Jun日記(さと さとみの世界)

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土筆(210)

2018-09-28 13:06:08 | 日記

「駄目だろう、友達と遊ぶ時に我が儘いっちゃ。誰とでも仲よく遊ばないと駄目だ。ぷんぷんしてちゃいけないだろう、そんな調子だと誰も遊んでくれなくなるぞ。」

父はさも父親然として娘を輸すのでした。蛍さんは父の話から、このお小言が誰の口から父に告げ口されたものか察しが付いてきました。

「蜻蛉君が何か言ってたの?」

あの子ったら、ほんとに嫌な子だと蛍さんはげんなりしました。彼女は父とあれこれ言い合いながら、あんな目に合うならもう彼に遊んでもらわなくてよいと訴えるのでした。こちらの方から遊ぶのはお断りだ、と迄娘が言い出すので、父の方も娘の話をそれでと詳しく聞き始めるのでした。 

 蛍さんからあらあらの話を聞いた父は、分かったと言いその後、「で、お母さんは如何したんだ?」と娘に尋ねました。蛍さんは「お母さんなら寺で1人で遊んでいる。」と答えました。

「寺で?1人で?」

母子でまぁ、なんとまぁ似ている事だ。そう父は呆れながら目を怒らせて言うので、蛍さんは、何時になく自分と遊んでくれた母を素気無く1人置いて帰って来た事を悪いと思いましたから、母の事を父に取り成す気持ちになるのでした。

 「最初は私と遊んでいたんだけど、お母さん遊んでくれたのよ、珍しく。でも、私お母さんと遊んでいても楽しくないから、お父さんとなら面白いのに、それで、途中で遊ぶのを止めて、私がお母さんを置いて帰って来たのよ。」

だから、母は悪くないのだと、蛍さんは父に訴えるのでした。

「途中で、って。」

お前最後まで遊ばなかったのか?やはり不機嫌になる父でした。又不機嫌に小言を言いそうになる父の口が動く前に、素早く蛍さんは言うのでした。

「蜻蛉君も茜ちゃんも、最後まで遊ばないで帰って行ったから、私もいいんだと思ったのよ。」

憮然として主張する娘に、まぁこれは、と、父は少々唖然として『もう反抗期なのか?』と思うのでした。


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