Jun日記(さと さとみの世界)

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土筆(209)

2018-09-27 11:11:55 | 日記

  こんな遊びを、こんな所に穴を、そう呟きながら暗い表情で考え事をしながら、娘との遊びに参加する母のぎこちない動きに、母の番を待つ間の蛍さんは今日の遊びの中の色々な場面を蘇らせるのでした。場面場面で遊んでいた時の印象的な言葉、その言葉がぽろっと無意識の内に彼女の口から漏れて出るのでした。特に「この穴開けたのお前だろう!」の蛍さんの言葉に、母はしんとして動きを止め全く暗い淵に沈み込んでしまいました。

 「お母さんの番よ。」

蛍さんの再三のこの言葉に、全く身動き無く反応もしない母に、蛍さんは彼女のその様子に閉口してしまいました。元々最初から母と遊ぶ事に気の乗らなかった蛍さんです。蛍さんの脳裏に先程途中で退散した2人の姿が浮かび上がりました。そして、彼女はピン!とくると、早々にその二人の真似をする事にしました。

 彼等の言葉を真似てあれこれ言うと、じゃあちょっと先に家に帰ってるね。そう蛍さんは言って、何やら考え込んでいる母がええと生返事をしたのを機に、「お母さんは一緒に帰らないの?」とこれまた一応茜さんの真似をして母を誘い、ああ、ええと繰り返し生返事をする母に、じゃあねとそのまま母を1人寺に残して帰って来てしまうのでした。これで母には何があったのか大体の察しがついたのでした。

 家では父が彼女を待っていました。

「お前、何だか酷く我が儘だったそうだな。」

父はいつになく生真面目な顔をして、目に怒りを表すと小言を言い出す気配でした。蛍さんは意外な父の様子に一瞬肝が冷えるくらいに驚きました。そして注意深く父の出方を見るのでした。


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