こう蜻蛉君に確信をもって言われると、茜さんは思い惑って来ました。自分にしても帰りたいのはやまやまですが、そういう事をした事が無いのです。どうやって途中で帰ってよいのか彼女にはその仕方が分かりませんでした。
「どうやって途中で帰ったらいいんだろう?」
彼女はポツンと独り言を漏らしました。その声は蜻蛉君にも聞こえました。
そこで一瞬、蜻蛉君は閃きました。彼はすぐに「一つお手本を見せてやろうか。」と茜さんに持ちかけました。「本当?」無論彼女はこの言葉に喜びました。早速彼のお手本をお願いします。
「じゃあさ、その代わりと言っちゃなんだが、あの子の事、また遊べるようにして置いてくれな。」
頼んだよと、蜻蛉君は調子よく茜さんに依頼しました。彼女は酷く困惑した顔になりました。それはかなりな難題という物でしたから、
「無理だわ。」
彼女は答えました。
「無理だと思う、あの子が嫌といったらもう金輪際、てこでも動かないって、叔父さんも何時も手こずっているもの。」
こう断る茜さんに彼はすかさず続けました。
「それでも、遣り様って物があるだろう、」
「お前は親戚なんだからさ、俺よりあの子の事はよく知っているんだろう、一つ茜の裁量で何とかそこの所を宜しく頼むよ。」
蜻蛉君は茜さんを上手くおだててみるのでした。こう言われると茜さんもふふんとよい気分になりました。茜さんも結構な自信家だったのです。
「まぁね、叔父さんに上手く掛け合えばね。」
茜さんの言葉に蜻蛉くんは喜びました。ここぞとばかりに盛んに彼女を持ち上げました。2人の間で話はまとまりました。
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