるのだが、一体今はどこにあるのか、とか、なぜ移転したのか、とか。
○○屋町というのも、よくあるが、このあたりにそういう店が多かったのか、とか。
まあ、考えてみたりするのも面白い。
そして、実際にそこへ行き、その名残を見つけると、なお楽しい。
京都観光の楽しみの一つである。
”あいらんど”