お呼ばれしたからにはお返ししなければ、そんな事を家の大人が取り沙汰して、
程無く私はLさんを家へ招待します。
当時は私もLさんも共に一人っ子状態、家族も子供の付き合いにとても気を配っていたのでしょう。
公園デビューならぬ、家族ぐるみのお家同士の交際デビューでした。
お菓子を配って挨拶ならぬ、夕餉のテーブルで家族一同総出でご挨拶だった訳です。
両家で共にこうでしたから、どちらも相当気を使っていた感じでした。
家でLさんが食事をした時にも、テーブルには何鉢もおかずが出され、
それはもう特別に豪華版な夕餉になっていました。
私はこんな夕餉をそう見た事が無く、親戚の伯父家族が来た時以来であったように思います。
私はLさんに、何時もこんなに凄く無いのよと言いながら、
大人が皆、いや、何時も家はこうなんだよとにこやかにLさんに話す姿を眺めて、
家でこんなに豪華にお友達を持て成してくれるのも、全ては私の為と思うと、
偽りの夕餉でありながら、何だか少し嬉しい幸せな気分に成るのでした。
この家に生まれてよかった、そんな事さえ思いながら父の膝の上に乗っていた気がします。
そこには我が家の団らんがあり、新しく出来た女友達といい、
これから成長して行く自分にとって、とても幸せな日々が花開いて行くような気がしたものでした。
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