その後、何事も無く無事お母様と交代して、順番が来た私は目の前で口をもごもごと反芻しているアルパカの頭に軽く触れてみました。頭の毛はふっくらもっさりした見た目の割には、水っぽくてべたべたしていました。とても触り心地の良い毛とは言えませんでした。何方かというと反対の気分です。それでも私は続けてそっと撫でてみました。毛だけの手触りで頼りなく、頭本体に全くコンタクトできませんでした。何だか物足りない気分になりました。
それでもう少し力を入れて撫でてみました、が、やはりアルパカの地肌を掌に感じる事が出来ません。私はこの瞬間を楽しみに待っていたこともあり、地肌に触れないとスキンシップ出来ない気分で収まりが付きませんでした。それで更に力を入れて撫でてみました。これで手に頭部を感じただろうと思いましたが、本当に全く全然手応え無しでした。アルパカの頭部というのは、毛が相当分厚い頭頂部なのでしょう。…。
そこで、私はより一層掌に力を込めて、これでどうだという感じでグイっとアルパカの頭を撫でました。漸く私は手に頭部本体を感じとる事が出来ました。やったー!と思った瞬間、アルパカの全身、頭頂部から胴体、足の先にまで伝わる様なビシッとした電気ショックの様な反応が走りました。もしかしするとこの動物は、毛根が相当発達していてそれが神経を刺激したのかもしれません。痛かったのかもしれませんね。痛みは電気ショックで脳に伝わると言いますから。正にアルパカは一瞬電気に感電した様な感じで身を震わせました。
『ドキッ!』
と私は罪悪感に襲われました。そして、直ぐに不味い事をしたと思いました。その瞬間、アルパカは頭をひねり、片目上目遣いでキッ!と私の顔を見上げて来ました。その時の目付と来たら、如何にも恨みがまし気で、まつ毛がグーンと伸びた感じでジローッと斜めに私の目を見上げて来るといった感じでした。その目は思わず私に、『性悪なんだ、このアルパカっていう動物。』と思わせたくらいです。この時非常に切迫した感じを私は受けました。
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