20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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『定本 育児の百科』(松田道雄著 岩波書店)

2008年08月30日 | Weblog
 臨月を迎えた娘が、生まれてくる赤ちゃんのものや自分の着替えなど大荷物を持って、今日これからお里帰り(と、いっても近所に住んでいるのですが)してきます。
 私の方も時間があるときに赤ちゃん用品を買いそろえに出かけたり、ネットであれこれを買ったりと、準備万端整えています。
 どんどん増えていく赤ちゃん用品を眺めていると、「いよいよ」という、うれしいような、緊張したような気持ちになります。
 先輩である友人たちからも、いろいろ情報を教えていただいております。

「『育児の百科』を忘れずに持ってきてね」
 すっかり昔のことを忘れてしまった私は、事前に娘にそう電話しました。
『育児の百科』は、その昔、私たちが子育てのときバイブルのようにして使った本です。
 娘の妊娠がわかったとき、私はその本をすぐにアマゾンに注文し、娘にプレゼントしたのです。
「あの本でどれだけ、新米母親だった私は安心させてもらったか・・・」
 そんなことを思い出しながら。

 小児科医でいらした松田道雄さんは、この本を刊行した1967年以来ずっと、多くの若い母親や父親たちに「小さいことで悩むな。心配するな。もっとゆったり、おおらかに子育てをしろ」と励ましのメッセージを語り続けています。(10年ほど前に、お亡くなりになりましたが)
 息子や娘が赤ちゃんだったとき。夜泣きをしたり、食欲がなかったりと心配で身が縮みそうになったとき、いつもむさぼるようにこの本を読んだものです。松田道雄さんの言葉に、どれほど励まされたことか!
 その本がいまでも、リニューアルされて発売されているのです。

 医学の世界は日進月歩です。
 医学的見地から見たら、すでに41年も前の本ということで古めかしさはあるかもしれません。しかし、松田道雄さんの「子ども」とは?、そして「医学」とは?の熱い根源的な問いかけは、いまでも色あせることなく、こちらの胸にまっすぐ届いてきます。
 そして、潔いほどにリベラルに人間を見つめる目線や思想は、今という時代、さらに輝きを放ち、私たちを励ましてくれているような気がします。
 
 さあ、今度は娘が、松田道雄さんにお世話になる番です。
 
コメント (4)
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