散日拾遺

日々の雑感、読書記録、自由連想その他いろいろ。
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Taste of Honey

2021-09-01 10:46:50 | 日記
2021年8月21日(土)
 この夏の郷里は記憶にないほど雨が多い。そのせいもあってかどうか、ハチの巣を一度も見なかった…と書こうとした途端に遭遇。
 アシナガバチはよくわかっていて、細くてもしっかりした枝を選んで巣をかける。目につきにくいところというのも外せない条件で、草刈りを怠って樹木の低い枝が夏草に蔽われた部分などは、第一級の候補地になる。それに気づかず、不用意に草むらに踏み込んで刺されるのだ。マムシを踏みつけるのも同じパターンらしく、ヤブヘビとはよく言ったもの。とはいえ、藪や草むらをつつかないでは草刈りにならない。長柄の鎌や草刈り機など道具や機械で離れてつつきながら草を平らげ、安全を確認しつつ踏み入るのである。
 春先からほったらかしの甘夏柑の樹を、背丈ほども伸びた草むらから救出すべく、樹を周回しながら刈っていたら、やおら目の前にアシナガバチが2匹、ついと浮上してホバリングする。観察するような威嚇するような。いったん離れて外側から少しずつ刈っていくと、甘夏の枝の低いところに小さからぬ巣が透けて見えた。

 どこ?

 ここ!

 やあ!

 お元気でしたね!百穴は下らない、立派なお住まいとお見受けしました。

2021年8月22日(日)
 アゲハチョウはミカンやカラタチを好んで産卵するから、界隈にアゲハチョウが多いのは当然、アシナガバチはアゲハチョウの幼虫を好餌とするから、アシナガバチが栄えるのもまた当然である。
 アゲハチョウが庭に咲いた花を順に訪れる中で、どうやらノウゼンカズラが好みらしい。


 休んでは蜜を吸うことをくり返していたが、よほど気に入ったと見えて面白いことが起きた。


 見ての通り、頭を突っ込んで蜜を吸い始めたのである。その姿勢のまま動かない。5mほど離れた縁側から見ていたが、これならひょっとして写真に撮れるかとカメラを取ってきて前庭に降り、ぐるっと回って近づくまで30秒あまり、その間ずっとこの状態である。天敵に襲われたらひとたまりもあるまいに、お構いなしの没頭ぶり。

 さほどに蜜の甘くあるらし。この夏一番の奇観である。

Ω