何とかしなければと私は思いました。アルパカの眼付は『やる気だな、こいつ!』というような喧嘩を売られた野生動物の眼差しでした。私は内心相当焦りました。出来るだけ作り笑顔を作り、目を丸く細め、よしよしというように相手を宥める目付になると、軽く頭を摩ります。摩るというよりけに少し触れる程度です。
すると、私の笑顔(何方かというと丸く弧を描いた目つき)を見たアルパカは、急に雰囲気が変わりました。蹄をカツカツというような戦闘体制から、フーッと鼻息が漏れるといった感じになり、体全体がほわっとしたピンク色の雰囲気に包まれた感じになりました。るんるん気分というような感じになり『喧嘩じゃない、お誘いだったんだ。』という声が聞こえるような感じになりました。あくまで私見です。真実は分かりません。
これは、と私が笑顔のまま立ち竦んでいると、傍らにおられたお母様が「行きましょう。」と、ね、このまま行きましょう。とそろそろとやぐらを下りられます。私も、ええ、とアルパカが何かしらの感情(感情があればの話です)に気を取られている間にこっそりと板を下りて玄関入り口へとやって来ました。
「では、出発します。」
ガイドさんの一声で、ツアー一行はナイトクルーズに出発しました。
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