まぁ、それはそれとして…、と、彼女は他の結婚相手の候補についても考え始めました。
「他も大事にしておかないとね。」
何処で自分の将来の当たりが付くか分からないのです。念の為にと、彼女は色々な嫁入り先を確保して置かなければいけないのでした。彼女は自分の将来のバラ色の生活について考える時、結婚相手の候補選びに余念が無くなるのでした。考え出すと、こんな所で一文にもならない気難しい従妹の遊び相手等、そうそう何時までもしていられないと思うのでした。
さて、蛍さんの方は、自分の従姉に再試合を誘われて断り切れず、仕方無く、渋々次のゲームの準備を始めた所でした。茜さんは蛍さんの様子を窺いながら、折よく退散する頃合いを計っていました。彼女は如何にもふいっと思い付いたという調子で、1言、2言、従妹に帰宅が必要だと言い出しました。それから、一応一緒に帰らないかと誘ってみました。この時、彼女は臍を曲げている従妹が自分と一緒には帰りたがらないだろう事が分かり切っていました。事実従妹は後から帰ると返事をして来ました。『やっぱりね。』彼女は内心舌を出しながら、残念そうにそれじゃあねと別れの挨拶を告げました。茜さんはその場からドキドキの体で抜け出し、境内からもぎこちなく去って行きました。これで境内にはしかめっ面をした不機嫌な蛍さんだけが1人が取り残されました。
「次の試合をしないなら、最初から誘わなければいいのに。」
茜ちゃんの方から誘ったくせに、等、1人ブツブツ文句を言いながら、蛍さんは何処まで癇に障る従姉なんだとぷりぷりしていました。『幾ら親戚だからって言ったって、私の我慢にも限度があるのよ。』と怒ります。
しかし、事ここにおいて蛍さんにしてもこの広い境内に1人でいたい訳は無かったのです。唯、彼女にしてみると気に障る2人と、時を同じくしたり近くしたりして帰りたくなかったのでした。
彼女は1人寂しくなった境内から一刻も早く離れ、直ぐにでも帰宅したい気持ちをぐっと抑えると、我慢してもう暫くここにいようと踏み留まっていました。それでも、もう少し、もう少しと痩せ我慢していると、結局何かしていないと恐ろしくなり、また手持無沙汰にもなって退屈して来るのでした。そこで彼女は自然にまた石投げの練習をする事にしました。あちらこちらと飛び歩くと、今度は穴が何処にあっても平気なようにと考えて、彼女はあれこれと遊びのシュミレーションをしてみるのでした。
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