Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

土筆(50)

2018-04-19 14:56:40 | 日記

 彼は呆気に取られました。彼は口を開けたままそのままで、彼女の怒りの形相と迫力に押されて目を白黒させると暫く恐れ戦いていました。程無くしてショックから来た早鐘の様な動悸が落ち着いて来ると、彼の方もまた怒鳴り付けて来た彼女の方にむかむかと怒りの感情が湧いて来ました。

 「君の方が話を聞いて来たんだろう!」

思わずかっとしたので彼の方も語調がきつくなりました。「君が話せって言ったから僕は話してるんじゃないか。」「始めに話を聞きたがったのは君の方じゃないか。」「だから僕は喋っていたんだろう。」言葉を口から出す度に落ち着いて来た彼は、最期に同意を求める様に彼女に言うのでした。「そうだろう。」

 そこで彼女はふふんという感じで態度を軟化させました。彼女はややきまり悪そうに肩を落として姿勢を崩すと、体の向きと顔を彼から反らし、そのまま脱力して遊具に肩を持たせ掛けました。そこで彼は我が意を得たという感じで喜ぶと、彼女が自分の言う事に折れたのだと判断して当初の話を続ける為又お喋りを始めました。

 「それであの二人はどうやら気が合うらしい…」

と彼が口にした所で、彼女は彼の言葉を手で遮りました。

 「私にもうあの子とその子の話はしないで。」

聞きたくないからと彼にピシャリとそう言うと、彼女は内心に渦巻く、可なり激しい炎の様な怒りを顔に隠せずにいました。


カード派です

2018-04-19 14:28:29 | 日記

 現金は出来るだけ持ち歩かない事にしています。支払い明細で1月の支出が把握できるので便利な事、現金払いの時に、お釣りをもらって汚れたコインで嫌な気分になるのを防止できる事、等の利点があります。

 また、カードについてくるポイントを貯めて、商品や金券に替えるのも楽しみです。お買い物金額に還元したり、カードを使い始めて15年以上たちますが、振り返ってみると、私は結構楽しく使ってこれたと思います。

 便利なカードも、親の方では高齢という事があり、カードの悪用を恐れて使えなかったようです。私にするとカードはとても便利なものでした。確かに紛失したと思って慌てたことがありますが、ジャケットのポケットに入っていたのでほっとしました。これからも盗難などに気を付けて、便利に利用していきたいと思っています。


土筆(50)

2018-04-17 10:12:09 | 日記

 彼は呆気に取られました。彼は口を開けたままそのままで、彼女の怒りの形相と迫力に押されて目を白黒させると暫く恐れ戦いていました。程無くしてショックから来た早鐘の様な動悸が落ち着いて来ると、彼の方もまた怒鳴り付けて来た彼女の方にむかむかと怒りの感情が湧いて来ました。

 「君の方が話を聞いて来たんだろう!」

思わずかっとしたので彼の方も語調がきつくなりました。「君が話せって言ったから僕は話してるんじゃないか。」「始めに話を聞きたがったのは君の方じゃないか。」「だから僕は喋っていたんだろう。」言葉を口から出す度に落ち着いて来た彼は、最期に同意を求める様に彼女に言うのでした。「そうだろう。」

 そこで彼女はふふんという感じで態度を軟化させました。彼女はややきまり悪そうに肩を落として姿勢を崩すと、体の向きと顔を彼から反らし、そのまま脱力して遊具に肩を持たせ掛けました。そこで彼は我が意を得たという感じで喜ぶと、彼女が自分の言う事に折れたのだと判断して当初の話を続ける為又お喋りを始めました。

 「それであの二人はどうやら気が合うらしい…」

と彼が口にした所で、彼女は彼の言葉を手で遮りました。

 「私にもうあの子とその子の話はしないで。」

聞きたくないからと彼にピシャリとそう言うと、彼女は内心に渦巻く、可なり激しい炎の様な怒りを顔に隠せずにいました。


土筆(49)

2018-04-16 10:00:38 | 日記

  さて、遊具の側に移った2人です。彼女は念入りに、あれこれと彼が話す話にじっくりと耳を傾けていました。彼が話す間、彼女の方は天を仰いでさも可笑しそうに声高かに笑ったかと思うと、時にはその背を丸めて如何にも堪え切れないという風に肩でくすくすと忍び笑いを漏らす等していました。その様子は千変万化でしたが彼女は終始如何にも愉快で楽しそうでした。

 しかし、突然ぴたりと彼女の笑い声が止みました。リラックスしていた表情や笑顔も凍り付いたように動かなくなってしまいました。彼女はそうして静かに目を伏せると、彼の話に聞き入りながら沈黙し始めました。その後の彼女はというと、何だかぴくぴくとこめかみに青筋が立ち始め、顔色も白っぽくなって来ました。そして遂に、「もうその話はいいわ。」とさも嫌そうにぽつりと漏らすのでした。

 実はこの時彼女は怒っていたのです。ぷりぷりしてその後の彼のお喋りを聞いていました。そして突然、

「あの子と誰が仲良くたって、私にはそんな事どうだっていい!」

そう吐き捨てる様に言い放つと、彼女は唇を噛みしめて仁王立ちの様な格好になりました。彼女の髪が怒りの炎で燃え上がり、天を突くようにその先が立ち上っている様に見えました。彼女は言葉を続けました。

「そんな話聞いてもしょうがないでしょ!」

そうきつく彼女に言われた彼ですが、普段の取り澄ました彼女に似合わぬ渋面が如何にも彼には可笑しかったので、彼は笑顔を浮かべると彼女の顔を見て話を続けました。それに対して彼女の方は遂に怒り心頭に発するという体になりました。

 「もう喋るな!」

彼女は居丈高にピシャリと彼を叱りつけました。今にも平手が振り下ろされそうな気配でした。


土筆(48)

2018-04-16 10:00:09 | 日記

 「君達一家は本当に気を付けた方がいいと思うよ。」

彼は彼女に忠告し始めました。僕は君の従姉妹より、君達の家族との方が親しいから言うんだけど、君達の親は父親同士が兄弟でも君のお父さんの方が兄さんなんだろう。近所でも君の家の方が羽振りがいいのが本来だろう。それが、この儘だと従姉妹の家の方が、弟の家の方がご近所で顔が利くようになるよ、変じゃないか?道理が合わないだろう。今の内に何とかした方がいいよ。

 彼のそんな生真面目な言葉を聞いて、彼女は内心の可笑しさを隠して置けなくなりくすっと笑うと、ぺろりと舌を出し微笑みました。そして、彼に向こうでは誰がどんな事を言っていたのか、また、その子の言う従姉妹の様子や評判、評価等も尋ねてみるのでした。

 ここで彼女は向こうへ行こうと場所を指さし、同意した彼と並んで歩き出すと広場の奥の遊具が置いてある所に話の場所を移しました。そこは広場の角隅に当たり、ひそひそ話をするには打って付けの場所でした。

 私はというと、この時点よりもかなり前から2人の側にはいませんでした。一緒にいた年下の男の子が、1人外れて石造りの碑のある場所に遊びに行っていたのです。そこで私は、2人がさっぱり意味の分からない話を話し込んでいるのに飽きて来た時、彼らの側から離れると年下の男の子を追いかけて行きました。石造りの碑の角等で、彼が怪我等しない様に面倒を見ていたのでした。碑の側で一人遊びする幼い子にあれこれと話しかけてみて、知っている遊びなども教えてみるのでした。私は自分がしてもらったと同じ様に、年上のお姉さんらしくその子の世話をしているつもりでいました。その為、2人から離れて以降の従姉妹や同い年の男の子の話しは全く聞いていませんでした。