Jun日記(さと さとみの世界)

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土筆(132)

2018-07-17 10:11:09 | 日記

   僕がいなければあの子はこの時点でもう存在しなくなるんだ。もしこの世界に僕が存在していても、あの子と出会わずにいれば社会的な今の僕は無いんだ、多分ね。これが因縁というものなんだ。

「他の誰でも無い、僕達2人の因縁なんだよ。」

彼は何かしら悟った調子で感慨深く嘆息するのでした。

 「こうなったら仕様が無い、あっちは断るよ。」

いよいよ引導を渡す時期が来たんだ。本当に長かったけれど今が潮時だ。

「仕様が無い。」

彼はそう呟くと祖父を見やりました。

「こうと決めたら事を急ごう。」

そう祖父を促し、彼は何となく気の乗らな風な素振りの祖父を背後に従えると、2人道から姿を消し去ったのでした。

 「祖父ちゃんは自分に会ったのかい?」

孫の言葉に祖父はまあなぁと呟きます。「へぇ、どんなだった?」と彼が祖父に尋ねると、祖父はまぁなぁと繰り返し、気乗りしなさそうな声を発していましたが、「まぁ、存在はしていたんだよ。」と答えます。


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