散日拾遺

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役不足

2020-12-04 07:21:43 | 日記
2020年12月4日(金)
 「しかし、小倉高等女学校を主席で出ておいて、女子師範学校へ進み、小学校の訓導というのは役不足ではないか。
 そこで別の思いが湧いた。
 主の声だったかもしれない ー」

 言葉が正しく適切に使われていると、それだけで安心するということがある。しばしば誤用される「役不足」の、本来の用例としてぴったりである。
 それはともかく、信仰を携えた登場人物をこんなふうに正面から描く作品も最近珍しい。朝刊の連載小説面が、しばらくぶりに気にかかり始めている。

 「ずっと後のことになるがわたしが志願して日曜学校の教師を務めるようになったのはこの時の主の声があったからだ。」
池澤夏樹『また会う日まで』122