Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

土筆(56)

2018-04-26 17:55:55 | 日記

 「成る程、あの人がね、それでその子が。…それで、…。その子、あの子の事は何て言っているの?。」

そう言う声が聞こえた後、私には、「…へーえ…」という従姉妹の声や、振り返って目を丸くしてこちらを見る彼女の顔が見えるだけでした。時に彼女は、傍にいた一番年下の男の子にも話を聞いていました。が、その子の声は小さく、話が全く聞こえて来ないので、私には彼女が何を聞いているのか皆目見当がつかないのでした。その後従姉妹と同い年の彼の話も内緒話の様になり、声はぽそぽそと小さくなりました。その為2人の声も私には全く聞こえ無くなってしまいました。

 遊具の側に1人ぽつんと立っていた私には、ここで待つ意味も分からず所在も無くなり、只々怪訝に思っていただけでしたが、春の長時間の外遊びは気だるくなり、私はかなり疲労して来ていました。その内退屈を持て余して来た私は、家に帰ろうと思い始めましたが、従姉妹が残していった「待っていてね」と言う言葉に制約を受けて、目に付いた手近な遊具で遊んで暇をつぶす事にして、彼女が戻って来るのを待つ事にしました。

 暫くして、従姉妹は漸く私のもとへ走って帰って来ました。彼女は話をしていた私と同い年の子に頼まれた事がありました。「頼まれたのよ。」と彼女は息を弾ませて私に第一声を浴びせました。その後何だか思案している顔付で彼女は佇みました。呼吸を整えながら、鈍感な年下の従姉妹に如何話したらよいかと考えていました。彼女は『まあ、実地に見せながら説明した方がいいな。』と判断しました。彼女はおいでと私の事を手招きすると、私を伴って広場のより隅の方、遊具のその先にある扉の側に立ちました。広場の奥には大きな2つの建物を繋ぐ為の連絡路とその下に長塀があり、長塀には一ヶ所扉が設えてありました。

 彼女は、「聞きたい事を教えてもらう代わりに、私も向こうから頼まれ事をしてね。」と、「如何したらいいか、如何言ったらいいか、それを考えていてね。」「…ちゃん、分かるかな、と思ってね。」と、ちらちら私の顔を見ながら話し掛けて来るのでした。私は今迄の時間を相当長く感じ、またその為にかなり待ちくたびれて疲労困憊していました。彼女の要領を得ない話方が、じれったくて、じれったくて、…、遂に私の堪忍袋の緒は切れました。

「手早く話してよ。分かるように、早く!」

そう大きな声でせっかちにまくし立てたものですから、当然彼女は苦虫を噛み潰したような顔をして私を睨みました。


特に思い付かないですが

2018-04-26 10:44:21 | 日記

 先に書かれた方の記事を読むと結構思い当たりました。私もチャンネル回してと言います。昔から言い続けているので家では通じています。

 他には思い浮かばないのですが、ダイヤル電話、懐かしいですね。黒電話のベル、携帯の着信に使っています、昔懐かしいので。これについては思う所があります。

 昔、黒電話の頃、いたずら電話があり、「チン!チリリリリ‥」という呼び出し音の、最初の「チン!」で切る人がいました。それも明け方の4時とか、熟睡している頃の時間にです。何回か続いたので、いたずら電話だと分かりました。困っていたのですが、警察に訴える程でもないかなと思っていたところへ、NTTの電話機のセールスの方が来ました。断るつもりでしたが、ふと、「その新しい電話だと、呼び出し音は『ぷるるるる』ですか?」と聞いたところ、そうだとの事でした。

 当時の新しい電話の機械音は、会社や他所の家から聞こえてくる音で知っていました。最初の音が「ぷ!」で、続いてぷるるる…になるわけです。チン!という耳障りで癇に障る音では無いので、不愉快な出来事から解放されそうだと予想して、早速電話を購入しました。その時、電話局の人にはこのいたずらの話をして相談しておきました。調べてみるという事でした。

 さて、電話機を変えると、思惑通り「ぷ!」という音は1回で切れても全然気になりませんでした。いたずら電話は以降も数回ありましたが、気にならなくなったのでゆっくりと安眠できました。その内電話局の方が調べて注意されたのか、警察にも通報されたのでしょう、悪戯の方も無くなりました。

 考えるとこれは昭和の思い出です。仕草にするには、黒電話の呼び出し音で悪戯をされただけに、チン!と音がすると、電話だ―!と緊張し、早く出なければと気持ちが焦る条件反射が抜けない、というところでしょうか。