Jun日記(さと さとみの世界)

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土筆(105)

2018-06-19 12:03:24 | 日記

  「賑やかだなぁ…。」

人の気持ちを知ってか知らずか、居間ではしゃぐ弟と叔父の声が離れた部屋まで聞こえて来ます。兄は自室でじーっと伏せっているのが馬鹿馬鹿しくなってきました。少し横になっていただけでしたが、若いせいでしょう、気分が何だかスッキリしてきました。試に寝床で上半身を起こしてみると、どうやら元気に動けそうでした。よし!兄はニヤリとしました。

「誰も気にしてい無いのに、何で俺だけが気に病まなければいけないんだ。」

ふんとばかりにそう言うと、彼は自分も賑やかな遊びの輪に加わろうと元気に居間に戻って来ました。

 「 賑やかだなぁ。」笑顔で声を掛けると、「やぁ、煩かったかな、ごめんごめん。」と叔父が控えめに応えました。「邪魔なら帰るよ、お前気分が悪いんだろう。」叔父が兄の身を案じて声を掛けました。

「いや、大丈夫だよ。少し休んだら元気が出たから。」

そう答える甥っ子のにこやかな目つきを見て、叔父はそうかと微笑むと、まぁ無理はしない事だよとアドバイスしました。その後は叔父甥の3人で何だかんだとふざけて騒いでいると、台所から姪もやって来ました。

 「あれ、叔父さん何時来たの?」

驚いた様子の姪の質問に、少し前だと叔父が答えると、彼女は少し困った顔をしました。彼女がお母さんはと尋ねると、兄弟も叔父も皆知らないと答えます。どうやらこの家の主婦はいつの間にか家から姿を消してしまったようです。


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