散日拾遺

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夜の王者を鼻で追う

2021-09-04 16:15:17 | 日記
2021年7月26日(月)



 滅多に姿を見せないのによくぞ撮れたものだ。
 すばしこく賢く用心深い生きものに讃仰の念すら抱くけれども、残念ながら一つ屋根の下で共存するわけにはどうしてもいかない。
 この夏は長い戦いだった。それを通じて知ったのは、嗅覚というものの絶大な効用である。自分の鼻がこんなに役立つとは思わなかった。
 美食や嗜好のためにあるのではない、見えないところに隠れ潜む獲物や敵、それらの出没した痕跡、障害物の陰の異物の存在などを敏感かつ的確に察知し、生き延びる可能性を飛躍的に高める飛び道具がハナくんくんである。
 大脳皮質はもともと嗅覚上皮に由来する。とりわけ夜行性の哺乳類でよく発達しているが、昼の世界に拡がったヒトの脳の基層にもちゃんと標準装備されている。
 一動物としての self esteem をいささか回復した気分。進化論的自尊心?
 
Ω