Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

ダリアの花、109

2017-03-30 18:24:04 | 日記

 「まぁ、呼び名なんかどうでもいいじゃないか。」

見かねた蛍さんの父が2人に言います。

その内なんでも呼び合うようになるだろうし。と、自分と妻の事を思います。

蛍さんの両親はおい、お前、あんた、など適当に呼び合ったまま、過去から今まで進展がありません。

『俺達だってそうなんだから、如何だっていいんじゃないか。』

と父は内心思います。

 「いや、こういうことは最初に決めておかないと後を引きましてね、」

名前を呼べずにおい、おまえ、あなたになってしまうものですから。と、光君の祖父は意見を言います。

「光、学生時代になれば光君という者もきっと現れて来るだろうから、今から慣れて置いてもいいじゃないか。」

向こうさんはお嬢さんなんだから、そう呼んでもらいなさい。名前で呼ばれたいだろう、光は。

呼び方を決めておかないと、将来もおい、お前になってしまうよ。

と注意します。そうだね、それならと光君は、光君でもいいよと祖父の意見を笑顔で承諾しました。

 そこで祖父は蛍さんに、

「家の方には、『ちゃん』と呼ぶ子がいなくてね、光は言いづらいんだよ。君というのと同じように蛍さんでどうだい。」

折れてくれないかなぁと頼んでみます。

蛍さんも向こうのお祖父さんに下手に出られ、丁寧に頼まれるのですから、にこやかにそれでいいですと了解しました。

 『蛍さんか、蛍でいいのに。』

光君は内心むかむかしていましたが、表面はにこやかで笑顔でした。そんな孫のにこにこ顔を見ていて、

祖父はどうやら孫はこの件で胸に一物持ったなと感じます。

蛍さんの方を見ると、一応満足気にほっとした表情を浮かべています。

『家の子の方が折れた形だな、ここは1本貸しだな。』

と、祖父は胸残用をします。後から何かで返してもらおう。フィフティフィフティだなと思います。

 と、ここまで話が来たところで、本堂の入り口に男の人が現れて声をかけました。

「お昼が出来たよ。早く帰って来ないと延びてしまうよ。」

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿