Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

うの華3 110

2021-02-17 09:51:01 | 日記
 「人というものにだよ。」

浅ましいねぇ…。これだよ、これ、これが人の持つ欲という物だ。子供といってもこれだもの。「お前驚いただろう。」再びこう祖母は言うと、いやだねぇと嘆息した。が、並べられたこれ等の彼女の言葉には、少々芝居掛かったきらいが有った。ここで少し間を置いた後彼女は言った。「これが金の亡者というものさ。」

 「あっちの方が亡者だね。」

少々戯けた顔と声音で、これは私に同意を求める様に祖母が言った言葉だったが、私には彼女の先程からの言葉の繋がりが分からなかった。しかしこれは、明らかに彼女が私に味方した言葉だ。そう私は確信した。あっちの方が何かしら旗色の悪いものなのだ。

 私はにっこりと笑ったが、如何も祖母は私の対応が気に入らなかったらしい、不意と不機嫌な表情になった。まぁと声に出すと彼女は呆れたと零した。如何言う了見なんだろう。子供と言っても見過ごせ無い言葉だ。と、ここ迄来れば、彼女が座敷の話を聞いていて従兄弟に腹を立てた事が窺えそうなものだが、私はこれ以前の彼女の反応に安堵したせいだろう、気が抜けてこれ等の祖母の言動を判じる事が出来なかった。祖母の機嫌を損ねたのだと思った。

 笑う場面では無かったのだろうか?。いや、祖母は確かに私に見方していた様子だ。私は逡巡した。寡黙になり俯く私に祖母は無頓着でいた。彼女は廊下への入り口の前に立つと、心持ち障子戸に身を寄せた。彼女はその儘居間の隣の部屋にいる彼女の4番目の息子と、3番目の息子の子で有る孫の話に熱心に耳を欹てていた。その顔の、眉間には皺を寄せていた。

 私は元気無く黙り、そんな祖母の様子を眺めていたが、忌々しいと言った祖母はふいと後ろを振り返り、目敏く廊下の奥に何かを見つけた様子になった。彼女はその儘顔を止めると、じいっとばかりに彼女の視線を遠方へと注いでいた。やがて彼女は合点した様に、ふううんと小刻みに彼女の首を上下に揺らした。敵さんは子供を先鋒に出したんだね。

 しょ気込んだ私を居間に残して、私の祖母は廊下へ取って返した。私がそんな彼女を見送ってほうっと溜息を漏らす暇もあればこそ、直ぐに祖母は廊下から顔だけ戻すと私に言った。

「お前の事を怒っているんじゃ無いよ。」

違うからね。そう彼女は私に言い置いて、廊下の先へと進んで行った。

 

今日の思い出を振り返ってみる

2021-02-17 09:10:20 | 日記

うの華 159

 「お父さんの事じゃないの。」と私が答えると、母は顔をしかめた。 ここで母は私が父を起こしたのだろうと決めつけてきた。しかしこの時の私は、父が起きて彼は1度寝床から居なくな......

    暖かい後の寒さ、動く気になれず困ります。再びの、白いカバーでコーティングされた風景。😥