[日東商船が沖永良部-与論-沖縄本島間の航路を開業予定]
千葉県で観光遊覧船を運航している日東商船が鹿児島県沖永良部島の知名漁港-与論島の与論港-沖縄県国頭村の辺土名漁港間の旅客船航路を開業させる模様です。所要時間は片道約2時間で、この秋にも就航させたいとのことです。当面は朝6時に沖永良部を出て夕方に辺土名を出る1日1往復で、運賃は通しで4,500円とのことです。辺土名から那覇空港までの連絡バスも検討しているとのこと。
日東商船(旧:東京商船)はこれまでも伊豆大島-久里浜、奄美大島-喜界島などの航路を開業していますが、いずれも軌道に乗らず撤退しています。今回も沖縄本島側の発着港があまり便利とは言えない辺土名(国頭村役場の近くで名護まで1時間に1本程度バスがあるが所要60分)で、果たしてどれだけ利用があるか微妙だと思います。あれば便利な航路ですが、同社はダイヤや運航体制を突然変更する傾向があり、ホームページと実際の運航が食い違うことが多々あることから、利用を検討される際は会社に電話するなどで最新の情報収集を怠らないようにしてください。
[全日空が三宅島から事実上撤退]
全日空より三宅村に対し、現在羽田-三宅島線で運行しているDHC-8-300型機が老朽化したため来年3月末で同機を引退させたいとの通告があったようです。後継機については示されず、事実上運休→撤退となる模様です。同じ機体で運航している大島線についても今後の動向は微妙です。
三宅島線は雄山の噴火により2000年より運休となり、2008年に暫定的に再開されています。元々1日2往復だったものを1往復とし、火山ガスの影響が出ない場合に限り運航するというものです。火山ガスの影響が弱くなれば2往復に戻すという約束であったようですが、就航率は通年で50%を切り、利用率も惨憺たる状態のようです。三宅島から帰ってきた機体はエンジンの洗浄が必要など手間もかかることから全日空としては運航を打ち切りたい意図のようです。
全日空のDHC-8-300型機は2002年に新造で投入されており、たった10年あまりで老朽化による引退というのは短すぎるようにも思います。
運休通告を受けた三宅村では同じボンバルディア社製のDHC-8-400型機への置き換えができないか陳情をしているようですが、色よい返事が返ってきてはいないようです。また、代替手段として東海汽船によるジェット船の就航も陳情しているようですが、就航率の確保が難しいこと、利用が見込めないことからこちらも難色を示されている模様です。
[JALに対し北海道エアシステムへの支援を要請]
国土交通省は経営難に陥っている北海道エアシステム(HAC)への経営支援をかつての親会社であったJALに求める模様です。
HACは昨年JALグループから離脱し、独自の予約システムに移行するなど独立色を強めています。JALマイレージバンクへのマイル加算は行われますが、上級会員資格の判定に使われるFly on Pointの加算は行われないなどの違いがあります。
HACは不採算のローカル路線を多数抱えていることから今年3月になって運転資金が底をつき、筆頭株主である北海道に支援を求めています。さらに先月には今年2度目となる北海道への支援要請を行い、経営不振の責任を取って社長が辞任するなど混乱が続いています。
HACが経営難に陥った理由の一つが「全日空が撤退した路線を引き受けさせられたこと」だと言われています。全日空撤退後に引き受けさせられた函館-奥尻線の搭乗率は29.5%、丘珠-利尻が41.6%でHAC全路線の平均である51.0%を大幅に下回っています(数字は2012年4月実績)。この2路線を引き受けなかった場合、全路線の搭乗率は54.7%に改善されます。全日空の尻ぬぐいで不採算路線を引き受けさせられたHACの経営が傾いていることが分かる結果であり、全日空にも支援させるべきではないでしょうか。
[JTAが石垣-与那国線のRAC移管を検討]
JTAが運航している石垣-与那国線をRACに移管し撤退することを検討しているようです。
現在与那国発着の路線は
・石垣-与那国(JTA 毎日1往復)
・石垣-与那国(RAC 週4日)
・那覇-与那国(RAC 週4日)
ですが、来年1月よりJTAの1往復を廃止しRAC2往復に置き換える計画だそうです。
これに伴いトータルの座席数が減りますし、RACのプロペラ機では与那国特産のカジキが運べないという大きな問題もあって地元から反発が出ており、JTAの大株主である沖縄県も調整に乗り出す模様です。
JTAはスカイマークなどとの競争でJTAの経営に影響が出ており、不採算路線のRACへの移管と保有機数の削減を行って経営改善を図りたいようです。格安航空会社が次々と開業していますが、ANAなども不採算路線の切り捨てを強めており、ローカル路線にしわ寄せがゆく弊害が出始めています。
ツアーバスによって正規の高速バスが浸食され、高速バスの収益で不採算のローカル路線を維持してきた路線バス会社が耐えきれずにローカル路線を廃止してきたのと全く同じパターンです。
ツアーバス間の不毛な価格競争から安全性が切り捨てられ、最後は大きな事故を起こした二の舞だけは踏んで欲しくないものです。国土交通省は幹線しか運航しない会社からローカル線の維持費を徴収して補助金の原資にするなどローカル線の維持策を考えてもいいのではないかと思います。